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4 アンデッドの願い

 スケルトン。骨だけのアンデッドモンスター。

 放置された死体にレイスが乗り移って動き出すゾンビと違い、スケルトンの誕生はほぼ外道魔術によって意図的に生み出される。

 実体を持つため、ゴースト系と違い、物質界に直接干渉出来る。敵に対し、武器を手に攻撃してくることもある。骸骨戦士スケルトンソルジャーとも呼ばれる。

 肉体の痛みは感じず、魂はあるもののほとんどの場合は生前の自我を残さない状態で蘇る。そうすることで死の恐怖を感じない、不屈の戦士が生まれる。

 欠けの無い人骨であればあるほど、魂の定着率が良い。寄せ集めの骨を使うと、低級霊が憑依することがある。骨の持ち主だった魂がもっとも定着しやすく、また難しいとされる自我を残すことも、高い確率で成功する。自律し、思考する、質の良いスケルトンが出来上がる。

 この場合、肉体から剥がれた魂をすみやかに定着させるため、死後間もない処置が必要となる。性質として肉体を離れた魂は、精神界に引っ張られるので、肉体から剥がれた直後の魂をいったん魔石や別の死体にれておくなどして、手許に残す必要がある。

 スケルトンを忠実なしもべとして使役するためには、手順が必要となる。

 なるべく美しい状態で残った骨を用意し、定着率の良い魂を憑依させる。本人のものであればなお良い。

 その際に、使役したい魔道士本人の魔力と魔素を与え、魂の指紋というべき〈魔紋〉に、魔法で〈使役呪印〉を書き込む。

 この手順を踏まずに誕生したスケルトンは、主人無しとなり、他のゴーストモンスター同様に、ただ現世を彷徨うのみである。闘争心の強い魂だと、生者や他のモンスターに襲いかかってくることもある。




