表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チクホー・ゴースト・ストーリー  作者: Zee-Ⅲ basser
8/20

受験

ハプニングの連続。一体どうなってしまうの?

 別々の学校生活が始まった。



 真琴は。

 転校してすぐに友達ができた。

 中学に入学してしばらくは、広範囲でワルソしていたから転校先の中学にも顔見知りが割と多く、すぐに馴染めた。のだが…

 誠人がいないことに関しては、どうにも心の隙間を埋められないでいた。だからといって、ワルソに逆戻りすることは無く、ソコソコまじめな学生生活を送っていた。逢いたさを紛らわすため頑張っていた勉強のおかげで、模試において判定は常にA(合格ほぼ確定)。悪くてもB(75%)と、安定していた。この成績を本番まで維持できれば、誠人との約束は果たすことができそうだ。


 誠人は。

 思ったよりもダメージがデカかった。

 元々顔に出る方じゃないが、行動には出まくっていた。なんかする度にしょーもない失敗。おかげで幼馴染や友達からは心配されてしまう始末。

 ただ、勉強に関しては真琴との約束があるからなんとかなった。というか、なんとかした。とりあえず、成績には影響なかったから、あとは本番で頑張るだけ。



 にしても…

 側にいないということが、こんなにもツラいとは。

 改めて好きの大きさ、存在の大きさを思い知る。


 早く卒業したい。そして、一緒の高校に行きたい!


 三年生の間はそのコトばっかり考えていた。




 そんな寂しさ地獄を必死こいて乗り切り、一月下旬。

 ついに、私立高校の入試が始まった。


 受験するのは、北九州にある部活動で有名な、かなりの規模の高校。

 小さな文系大学の附属高校で、普通科からも進学できる。同程度の偏差値の県立高校が第一志望ならば、誰もが必ず受験する、滑り止めとか力試しといったキャラの高校だ。

 勿論二人はここを受験する。



 受験当日。

 この日受験するのは誠人。

 というのもこの学校、県内でも五本の指に入るほどの受験者数を誇る。人数に対して会場が狭いし、そもそも男子と女子は別学校だから試験日も別なのだ。

 同中からも受験者は多いため、大型観光バスが用意されていた。

 バスに乗り込み、会場へと向かう。

 途中、幼馴染や友達と復習していると、着信音。見ると「頑張ってね!」のメッセージ。

 一気にテンションが上がる。

 応援してもらうことがこんなにも心強いとは。


 ゼッテー受かってやる!


 気合を入れて、いざ本番。

 手ごたえとしては半分チョイぐらいしかできなかった。一瞬、ヤバイと思ったけど結果は合格。しかも特進というオマケ付(全員同じ問題を解き、成績が上位の者から自動的に特進合格となる。これは女子部も同じシステム)。



 次は真琴の番。

 転校先はちいさな学校なので、観光バスは用意されていない。友達と、電車で会場に向かう。

 その途中、着信音。

 見ると、送信者は誠人で「頑張ってね!」のメッセージ。

 大好きな人からの応援。幸せでいっぱいだ。思わず笑顔になる。

 少し気が楽になり、100%の力を出すことができた。

 結果は特進で合格。

 互いに受かることができたから、あとは本命の県立高校に向けて頑張るだけだ。




 私立の合格発表から約一カ月。

 受験勉強は互いに捗っていた。

 直前模試でも両者A判定。


 同じ高校に行く!


 強い思い。

「合格」の二文字が徐々に現実味を帯びてきだす。



 そして三月中旬。

 ついに大本命、県立高校受験の日。

 互いに少し早く着いたので、自分の席を確認し荷物を置くと連絡。校内で会うことに。

 二棟ある校舎。各々別の棟だし勝手の分からない場所なので、会うまでに思ったより時間がかかる。

 なんとか探し当てた頃には結構な時間になっていた。


「お~い。こっちこっち。」


 手を振ると気付いて駆け寄ってくる。

 会った瞬間、


 なんかすごい着膨れ…っち、あれ?


 ちょっとした異変に気付く。


 顔色、ちょっと赤いような…大丈夫かな?今日、寒いもんね。


 心配になってくる。だが、もうあまり時間がない。


「ヤバいね。もうこんな時間。絶対に受かろうね!」


「うん!」


 誓い合って、試験に臨む。


 で、その結果はというと…


 誠人は不合格。

 原因は体調不良による途中退場。

 季節外れのインフルエンザだった。

 前日から悪寒がしていた。同時に関節も痛く、全身の倦怠感もあった。当日の朝になっても回復しなかったが、大切な入試である。絶対休むわけにはいかない。

 真ん丸に着膨れして試験会場へ。

 この日は寒く、しかも暖房の効きが悪い。着込んではいるものの、寒気が全く治まらない。そのまま一教科目が始まることとなる。

 二教科目を終えた頃、体調急変。

 寒気が酷く、震えが来ている。頭痛が激しい。眩暈もする。思考能力がみるみる低下。

 三教科目の試験が始まって15分ほど経った頃、意識を失い病院に運ばれた。

 幸いにも意識は早い段階で戻ったのだが…。

 悔やんでも悔やみきれない。


 この日は様子見のため病院で一泊することになった。

 病室で一人になったとき、


 くっそー!ゴメン…長谷部さん…約束守れんやった。


 悔し涙。

 連絡しようにも情けなくて申し訳なくて。

 スマホに手を伸ばせない。


 こうして合格発表を待つことなく、私立行きが決定してしまうのだった。




 こんな時に限って悪いコトは連鎖する。

 真琴は誠人の途中退場に気付けないでいた。

 救急車の音は聞こえていたが、まさか運ばれたのが誠人だとは思いもしないから、試験終了後は事情を聴くこともなく、同中の友達と会場をあとにする。

 帰宅途中、メッセージを送信するものの…。

 いつまで経っても未読のまま。


 あれ?なんでかな?いつもなら結構早く返信くるのにな。友達と話ししよるき気付かんのかな?


