転入生が来た日
自分の理想の天才を書きました。
少しイタイですが、読んでくれたら嬉しいです。
俺の名前は、池上亮太超頭のいい高校二年生だ。自分で言うのもなんだが成績はオールA・テストでは100点以下を取ったことがない。そんな完璧な俺だが、最近、理解できない感情がある、
『それは、恋愛感情というものだ』
親に聞くと、「あんたもそんな年か」と言われ。女子に聞くと、気持ち悪がられ。また、男子に聞くと笑われる。
そんな時だった、彼女が転入してきた…。
◇◇◇
「転入生を紹介する」
在り来たりな転入生の紹介とともに姿を現したのは、とてつもない美少女だった。黒髪ロングの清楚系。枝毛などは一切なく、整った顔立つは人形のようだった。
「今日から皆さんと一緒に勉強します。三枝優梨です…」
そう。彼女の名前は三枝優梨、基本的には無口で無愛想だが、その容姿には誰もが目を奪われる。転校初日に俺を除く、クラス全員から告白されるほどの超絶美人だ。
「ん?」
一瞬彼女がこちらを見ているような気がしたが気のせいだろう。自意識過剰かもしれないが、でもチラチラとこちらを見ているような気がするのは本当だ。
◇◇◇
三枝優梨が転校してきて2日目の放課後。いつものように、自分の下駄箱を開けるとそこには黒い封筒があった。なんだなんだ?世に言うラブレターか?でも黒いラブレターってなぁ。そんなことを思いながら封筒の開ける。
それを見たときの第一声は「マジか」だった。
『三枝優梨は預かった。返して欲しければこの暗号を解け。A62B・42』
そこには、三枝優梨の写真と暗号、文章が添えられていた。
「これを暗号と言っていいのか?」
俺の気を引いたのは三枝優梨の写真ではなく、暗号の方だった。これは暗号と呼べるレベルのものではない。まず、前提として特定の俺に対する手紙に『この暗号を解け』と書かれているからには学校でないと解決の糸口がなくなる。よって三枝優梨の身柄はこの校舎のどこかだ。そこで、A6。これはA・B・C・D・Eの5つある校舎の中のA棟6階を表している。次に、2Bは2年B組の教室とわかり、42は出席番号だとわかる。
謎解きおしまい。場所がわかったからには見て見ぬフリをするわけにもいかない。俺は下駄箱から方向転換して教室に行くことにした。
◇◇◇
「出席番号39、40、41、42っとあったあった。ビンゴだな」
出席番号42番の席の机の中に鍵を見つけた。やっぱりさっきのものを暗号と言うのはちょっと…。古臭い鍵にストラップで◯◯室と書かれていることはわかるが、はっきりと文字が読めない。
普通ならばここから先はわからないだろう。しかし、俺には関係ない。鍵の形から鍵穴の形を推測、それに一番近いものを学校内で俺が記憶している鍵穴を導き出す。
「ふぅ。体育倉庫のかぎかな」
ここまできたら行くしかないだろう。警察に連絡してもいいけど、正直面倒くさい。仕方がない一人で行くか。
◇◇◇
そこには三枝とサングラスをかけた怖そうな男がいた。いわゆるSPだろうか。そんな姿だった。グラサン男と呼ぶようにしよう。そのグラサン男は俺が来た途端に『待ってました!』と言わんばかりの勢いで殴りかかってきた。
「え?」
瞬殺だった。成績がオールAといっても運動はてんでダメな俺はあっさりと気絶してしまった。我ながら情けがない。
数時間後。
「あれ…ココはどこだ」
体育倉庫の小窓から差し込む夕日がやけに眩しい。時計はないが、時刻は午後5時を回ったところだろうか。
どこか見覚えのある黒髪ロングの女子生徒がそこにはいた。制服を見る限りではうちの高校の生徒だ。
「大丈夫ですか?」
微笑みながらそう言った彼女は、俺に対して膝枕をしていた。ぼんやりとしていた意識がだんだん戻ってくると自分が誰に何されていたのかを理解し始める。意識がはっきりとして見覚えのある顔に、一瞬絶句した。
「えええぇぇぇぇぇさぇぇぇぇえぇぇぇぇぐぇぇぇぇさぇぇぇぇ」
「はい!三枝優梨です」
えええぇぇぇぇぇの中にさ・え・ぐ・さが入るぐらい驚いていた。状況の理解に数分を要したが、俺は三枝に質問をする。
「そういえば…あのグラサン男はどこへ行った?」
「グラサン男?あぁ、あの方ですか。覚えてないのですか?私がギッタギッタにしましたけど…」
彼女の言葉にキョトンとした俺だったが、直ぐに冷静になり聞きなおした。
「えっと…それはどういう?」
「あっ言い忘れてましが、私あなたの恋人になることになりました」
「「え?」」
もう彼女が何を言っているか理解できない。さっきよりも強めな口調で聞き直した。
「それはどういう事だ!」
「そのままの意味ですよ。私、あなた一目惚れをしていたのですが、なかなか話す機会ができなくて困っていたのですけどちょうど良い機会なのでワザと捕まっていたのです」
おいおい、それって俺が助けに来なかったどうなっていたんだよ。まあいいや、それによりも、なんで一目惚れから勝手に恋人になってるんだよ。
「それと恋人に何の関係があるんだ?」
「私を拘束した者(グラサン男)を調べてみると父の家紋が入った身分証明書が出てきたのでてきました」
「はぁ」
「つまり、この男は父の部下だったのです、そこで、父に聞いたところ私とあななたは許婚だったのです」
「はぁ。…はぁ?」
ついに痛恨の一撃が俺を襲った。理解ができないとかそういうレベルじゃない。許嫁とかどこの漫画だよ。現実にあり得たのかよ…。
「そういう事だ」
声の方に目を向けるとそこには、俺のよく知る人物と見た事もない老紳士がいた。老紳士はシルクハットをかぶり、全身真っ白の服にステッキのようなもの持っている。なかなか強烈な人だなぁ。だが、俺にはもっと氣になる事があった。
「親父!?、どうしてここに」
よく知る人物とは、俺の親父だったのだ。因みに、俺の親父の名は池上七三郎職業については昔から謎のままである。
親父への質問に対して答えたのは老紳士だった。
「あなたが優梨にふさわしいかテストしていたのですよ」
「お父さん!?」
その言葉に驚いたのは、俺ではなく三枝の方だった。聞くところによれば親子ならしい。通りで顔つきが似てるのか。それにしてもイケメンだな、三枝のお父さん。全身真っ白で強烈ではあるけれど、逆にそんなことができるのは限られたイケメンだけだろう。
「和宏さん、この様子では決定ということでいいですかね?」
後でわかったことが、三枝のお父さんの名前は三枝和宏。由緒正しきお家の当主ならしい。こちらも職業は不明。
「はい。優梨を頼むよ亮太くん」
「えっ?俺がですか?まだあって1日ですけど…」
「なにか問題でもあるのかねっ!」
この一言で俺は…三枝・父の威圧により許嫁を受け入れることになった。親父にはいろいろ聞きたいことがある。
「いえ、全く。あはは…幸せだな」
「では、早速デートに行きましょう」
「は!?、少しは俺のこと考え…」
言いかけて止まった。何か殺気のようなものを感じとったからだ。殺気の主は、もちろん三枝・父だった。
「おう……デ、デートしようか」
読んでいただきありがとうございました。
次回作も是非読んでください。