《竜胆館》の四階は、比較的アンデッドが少なく、安全だった。最上階だからか損傷部分も少なく、ここが一番怖くないのだと、子供のスケルトン・エリナが言った。

「エリナはいつも、この部屋に隠れてるの。外はね、ユーレイがいるから」

 彼女は小さな骨の体をカタカタと動かし、桜の手を引っ張りながら、軽やかに廊下を歩いた。

《桜の間》と書かれた部屋の前で立ち止まり、華奢な指で指し示す。

「ふーん、《桜の間》ね。あたしの名前と一緒だわ」

「へえー。お姉ちゃん、サクラちゃんって言うの?」

「そう。サクラちゃんって言うのよ」

 エリナが喋るたびに、声帯も無いのにカクカクと顎の骨が動くのが、芸が細かいと桜はつい思ってしまう。

 ゴースト系も実体が無いくせに、妙な叫び声やら笑い声やら出しているので、同じ理屈で喋っているのだろうが。

 スケルトン少女は、骨だけの体にわたあめウサギというキャラクターのポシェットだけを身に着けている。

 ポシェットの紐には、さっき桜があげたねこスライムのストラップが下がっていた。

「姐さん、オレが先に」

 鯛介がハンマーを手に、部屋の前に立った。

「だいじょーぶだよー」

 と言いながら、エリナの骨の手がドアの取っ手を掴んだ。

 鍵は壊れているようで、エリナが扉を押すと、簡単に開いた。その間に、さっと鯛介が体を滑らせる。

 先に入って、言った。

「ホントだ。なんも居ねえっす」

「わー、ベッドがあるんだねー」

 やえも魔法の光を携え、中に入った。長時間は使えないと言っていた、フロア全体を明るくする魔法はとっくに切れ、パーティーの周囲を照らす程度に留めている。

《桜の間》は、和室の多い旅館の中で、珍しい洋室だった。

「この部屋の中には、レイスは来ないわけ?」

「うん。そうなんだー」

 たしかに、あれだけいたレイスが、四階には比較的少ない。エリナと合流してからは、一度もその姿を見ていない。

 エリナは桜から手を離し、慣れた様子で部屋の奥に入っていった。

「こっちだよー」

 スイートルームといったところだろうか。広々とした部屋に、大きなダブルベッドが二つ並んでいる。大きなソファもあった。

 いままで見た部屋の中でも、かなり損傷が少ない。

「おお、けっこういい部屋じゃねーか」

 と続いて部屋に入ってきた夜が、子供のようにきょろきょろと部屋を見渡しながら、何故か嬉しげに言った。

「そうね。アンタ、ここに住んだら?」

「住むか!」

 煩いのでとりあえず先に部屋の中に蹴り込んだ。

「でも、どうしてかしら? どこもかしこもレイスだらけなのに、この部屋だけ、なにか特別なのかしら?」

 桜の疑問に、最後に部屋に入ろうとした灰児が答えた。

「いや。レイスやポルターガイストに比べて、スケルトンのほうが明らかに格上のモンスターだからだよ」

「スケルトンって、あの子? エリナ?」

「そうだね。四階やこの部屋が比較的安全ってわけじゃない。ただ、あの子をゴーストのほうが避けている。それをあの子が四階は安全だと思い込んでるだけだよ」

「でも、あたしを見てオーガだってブルブル震えてたわよ?」

「ぶっ」

 と灰児が珍しく噴き出した。桜はそのみぞおちに軽く肘を入れた。

「笑うな」

「う、ごめん……。えーと、なんの話だったっけ?」

「実際、エリナは戦えないでしょ。あたしを見てあんなにビビッてたんだから」

「それは、エリナ自身には戦いの心得も、心構えも無いわけだから。モンスターを見れば怖いのは怖いだろうね」

「おいこら。誰がモンスターよ」

「いや、そう見えたっていう話だよね……?」

 桜に睨みつけられ、灰児は涼しげな顔に引き攣った笑みを浮かべた。

「サクラちゃん、こっちだよー」

 エリナは古ぼけた大きなベッドに腰かけ、桜たちを手招いている。桜はとりあえず手を振っておいた。

「後で行くわ。そっちのお姉ちゃんお兄ちゃんたちと遊んでて」

「はーい」

 素直にエリナが返事をする。

 入り口に留まったまま、二人は話を続けた。

「スケルトンは物質界に存在するモンスターだから物理的な攻撃も出来るけど、同時にアンデッドの特性も持っているから、ゴーストにダメージを与えることが出来るんだよ。逆にゴーストの攻撃はスケルトンに対し、ほぼ無効だ。あいつらは騒ぐことで、地味に精神攻撃してるだけだから」

「あの子には精神あるわよ。自我があるじゃない」

「スケルトンは契約によって使役されることで、強度を増す。魂もね。ちょっと驚かされたぐらいじゃそうそう消滅しないよ。逆にゴーストにとっては、スケルトンがそこにいるだけで脅威だから。それに……」

「それに?」

「ここからは、僕個人の推測というか、想像なんだけど」

「いいわよ、話して」

 エリナのほうを見やると、無邪気な八歳の少女は、すっかり一行に順応し、やえからロッドを借りて、魔法のステッキのように振り回して遊んでいた。

 空を飛ぶ呪文を唱えると、鯛介がその小さな体をひょいと抱え、宙を行ったり来たりさせてもらい、楽しげな笑い声を上げている。

 少女の姿がスケルトンであるというのが異質だが、それを言うと鯛介の姿も見る者が見ればモンスターだし、やえは頭の中がモンスターだ。

 今度は、攻撃の呪文を唱えて、夜にロッドの先を突き出す。夜は律儀に苦しんで倒れていた。大げさすぎる演技に、今度はみんなで笑う。

「……アイツら子供と遊ぶ才能あるわね」

「確かに」

 灰児が目を細め、それから言った。

「僕の憶測に過ぎないけど。エリナはオーガ……失礼、桜を怖がったときほどに、ゴーストを怖がっていないと思う」

「アンタ、いまわざと言わなかった?」

「いや……」

「目を逸らすな」

「話を続けよう。つまり、これだけゴーストだらけの場所にいて、まず恐れるならやっぱりアンデッドだと思うんだよ。でもそうじゃなくて、彼女はよく見もしないで桜をオーガだと言って怯えたんだよね? 普段からゴーストに怯えていたなら、オーガと間違うよりはアンデッドと間違うのが普通だよ。桜の姿がいかにもオーガってわけじゃないなら」

