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チクホー・ゴースト・ストーリー  作者: Zee-Ⅲ basser
6/20

効果あり!

デート(仮)!

「仲良しになろう大作戦」は、只今絶賛継続中。


 この作戦のコトは、ごく仲の良い数名しか知らない。

 他のクラスメイトには未だ気付かれていない。

 だから、もう少し調子にのってみることにした。


 これまでは、登下校と休日の釣り、雨天の相合傘が主だったが、それに休日のデート(仮)などの項目も追加した。

 流石にここまで追加すると、クラスメイトとの遭遇が多くなるのだけど、それでもなお気付かれていない。


 マジで、どーゆーコト?


 誠人との組み合わせが、いかに有り得ないのかというコトを思い知る。




 努力の甲斐あって、さらに仲良くなることができた。

 二学期の定期考査も、放課後ツーショットで勉強した。おかげでいい点数が取れた。あとは冬休みを待つばかり。


 冬休みのイベントといえばクリスマス!

 これまではワルソ仲間と過ごしていたが、今回からは違う。

 とはいえ、どちらかの家に行ってパーティー!なんてことは、できるはずもなく。

 そんな勇気があるのならば、もう少し彼氏彼女みたいな感じになっているはずなのだ。

 が、どうにもヘタレ力が暴走してしまい、イマイチ思うような展開にはならない。

 それでも、どうにかしたい気持ちはある、というか、むしろその思いは強い。

 だから、


 なにか心に残ることがしてみたい!


 ということになり、クリスマスプレゼントを思いついたのだった。



 当日。

 目的地は隣町のショッピングモール。

 無料のシャトルバスが発着する駅での待ち合わせ。

 最早これはデートだ。

 そう考えると朝も早いうちからお互い目が覚めてしまい、テンション上がりまくりなのである。

 あらかじめ決めていた時間が近付き、

 今から出るよ。

 送信すると、

 分かった。

 と返ってくる。

 そのままバス停へと向かい、バスに乗る。

 20分程で待ち合わせの場所に到着。

 まだ来ていない。

 待つこと数分。

 別路線のバスが到着し、ドアが開く。

 降りてくる人の群。

 その中に


「おまたせ!」


 いた。

 照れくさそうな笑顔で駆け寄ってくる。


「いこっか?」


「うん。」


 これ、なんかいい!


