表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チクホー・ゴースト・ストーリー  作者: Zee-Ⅲ basser
4/20

バレた!

ついに好きな人がバレてしまった。けど、まぁいっか。

「ねぇ、真琴?あんた、この頃どげしたん?」


「ん?何が?」


「この頃、付き合いクソ悪くねぇ?」


「そっかね?」


 とりあえずとぼけてみるが、心当たりはある。否、あり過ぎる。


「『そっかね』っち、この頃お前…遊ぶとき、最後までおらんやねーかっちゃ!」


 たしかに。

 誠人を意識しだしてからは、夕飯に間に合うよう帰宅している。


「それそれ。あと、男おる時とか最初っからこんしね。」


 されてイヤなことはしたくないしね。


「どげな心境の変化?好きな男でもできた?」


 友達の一人が思いっきし核心を突いてくる。


「!!!」


 驚いたものの。


 そりゃ、あっこまであからさまやったら、誰にでも分かるよね。


 と、納得。

 言わない雰囲気をあえて醸しだし、勿体ぶる素振りを見せていると、


「誰?もしかして○○?」


 といった具合で、思い当たる男子の名前を片っ端から挙げてくる。

 がしかし、全くヒットしない。


 相手次第でこんなにもバレんもんなんやね。


 考えるとなんだか面白くなってきた。


 これ、一緒に帰ったとしてもバレんのやない?手ぇつないだりしてみよっかな?


 どこまでやったらバレるのか、試したい衝動に駆られるが、せっかく大事にしたいと思える人に出会えたのだ。いらんことをして嫌われたくない。

 考えを改める。


 自然体で行こう。

 それで友達に知られて、尚且つ何か聞かれた時にだけ、肯定するようにしよう。


 っち、あれ?なんかウチ、もう彼女になったげな気分で考えよるやん。


 浮かれている自分がいる。

 こんなコト、今までになかった。

 誠人のコトを想う度、ちょっぴりはしゃいでしまっている自分が妙に可愛かったりする。

 なんか笑いそうになった。


 いかんいかん。


 調子にのってしまいそうな自分にブレーキ。


 まだ付き合ってもないのに…


 根本的なことを忘れていた。


 誠人にも好みはあるんやき。告ったってフラれる可能性もあるんばい!もっと冷静になろうや!


 自分自身に言い聞かせる。


 フラれる可能性だってある…当然だ。


 けどでも。

 今は、そんな結末絶対に考えたくない!

 できることなら一緒になりたい!

 ウチ、多分…誠人のおらん毎日やら考えられんし!


 早いコト行動に移さんといかんよな。

 アイツ、見た目地味やき、今んとこ他の女から好かれちょーげな感じはせんけど、実際一生懸命で、いいヤツやもんなぁ。ウチ、そんなとこが好きになったわけやし。他のヤツ、そこに気付いたとしたら…好きになる可能性だって充分あるよね?っちゆーか、フツーに好きになるやろ。


 他の女目線で考えてみると、好かれる要素が結構あるコトに気付く。


 あんましグズグズしよって盗られるのはイヤやな。

 ウチだけの誠人であってほしい。


 独占欲が顔を出しかかっている。

 既に、とんでもなく大きな存在になっていることを実感。


 誰かに盗られる前に、どうにかして彼女にしてもらわんと!


 策は思いつかないが、とりあえず気合を入れてみた。



 友達から追及されて以来、何かのキッカケで、その類のハナシになることはあったが、面白いことにまだバレてない。


 どこまでウチと誠人の組み合わせっち有り得んのよ?


 いっそ、バラしてやろうかとも思ったが、我慢我慢。




 最初に追及されて数週間。

 ついにその時はやってくる。

 遊びの約束を断った(男が同行するから断った)日の放課後の出来事だ。


 六時間目もそろそろ終わるタイミングで突然の雨。

 ゲリラ豪雨的な雨でかなり激しい。雷も鳴っている。


 困った…傘持ってきてねーや。


 友達は、既に遊びに行ってしまっている。


 ま、止むかもやし、ちょっと待っちょこ。


 教室で雨が上がるのを待つことにした。

 30分ぐらい待っただろうか?雨は結構な勢いで降っていて、まだまだ止む気配がない。


 どげんするかな?


 時計を見ると、もうすぐ5時。

 ということは、もう少し待てばお母さんの仕事が終わる。その頃電話して迎え来てもらえばいい。

 ボーっとそんなことを考えながら外を見ていると、不意に背後から


「長谷部さん?」


 へ?