「しつこいわね。……まあでも、そうね。冒険者っぽい見かけをしたレイスも、何体か居たものね。ぱっと見なら、あたしのこともレイスと思うはずよね」

「ああ。だから、彼女は普段から、それほどゴーストモンスターを恐れていないんじゃないかな。というか、判っている。傍にいてありがたい存在じゃないけど、本気で自分に危害を加えることは出来ないってことを」

「それを、誰かに教えられていたってこと?」

「もしくは、本能的に判っている」

「スケルトンだから?」

「もしくは、彼女がシャーマンの力を持っているから」

 そこから灰児は、より声をひそめた。エリナに聴こえないようにだろう。

「彼女をスケルトン化した人物は、間違いなく力の強いシャーマン……というか、死霊魔道士ネクロマンサーだ。だが、彼女自身にも、高いシャーマンとしての資質があるはずだ。本人の骨に本人の魂を、あれほど自我を残して定着出来たのなら、かなり上質のスケルトンだよ、彼女は。素材としてはね」

「ふーん。この依頼が終わったら、あたしが引き取って鍛えてあげようかしら。すごいスケルトンソルジャーになるかも」

「かもね」

 灰児が苦笑する。桜の言うことは、時々冗談か本気なのか判別が付かない。案外本気なのかもしれないと思う。

 二人をよそに、仲間たちは部屋の中でエリナと遊びまくっていた。

「よーし、ピンポンパンゲームやるよー!」

「オオー!」

「え……えー? マジかよ」

「わーいわーい。なにそれ?」

 合コンの幹事になりきったやえのかけ声に、鯛介と夜とエリナの声が上がる。

「……しまった。ピンポンパンゲームが始まったわよ」

「ああ……あれはメンツが要るんだよね」

 面倒臭げな桜に、灰児が半笑いの顔で頷く。やえが大きな声を上げた。

「サッちゃーん! ハイちゃーん! 早く、ピンポンパンゲームやるよー!」

「わーい、ゲームゲーム!」

 ベッドの上に立ったエリナが、両手をバンザイしてはしゃいでいる。

「わたし、ゲームするのひさしぶり! はやくやりたい!」

「ふっふっふっ、コレ憶えておけば合コンでも宴会コンパニオンのバイトしたときにも役に立つからね~。じゃあ、お姉ちゃんがルールを説明するよ~!」

 やえが両手に腰を当て、得意げに大きな胸を張り出した。

「あのバカ、子供になに教えてんの。しかもいまどきやんのかしら、あのゲーム」

 桜が冷たい目を向ける。

「やるんじゃないかな……やえの行く合コンでは」

「負けた奴から脱いでく罰ゲーム付きでじゃないの?」

「ん……」

 と頷きかけた灰児だったが、やえの私生活を想像すると深い闇に引きずられそうなので、強引に話に逸らす。

「しかし、この事件の大きな手がかりを持っているのは、あのエリナに違いない。こちらに心を開いて、すべてを話してもらうのに、必要なことかもしれないね」

 真面目な顔で言う灰児に、桜はふっと優しい笑みを向け、言った。

「ピンポンパンゲームが?」

「……う、うん……いや、まあ、手段はどうあれ、ね……。親しくならないと……」

 と言う灰児の、淡い緑色に透き通った瞳が、暗く沈んでいった。

「やりたくないんでしょ?」

「うん……」




 やえの主導で、ピンポンパンゲームに始まり、ありとあらゆる宴会ゲームをひととおり遊んだあとには、すっかり夕暮れになっていた。

「結局、夜にはなるわけね……」

 と桜は呟き、ソファに腰かけたまま、窓の外を見た。曇りガラスかと思ったら、埃かぶって薄い膜のようになっていた。

 それでも多少は外の様子が分かる。来るときに通ってきた広大な駐車場が見えた。ゲートは閉ざされている。

「お姉ちゃんたちがここに来たの、ここから見えてたよ」

 ベッドに腰かけたエリナが、小さな両足をぶらぶらとさせている。生きた人間と楽しく喋って遊んだせいか、彼女は始終興奮気味だった。

「そういえば来たときに、なんか上にいるなと思ったな」

