繋ぐ
今日は日曜日。
ひと月に一度、合うか合わないかの休日。
だからといって、何か特別なことをする訳でもなし。ただ、朝から夜眠るまでの時間を2人で過ごす。
今日も、いつもと同じ。
2人揃って朝寝坊して、朝ご飯を食べて、一緒に散歩して、とりとめもない話をする。
一体、何度似たような1日を過ごして来ただろう。
それはそれで、楽しいんだけど。そして、2人仲良く夕飯を食べた後。
「今日はこれっ。」
満面の笑みで僕に差し出されたのは、レンタルショップから借りて来たらしいDVD。
夕食後に、こうやってテレビの前に膝を並べるのも、やっぱりいつものことで。テーブルには飲みかけのホットココア。
今日は恋愛ものの様で、テレビ画面には、恋人同士らしい一組の男女。
悲恋なのか、男が去り、女は唇を噛み締め、頬にすっと光の線が流れた。
『嘘つき。』
女が呟く。
『ずっと、ずっと一緒にいるって言ったのに。』
男は何も言えないまま、俯いている。
「ずっと一緒……。」
不意に、隣であなたが呟いた。
ずっと一緒。
「そんなの……出来ないよ。」
あなたの言う通り、現実にそんなことは有り得なくって。
誰もが、毎日動いているのだから、いつまでも、そこで立ち止まってなんかいられない、世界がそれを許しはしない。
「永遠なんて無いもの。」
だから、こうして今一緒にいる僕等だって、明日は別々の場所で働いている。
いつまでも、一緒にはいられない。
「ね、」
だから、
「一緒にいる時間が、こんなに幸せなんだって思えるんだね。」
逢えない時間があって、初めて分かる。
あなたがいる意味。
僕がいる意味。
それはきっと、
どんな永遠の愛よりも
大切。
終わりの見えない
『永遠』
を誓うより、
「傍で過ごせる時間を、僕等の明日に繋ごう。」
それこそが、
何千年、何万年も先の
永遠の果てる日に。
何物にも変えられない、
尊い想いにかたちを変えるから。
いつの間にか、映画はエンドロールを迎えていて。
「次の休みに、また一緒に見よう。」
と約束した。
永遠なんて幻想を願うより。
刹那の愛しい感情に触れていたい。
小牧です。少し時間を掛けてUpしました。いつも疑問に思ってしまう愛の言葉を、正直に出してみました。気に入って頂けたら嬉しいです。お読み頂きありがとうございます。