 誠人の声。

 完全に無防備だった。

 思いっきし鼓動が跳ねあがる。

 振り返ると、委員会活動で遅くなった誠人が教室の後ろ側の出入り口に立っていた。


「どげんしたん?もしかして傘ないとか?」


「うん。もぉちょいしたら親帰ってくるき、呼ぼうかっち思いよったっちゃ。」


「そーなん?オレ、傘あるき送ろっか?」


 思いもしなかった、嬉し過ぎる申し出。

 相合傘イベント発生だ!

 断る理由なんかあるわけがない。ないのだが、家が逆方向なのであまりにも申し訳ない。


「マジ?家、反対なんにいーと?」


 一応確認。

 すると、一切躊躇うことなく、


「うん。いーくさ。帰ろ?」


 もしかしてこの流れ。

 誠人もウチのコト…

 ついつい期待してしまう。


 靴を履き替え昇降口へ。

 少し照れくさそうに傘を開き、


「はい。どーぞ。」


「ありがと!」


 比較的大きな傘なので、極端に密着はできないけど、それでも嬉しい距離。


 お喋りしながら歩く。

 自分よりも少しだけ背の高い誠人。若干見上げつつ喋る。

 ちょっとした言い回しに本人の優しさが垣間見える。

 たまに重なる視線。照れくさいのか、すぐに逸らしてしまう。

 なんかいい。すごくいい。

 やっぱし今までの男とは全く違う。

 一緒にいて安心できる。

 時折、


「雨、かかりよらん?大丈夫?」


 心配してくれる。

 これがまた、とんでもなく嬉しい。




 しばらく歩き、ほぼ中間地点。

 いつも入り浸っていたゲーセンや本屋、ラーメン屋などが一緒になった施設の前にさしかかった時、


「真琴!」


 突然友達から呼ばれ、声の方に視線を移す。

 同時に誠人もそちらを見たため傘の角度が変わり、声をかけてきた友達に顔が見えてしまう。

 瞬間、


「なんで早瀬?」


 気付かれ、驚愕の顔でこちらを見ている。


 あちゃ~…これ、ゼッテー感づかれたよね?


 言い訳できない状況。

 しかし、ここで焦った表情を見せるわけにはいかない。

 精一杯平静を装い、


「ん?ちょうど傘持っちょったき、入れてっち頼んだ。」


 答えると、何かを察したのだろう。


「ふーん。そーなんて。」


 と、一言。

 それ以上は何も聞いてこなかった。


 誤魔化せたのか?それとも…。


 友達の心が読めない。


 バレちょったんなら、明日学校でなんか聞かれるやろ。


 考えても分からないので、成り行きに身を任せることにした。

 そして再び歩き出す。

 直後、


「長谷部さん?なんでウソゆったん?別にホントのことゆってよかったんに。」


 と、誠人。


「マジで?なら、ありのままを言えばよかったね。なんかね、誠人真面目やき、こげなチャランポランな人間と友達とか思われたら申し訳ないき。ヤな思いするんやないかっち思って…。」


「そんな。イヤやったら一緒に帰ろうとかゆったりせんよ?」


 照れたような笑顔でハッキリと言われた。

 その一言が、自分を認めてもらったみたいで心の底から嬉しかった。

 ますます誠人のコトを好きになっていく。




 次の日。

 朝、顔を見るなり、


「ちょー!真琴!」


 手招き。

 小さめの声で


「昨日のアレ!」


 すぐに何のことを言っているのか分かってしまう。

 かなりこっぱずかしい。


「ん?何のコト?」


 とりあえずとぼけてみるが、


「いーちゃ!で?お前の好きな人っち、やっぱ早瀬なん?」


 核心を突かれ、思わず赤面。

 その反応を見られ、


「マジでか!」


 再度驚かれたものの、


「意外やけど、まぁ…ガンバレ。」


 応援された。


「そっか~。早瀬やったか~。」


「なんで分かったん?」


 聞いてみると、


「はぁ?分からんとでも思った?」


「昨日、声かけた時、今みたいに真っ赤やったんばい?」


「嬉しそうな顔しちょったもんね。あれじゃモロバレやん。」


 だそうで。平静なんかまるで装えてなかったらしい。


 それでか~…納得。


「絶対本人にバレんよーにしちょってよ?時が来たら…勇気ができたら自分から告るっちゃき!」


 この場にいた友達全員にキツく口止めした。


昨晩ムカデが出ました。怖かったです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