 ランタンを部屋の中央に置き、夜が言った。

「それ、エリナかも」

 エリナが自分のしゃれこうべを指差す。

「たしかに、白かったような……」

 何気無く言ってから、夜ははっと気まずげな顔をした。白い姿というのは、彼女が骸骨であることをありありと示している。それを軽々しく口にしたことを反省したようだった。

 だが、エリナはあまり気にしていないようだった。首がかくっと窓のほうを見やる。眼の無い黒い空洞で、彼女は周囲の様子がきちんと分かる。桜たちの判別も付くようだ。

「うん。外に誰かいると思ったからね、窓から見てたの」

 赤く染まった空の、上のほうはもう暗くなってきている。

 廃墟から眺める外の光景は、なかなか物寂しいものがある。

 ここから一人、少女はいつも外を見つめていたのだろうか。

 いくら自身がモンスターになったとはいえ、あまりに寂しく、恐ろしい場所だ。

「コワい人たちが、エリナたちを探しに来たのかと思って、かくれちゃったけど」

「怖い人たち?」

 エリナの横に座ったやえが、柔らかい声で訊き返す。その手はきゅっとエリナの骨の手を握っている。

 お前のほうが子供かというテンションで率先して遊んでいたやえは、男にはだらしないが、意外に子供受けは良く、すっかりエリナの心を掴んでいた。たしかに間延びした雰囲気は、子供にしてみれば優しげだし、エプロンを付けて、保育園の先生も向いてそうだ。

「あたしたちは大丈夫だよ。ちゃんとエリナちゃんを安全なところに連れて行くからね」

 エリナはやえを見上げ、しばらく黙っていた。が、やがて俯いてしまった。

「うん……やえちゃんたちは、コワくないよ。けど、ほんとにコワい人って、やさしいふりしてるんだって、お父さんは言ってたの」

「うーん。それはそうかも~。やえも、優しく近寄って来た人に、けっこう騙されちゃったからね~」

 うんうんと頷くやえが、とんでもないことを言い出さないかと内心危惧しつつ、仲間たちは黙って見守っていた。

 日没は近づいているが、ここで焦ってエリナから充分な情報を引き出せないのでは、意味が無い。

 だんだんと暗くなる部屋に、ランタンの明かりだけでは薄暗いと感じたのか、夜が光明ライトの魔法を唱えた。

「光よ、この手の中に」

 詠唱とともに、夜の手の中から光の球体が生まれ、ふよふよと部屋の天井に向かう。光の塊が弾けて、電気が点いたように部屋が明るくなる。

「わぁー! 明るい! ふつうのお部屋みたい!」

 エリナが手をかしゃかしゃと合わせて喜ぶ。

「夜くんは、ソーサラーなの?」

「ほんとは、やえちゃんがソーサラーなんだよぉ。でも、夜くんのほうが魔法は上手なの~」

 やえが笑い、ぺろっと舌を出す。それを夜が呆れた目で見る。

「お前……言ってて哀しくないのか?」

「でも、やえさん、位置取りとかすごいバッチリですよ!」

 鯛介が慌ててフォローする。

「ありがと、タイちゃん。でもね、魔法はダメダメだけど、騙されるってことに関しては、やえは、けっこうベテランだと思うの。これだけは、誰にも負けないよ」

「いや、それだけは勝ちたくねーよ」

 突っ込まずにいられない夜の頭を、桜が後ろから平手で叩いた。

「でもね。そのやえが、サッちゃんたちのことは、すごくいい仲間だって思ってるんだよ。だから、エリナちゃんも、安心していいんだよ。サッちゃんたちはすっごく強いんだから。怖い人もゴーストも、ちっとも怖くないよ」

「ん……」

 エリナは頷き、足をブラブラさせながら、向かいに座る鯛介をじっと見る。

「うん。タイくんは、すっごく強そう」

「えっ、オレっ?」

 と鯛介は自分を指差し、仲間たちを見回す。本人は驚いているが、人間の子供の目から見れば、そうだろう。アーマーを着込んだ人間よりも、リザードマンの威圧感は凄まじい。人間の不良もチンピラも、リザードマンを見れば大人しく道を開ける。