 この時点でなんとなくおかしいなとは思いつつも、これまでの付き合いで無視するような性格じゃないことは分かっているから、待つことにした。

 が、その日、思わぬことでスマホを水没させてしまい、連絡が取れなくなってしまう。

 数日後、復活したものの、どういうわけか誠人を含む数名のデータが失われてしまっていた。


 え~くそ!番号やらなんやら紙に書いとけばよかった。待つしかないやんか。


 不安が募る。

 それからさらに数日経ったが、連絡はまだない。


 誠人、どーしたんやろ?


 不安がピークに達しているが、連絡手段がない。

 直接家に会いに行こうかとも考えたが、場所がわからない。わかっていたとしても、恥ずかしいので行く勇気がない。


 マジでどうしたんやか?このまんま連絡ないなら、学校始まって直接聞くしかないね。


 という方法しかないようだ。




 そして入学式当日。


 やっと逢える!


 嬉しさと、ちょっとの不安を胸に抱きつつ登校。

 正面玄関にて。

 掲示板にクラス分けの紙が貼り出されている。

 登校してきた新入生はみんな、自分のクラスを確認中。

 結構な混雑っぷり。

 名前を探していると、


 あった。5組か。誠人は…。


「早瀬」だから、同じクラスなら自分の下にあるはずなのだが…ない。


 残念。一緒のクラスやなかったか。なら、何組かの?


 1組から順に見ていくものの…どこにも名前がない。


 あれ?なんで? どーゆーことやか?見落としたかな?


 疑問に思い、再度1組から見直していると、


「真琴やん!あんた、この学校やったって。何組やった?」


 仲が良かった前の中学の同級生が声をかけてきた。


「おぅ!久しぶり! 5組ばい。元気やった?」


 再会を喜びあって近況報告。その流れで


「ところで誠人は?」


 核心に触れてみると、


「あー…」


 反応が渋い。イヤな予感がする。


「どげ…したん?」


 恐る恐る聞いてみる。すると…


「アイツね、試験中に倒れてね。」


 ショッキングな答えが返ってきた。


「はぁ?何それ?」


 後頭部を鈍器で殴られたような気がした。立っていられない程の動揺が襲いかかる。


「三時間目やったかな?でったん熱出て意識なくなったみたいでね。ボテーッ!ち。マジビックリしたっちゃが。あんた、試験中、救急車の音聞こえんやった?」


 そういえば!


 微かに記憶がある。しかし、その音は結構離れていたから気にもしていなかった。


「インフルエンザっち。拗らせて、かなり長いこと寝込んどったみたいよ。だき、卒業式やら打ち上げ出てないもんね。」


「マジでか~…」


 あん時の不自然な着膨れやら顔色っち、そのせいやったんか。寝込んでしまっちょったき連絡できんやったんやん。


 全てが繋がった。

 泣いてしまいそうになる。

 続く言葉が見つからない。

 なんとか、心を落ち着かせ


「んじゃ、私立?」


 聞いてみると、


「うん。たしかそう。ココ受けたヤツ、アイツ以外全員受かったきね。あっこ行くのアイツだけやったっち思うばい。」


 という返事が返ってくる。

 連絡先を知っているかと思い、聞いてみたけど知らなかった。念のため、この高校に入学した、前の中学の女子全員に聞いてまわったが、誰一人として知っている者はいない。


 誠人っち、女子とのカラミ全くなかったもんな。


 中学時代のコトを思い出す。

 女関係については安心できると思っていたが、このときばかりはそれがアダになってしまっていた。

 男子との交友関係はイマイチ分らない。一番仲の良い幼馴染に聞こうかと思ったが、どうやらこの学校にはいない模様。他にも仲良かった男子はいたはずだが、この学校にはいない。さっき名前を確認したとき把握済みだ。

 完全に詰んだ。


 どーするかな。


 途方にくれながら式を終え、帰宅していると着信音。

 見てみると…


 誠人!


 内容は、


 入学おめでとう!約束守れんでゴメンね。


 とのこと。

 居ても立ってもいられなくなり、すぐに電話した。

 ワンコール待たずにつながる。

 直後から謝りまくるのが妙に痛々しい。

 連絡が無かったことに関しては、ずっと寝込んでいたかららしく、昨日あたりからなんとか起きあがれるようになったとのこと。それと、不合格だったことが申し訳なさ過ぎて、言い出せなかったみたい。

 口調から悔しさが猛烈に伝わってきた。

 そのことでまた泣きそうになってしまう。

 しかし、いくら悔やんでも、こればかりはどうしようもない。

 だから。


 大学はゼッテー一緒んトコ行こうね!


 三年後の約束をし、高校生活を頑張ることにした。


鼻水が…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