『爆』初デート・中編
さあ、いよいよ急展開です。
前回に引き続き、舞台は『遊園地』です。
どうぞお楽しみください。
デート開始から数時間が経ち、
陽が落ちてきて辺りが暗くなり始めた。
「ジェットコースター・コーヒーカップ・メリーゴーランド、どれも面白っかたですね」
優梨がそう言うと、おれも頷いた。
遊園地は何度か来たことがあったが、その中でも一番だと思った。
「さあ、そろそろデートも終盤ですし、観覧車に乗りましょう」
「えっ?でも観覧車はさっきは…」
「今はいいんです!」
「もう、さっきから意味わかんないぞ!」
優梨が言うままに観覧車に乗った。
◇◇◇
そこから見えた景色はとても綺麗だった。
どのくらいかと言うと、
言葉が出ないくらいとしか言えない。
とにかく綺麗だった。
が、しかし、
もっと綺麗に見えるものがあった。
それは、優梨だった。
とてもじゃないが話しかけられない。
彼女の長い黒髪が夕陽に照らされ、更に綺麗に見えた。
いつもの何倍も綺麗だった。
沈黙が続き、ちょうど観覧車が半周したころ、
ようやく、優梨が喋り始めた。
「亮太さん…」
顔が真っ赤になっていた。
「ど、どうした」
一瞬、言葉に詰まる。
「あのですね…この観覧車は、恋人同士が一緒に乗ると…」
「みなさーん、こんにちはーーーーー」
ふぬけた声が聞こえてきた
優梨の声ではない。
そこには、趣味の悪いドクロマークの覆面をかぶった集団がマイクを持って喋っていた。
「こんばんはの方がいいかなぁ、まあいいや」
「僕たちは、陸の海賊団でーす」
「陸の海賊団!?」
聞き覚えのある言葉に、俺は昨日ニュースを思い出していた。
「今日未明、連続殺人犯の疑いで山崎大吾被告[42歳・無職]が
逮捕されました。山崎被告は犯行を認めており、犯罪者集団・陸の海賊団に所属していると
供述しています。警察は陸の海賊団への警戒を強めるとともに情報提供を呼びかけています…」
「思い出した」
「なにをですか?」
不思議そうな彼女は陸の海賊団を知らないようだった。
「あいつらは犯罪グループだ」
「そうですか」
ずいぶんとあっさりした返事だった。
というか、なぜか拗ねていた。
「いいところだったのに、台無しですわ‥‥」
ぼそぼそと呟いて、あまり聞き取れなかった。
拗ねている彼女に対して俺は焦っていた。
誰だってそうだろう、
凶悪犯罪者集団が目と鼻の先にいる状況で冷静な方がおかしい。
そんなこと思っている間にマイクを持っていた男が再び喋り出す。
「いまーー、みなさんのいるこの遊園地には爆弾が仕掛けられいまーす一時間もすればこの遊園地は大変なことになりまーす、解除したければ、謎を解いてくださーい」
すると上空に待機していたヘリが無数の紙をばらまいた。
なんだこれ?
俺は不思議に思い、観覧車の窓から手を伸ばして紙を掴んだ。
そこには、
〈陸の財宝の在り処はど〜こだ〉
と書かれていた。
男はヘリにある紙が無くなったことを確認すると、
マイクを他のメンバーに渡し、銀色の銃を空に向かって撃った。
弾丸は勢いよく空に向かって飛んでいった。
それと同時にマイクを渡された他のメンバーは声をあわせて、
「スターーート」
と叫んだ。
それから数秒が経ち、ドッカーンと音を立てジェットコースターが壊れた。
遊びに来た家族連れやらカップルやらが悲鳴をあげる。
「なんだこれ‥」
観覧車から見ていた俺には、その悲惨な光景がよく見えた。
さっきまでのとはまるで違った景色がそこにはあった。
「おい、優梨」
「な・ん・で・す・か?」
優梨はこの状況でも拗ねていた。
「観覧車から降りたら、俺の言う通りに動いてくれ」
「いいですけど、なにをするんですの」
「あいつらは多分、これをゲームだとに思っている」
「ゲームですか」
「ああ、あいつらはこの状況を楽しんでいるんだ、許せない」
すると、優梨は笑みを浮かべて言った。
「わかりました」
「そうか…って、まだなにも言ってないが」
「あの人たちの気を引いて次の爆破まで時間を稼ぐ」
「エスパーかお前」
優梨の言っていることは俺の考えとほぼ同じだった。
「亮太さんの考えていることぐらいわかりますよ。未来の妻として…」
最後の部分が気になるがまあいい。
詳細を優梨に伝えて、
観覧車から降りるとともに、俺は走り出した。
この謎、解いてやるよ。
読んでいただきありがとうございました。
次回はついに決着です。
是非読んでください。