「怖い人に、ここまで連れて来られたの?」

 暴行被害者の女性に聴き取りをする婦人警官のように、やえは優しく切り出した。

「思い出したくなかったら、いいんだよ」

 頭骨を撫でるやえの言葉に、小さなスケルトンは首を振る。そして、少女は語り出した。

「……エリナのお父さんは、お金がないから、いっぱいお仕事しなきゃいけないって言ってた。でも、いっしょにお仕事してる人たちは、コワかったの」

「そっかー。パパがどんなお仕事してたか、エリナちゃんは知ってた?」

「ううん。わかんなかった。でも、魔法を使ってお仕事してるって、言ってたよ」

「お仕事をしに、お父さんはいつも出かけていたのかい?」

 壁を背にした灰児が尋ねる。

「うん。ときどき、なん日かいなくなってた。そのときはね、エリナのとこには、おじちゃんとおばちゃんがよく来てくれてたよ」

「おじちゃんとおばちゃん?」

「捜索を依頼してきた柴田という夫婦だよ」

 桜の呟きに、灰児が答える。

「ああ、知人の」

 と桜は納得し、頷く。

「ここには、お父さんがつれて来てくれたの」

「二人で来たの?」

「うん」

「エリナちゃん、パパのお仕事についてきたこと、無かったんだ? じゃあ、ここには、エリナちゃんは来たことなかったの?」

 やえが尋ねると、エリナが大きく頷いた。

「うん! こないだお父さんがね、りょこうにいこうって、いったの! ゴールデンウィークにどこもつれてってくれなかったから、つれてってくれるって! エリナのすきなとこ、ぜんぶだよ! ゆうえんちも、どうぶつえんも、すいぞくかんも!」

「えらくいっぱい行ったなー」

 鯛介が目を細めながら、うんうんと頷く。

「そんなにたくさん、全部行けたのか?」

「うん。あさくさのゆうえんちも、いけぶくろのすいぞくかんも、うえのどうぶつえんも、ぜーんぶ!」

 興奮気味に少女が声を上げる。よほど嬉しかったのだろう。

「それとね、オンセン!」

「温泉? えらく渋いな」

 と夜が感心したように言う。

「お母さんがオンセン、すきだったの! エリナが生まれるまえ、お父さんとお母さんはよくいっしょにいってたんだって。大きいおフロがあるとこだって」

「わぁ、ステキだねぇ。やえも温泉で働いてたことあるよー。そのとき付き合ってたカレシの借金のカタに……」

「それ以上はやめろ!」

 夜が慌てて怒鳴ると、てへっ、とやえが舌を出す。

「それで、温泉には入ったの?」

 夜に口を塞がれたやえの代わりに桜が尋ねると、エリナは表情の無い顔を上げ、はしゃいだ声を上げた。

「うん! エリナねぇ、お母さんがいなくなってから、お父さんとおでかけしたことなかったから、すっごくうれしかったんだ。それでね、お泊りして、オンセンにはいったんだよ」

「それって、いつぐらいの話?」

「うーん、昨日かなぁ?」

 と言いつつ、エリナが首を傾げる。

 計算が合わない。蒲生親子が失踪したと思われているのは、一週間前の話だ。

 アンデッド化した前後の記憶が曖昧なのだろう。

「うん。オンセンにはいった次の日に、お父さんがお仕事してるとこにつれてってくれるって、お父さん言ったの。そしたら、ここに来たの。お父さんがいるからこわくないぞって。ユーレイがいっぱい出たけど、お父さんがやっつけてくれたよ」

