プロローグ
私はとても憂鬱だった。何故ならクラス委員会の会議で、寝ている間に私が図書委員に決まってしまったからだ。それは寝ていた私が悪いのはわかっているが、誰か一人でも私を起こしてくれる者がいてもいいではないか。そう思い、不満を募らせながら図書室まで歩いていく。早速初日から図書委員の仕事。放課後は交代で本棚の整理をしなさいとのことだ。時給でも出ればいいのにボランティアのようなものだから、もちろんお給料はなし。こんなこと先生に愚痴をこぼしたら怒られるだろうが。
クラスの友達は帰りにクレープ屋寄ろう!と楽しく話しているのが聞こえて、私が羨ましそうに見つめたら「図書委員の仕事終わったら合流ね!」と言ってくれた。私にはその楽しみが待っているので、早く仕事を終わらせる義務がある。
頭の中はクレープのことでいっぱいだ。そのために黙々と本の整理をし、少し鼻歌なんかも歌いながら作業をする。ふとおかしなタイトルの本を見つけた。
「今日からあなたもお姫様?」
なんともへんてこりんなタイトルの本に思わず手を伸ばした。
しかし、本の中身は真っ白。活字も何もないまっさらな本を置いて、何がしたいのだろう。まさか私だけの物語を自由に書いてください、などという発想であろうか。
「風?」
わけのわからない本はしまおうと思ったとたん、この本から風が吹いてきた。本から風が吹くなんておかしな話…と思っていたら私は意識を飛ばしてしまった。