 思わず感激。


 シャトルバスの乗り場へと歩きはじめる。

 その途中、


 傍から見たら彼氏彼女に見えるかな?見えたらいいな。


 並んで歩いていると、そんなコトが気になってくる。


 ヤバい。


 ニヤケそうになってしまう。

 ひたすら我慢した。


 自分だけテンパっているのは何だか悔しい、と思い誠人の方に目を向けると…。

 それ以上にヤバそうだった。

 もう、こっち見る余裕すらないといった感じ。

 目線が完全に泳いでしまっている。


 誠人も同じやん。よかった。


 と、思わず安心。

 ギクシャクしながら歩いてゆく。



 バス停到着。

 年末も近いため、シャトルバスを利用する人は多く、人混みで溢れかえっていた。

 しばらく待つと、バスが到着。

 大型バスなので、定員オーバーとまではいかなかったけど、列の最後尾に近かったから、当然の如くシートには座れない。

 吊革につかまり、揺られながら到着を待つ。

 特に激しい渋滞もなく、ショッピングモールに到着。


 バスを降り、並んで歩く。

 最初に立ち寄ったのは宝石屋。

 ショーケースを見ながら、


「これ可愛いね。」


「うん。っち、高っ!金とかプラチナっち、こげするんやね。欲しいん?」


「ううん。ただ、可愛いなっち思っただけ。」


「ふーん。」


 ピアスのコーナーで、足を止める。

 値段を見て、


「あ。これならなんとかなりそう。いる?」


「そーやね。欲しいかも。でも、まだ他の店も回ってみよーや?」


 ということになり、一通り見てまわることにした。


 服や靴、鞄なんかを見てまわったけど、そこまでピンとくるものが無くて、只今雑貨屋で物色中。

 そこで見つけた、金でも銀でもない、それでいて金属アレルギーとか起こしにくい素材でできたブレスレット。

 現実味ある金額のヤツだ。

 なかなかいい感じのデザイン。

 手に取り見ていると、


「気に入ったの、あった?」


 聞いてくる。


「うん。これ良いね。」


 答えると、


「気に入った?」


「うん。」


「じゃ、貸して?」


「へ?」


 不意にそれをツマミ上げるとレジへ。そのまま精算を済ませてしまう。

 呆気にとられていると、


「ほい。メリークリスマス。」


 照れながら、プレゼント用に包装されたソレをわたされる。


「あ…ありがと。」


 なんかもぉ!


 涙が出るほど嬉しかった。

 宝物がまた一つ増えた。


 よし!今度はウチの番!


 気合を入れて、何がいいのか考える。

 確実に喜ぶのは釣具だろうけど、ここにそんなものは売ってない。でも、きっと他に何かいいモノあるはず。

 見てまわっていると、


 !


 ニット帽が目に留まる。


 たしか、冬も釣りしよったはず。なら、これ被ったら温いよね?これがいいなら、ネックウォーマーもありやない?


 我ながら、なかなかいい考えだ。

 サプライズのお返しをしたかったので、ひとまず何事もなかったかのように通り過ぎる。

 で、


「ちょー、ここで待っちょって?」


 わざとらしくなってしまったけど、そこはご愛嬌。

 返事も聞かずに置いてあった場所へと向かう。

 似合いそうな色を選んでレジへ。

 そして、


「お待たせ!お昼にしようや。」


 店を後にし、フードコートへ。

 向かい合ってイスに座ると、


「はい!これ。」


 恥ずかしさを誤魔化すため、オーバーアクション気味に差し出す。

 すると、


「え…何?」


 見事なまでに固まってしまう。

 数瞬の後、


「あ…ありがと…何これ?」


 どうにか立ち直り、受け取って聞いてくる。


「見てみてん。気に入ってくれたら嬉しいけど…」


 ドキドキだ。


「どう?」


 袋の中を見て、


「うわ!これ、いーね!温そうやん。」


 想像していた以上に大喜び。


 よかったぁ…喜んでくれた!


 プレゼントした本人まで嬉しくなってしまう。


「誠人、今も釣り行きよんやろ?サブかろうっち思って。」


「たしかにサブいね。マジ嬉しい!大事に使う。」


 嬉しさが手に取るように伝わってきた。

 ひとしきり盛上ったところで昼食。


 そういえば、こげなトコで一緒にご飯とか初めてやない?


 勝手にテンション上げ上げで、内心はしゃぎまわる。

 でも、それはお互いだったりして。


 昼食を済ませ、しばらくお喋りした後、午後からの部開始。

 やっていることは友達と来ている時とほぼ同じなのだが、相手が違うとこうも楽しいのだろうか?としみじみ思う。

 流石、デート(仮)だ。

 恐るべし。

 このあともいろんな店を探索し、楽しいひと時を過ごす。


 そしてボチボチ夕飯の時間。

 これまでは、そんなコト気にせずダラダラと日付が変わるまで遊んでいたが、今は違う。

 間に合うように帰る。

 帰りのシャトルバスの時間はちゃんと調べてある。


 同じ町だけど、バスの路線が違うので、二人でいられるのは駅まで。

 既にバスは待機している。

 ドアは開いていて、乗ってもいいのだけど、どうにも名残惜しくて離れ難い。

 無理矢理話題を探し、一緒にいるための口実を作るのだが、ついに発車時間。

 名残惜しさを振り切るため、「せーの」で別れ、乗り込んだ。

 その瞬間、ちょっと泣きそうになる。


 シートに座り、


 楽しかったなー…デートっち、こげな感じなんやろーな。


 互いにさっきまでのコトをモーレツに思い出していた。


 どうにかして彼氏彼女になりたいな。そしたらもっと楽しいぞ!


 とは、二人が同時に考えていたこと。



 最高に楽しくて、思い出に残る一日となった。


台風です。

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