「お父さんは、いまもここにいるのよね?」

「うん。いるよー。お仕事するから、エリナはまってなさいって」

「いま、お父さんは何してるの?」

「地下でお仕事するって」

「地下……」

 ソファに座っている桜は、組んだ足の上に肘をつき、顎に手を当てた。

 荒れ果てた上階には、人の気配は無かった。だが、侵入者は確実にいるのだろうという様子だった。

 三重の柵とゲートで封じられていたが、まったく侵入出来ないというわけでは無さそうだった。自分でも侵入できる自信があると、桜は思った。

 過去にも、廃墟マニアや腕試しの冒険者が勝手に忍び込んでいたこともあると聞いている。

 現に、蒲生がたびたび入り込んでいたのだ。

 なんらかの目的を持って。

「――彼は、ソーサラーでありながら、シャーマンの資質もあったのね」

 エリナの前なので、言葉を選びつつ、桜は言った。

 協会からの資料には無かったが、蒲生は死霊魔法ネクロマンシーに通じるソーサラーだったのだ。

「そのようだね。ネクロマンシーは、魔術と霊術の融合だ」

 灰児が同意する。彼の予想は、大体当たっていたようだ。

「じゃあ、この旅館にこれだけのゴーストが沸いているのも……」

 夜がそこまで言い、エリナに遠慮して言葉を切った。灰児が何も言わず、頷く。

 おそらく、蒲生の仕業だ。

 意図的にゴーストモンスターを呼び寄せ、徘徊させているのだ。ゴーストは自分たちに危害を加えられない。逆に侵入者にとっては、厄介だ。腕試しの冒険者にとっては倒しにくいばかりで旨味が無い。廃墟マニアなど尻尾を巻いて逃げるしかない。

 ゴースト退治なんて、金でも積まれなければやる者はいないのだ。

 大量のゴーストは、ただ魔素の穢れた場所に集まっていたのではない。強制的に使役された、城を守る兵士だったのだ。

 それにしては、妙な違和感がある。

 蒲生は、桜たちの侵入に気づいているはずだ。

 それなのに、自分の城を踏み荒らす侵入者に、何の手も打ってこない。

 もちろんその違和感は、わざわざ口に出さなくとも、仲間たちも分かっているだろう。

「ほんとは上には行っちゃいけないって言われてたんだけど、地下は上にいるユーレイより、もっとコワいお化けがいたから……」

「もっとたくさん?」

 夜から喋る許しを得たらしいやえが、エリナに尋ねた。

「上にいるような、レイスとかじゃなくて?」

 エリナは相変わらず足をブラブラとさせながら、こくんと頷く。

「うん。ゾンビとか、あと大きくてコワいガイコツとか」

「ゾンビと、スケルトンソルジャーか」

 鯛介が荒く鼻息を吐き出しながら、言った。実体を持ち、物理攻撃の効くアンデッドなら、彼もようやくその剛腕を振るえそうだ。

「あとね、黒いの」

「黒いの?」

 桜が尋ねる。

 それまですっかり気を許し、何でも喋ってくれていたエリナも、怯えたような声を出した。

「うんとね、黒くて、大きなユーレイに、追いかけられたの。すごくコワくて、だから、上に逃げて来ちゃったの」

「……なるほどね」

 桜は立ち上がり、夜を押しのけて、エリナの横に立った。その肩を、ぽんぽんと撫でる。

「任せときなさい。怖いやつは、あたしたちが全部狩り取ってやるわよ」

 窓の外は、完全に日が落ちている。

 桜は勝気な瞳を、曇った窓の外の夜空に向けた。

 精神界の干渉が強くなる夜は、アンデッドの本領発揮だ。より霊力の強いゴーストが出現し、自分たちの領域を支配する。

 圧倒的に不利な条件だが、ここでいったん引く気は、毛頭無かった。

 小さな唇を舌で湿らせ、桜は口許を歪めた。

「――いよいよ、ホラーハウスっぽくなって来たじゃない?」




 その後、全員で軽い食事を取った。ほとんどが持ち運びの楽な携帯食料だ。

 食事を取れないエリナの前で可哀相な気はするが、そうも言っていられない。仕事に余計なヒューマニズムを挟んでいる場合では無い。

 もっとも、エリナは「いいなぁー」「それどんな味?」と好奇心いっぱいにそれぞれの手許を覗き込んできていたので、悲壮感はさほど無かった。

 一人っ子でいつも父親の帰りをけなげに待ち続けていた少女は、八歳にして場の空気をそれなりに読み、自身がスケルトン化しているというのに、気丈だった。

 口にせずとも、彼女がすでに亡くなっていることは、誰の目に見ても明らかだ。

 そして、その遺体を、誰かがスケルトン化させた。

 その誰かは、彼女の父であり捜索願いの出されているソーサラー、蒲生良人である可能性が高い。


 話を聴いていると、やはりエリナには、スケルトンになった前後の記憶が曖昧なようだ。混濁していると言っても良い。

 それは仕方の無いことだと、灰児が言った。

 エリナがこれほど自我を保っているだけでも、稀なことだ。

 それは作り主のシャーマンとしての力が、それなりに強いことを示す。

 ソーサラーとして、冒険者として、まっとうに仕事が出来なかった男が、実は腕利きのシャーマンだったのだ。

 そして蒲生の血を受け継いだエリナ自身も、ソーサラーとシャーマンの資質が両方に備わっている。


「わたし、大きくなったら、冒険者になりたかったんだぁ」

 食事を採る桜とやえに挟まれて、ベッドに腰かけるエリナが、やはり足をブラブラと振りながら、そんなことを言った。

 その手にはやえのロッドを借りて、振ったり眺めたりして遊んでいた。

「お父さんが、エリナも魔法つかえるぞって言ってたんだぁ。だから、ちゃんとおべんきょうもしてね、ちゃんとソーサラーになりたかったの」

 桜たちは気づいていた。

 少女の言葉は、すべて過去形だった。

 彼女は判っている。自分がもう、元の姿には戻れないことを。

 ロッドの先についた魔石を、小さな骨の指先で、おそるおそる触れる。

「お父さんは、あんまりおべんきょうしなかったっていってたの。だから魔法がヘタなんだって。エリナは、ユーレイがみえるよりも、魔法をいっぱいおべんきょうしたほうがいいって。そしたら、じぶんみたいにはならないからって」

 エリナの言葉には、父への恐怖や恨みを感じられない。

 彼女にとっては、それなりに良い父だったのだろう。

「ね、サクラちゃん……」

「ん?」

「お父さんを見つけたら、お父さんはどうなるの?」

 小さな顔を上げ、桜のほうを見る。子供ながらに、桜が一行のリーダーだと、判っているようだ。

「連れて帰るだけよ。それから先は、アンタのパパしだいね」

 彼女は賢い子供だ。嘘を言ってもおそらく納得しないだろう。桜は正直に言った。

「あたしたちは、救助に来ただけ。だから連れて帰るだけよ。アンタのパパが何も悪いことしてないなら、おうちに帰れる。もし、悪いお仕事してたら、罪を償わないといけないわ」

「おい、桜。そんなこと……」

 夜が口を挟もうとしたが、桜は言葉を続けた。

「でも、怖い奴らと一緒に仕事してるより、ずっとマシなはずよ。エリナ、アンタは賢いから、判るわよね」

 黒い穴の開いた眼窩を、桜はじっと見つめた。その中に、彼女の本当の瞳が見えたような気がした。

 しばらく桜を見返して、エリナはこくんと頷いた。

「……うん。わかる」

「いい子だわ」

 桜はエリナの頭を撫でた。本当の髪の感触さえしそうなほど、彼女は生きていた。そこに魂を感じた。

 肉体は無くても、生き生きと動き、思考し、喋る。喜びも、悲しみも、たしかに伝わる。

 これを、死んでいるとは思えない。

 魂がそこにある限り、彼女は生きているのだ。

 協会から送られてきた資料データに、捜索を依頼した知人から提供された蒲生親子の画像もあった。そのときはぱっと特徴を憶えただけだ。

 それがいま、この白い骨の上にどんな肉が乗っていて、どんな顔立ちをしていたのか、桜にはありありと思い浮かんだ。

 エリナは目の上で前髪を切り揃え、長い髪を二つのおさげに結って、父親の横で笑ってピースサインを向けていた。子供らしい屈託無い笑顔で。

 捜索まで依頼した知人夫婦に、どうして蒲生がエリナだけは託さなかったのか、桜にはまだ分からない。どうしてこの可愛らしい少女が、骨だけの体にならなければなかなかったのか。

 それは、蒲生自身に聞くしかない。

「お父さんを、たすけてあげて」

 大事そうにずっと下げているポシェットの紐を、エリナがぎゅうっと掴んだ。

「お父さんは、お母さんがいなくなって、いつもおさけばっかりのんで、かわいそうだった。いつも、いつも、お父さんはダメなやつだって、いってた。いっぱい泣いてたの」

 俯く少女の、顎の骨が小さく鳴った。

「ユーレイの話なんて、するんじゃなかったって、いってたよ」



 桜は持ってきたポーションを飲んだ。魔力の回復が早くなる便利かつ高価な薬だが、摂取のし過ぎはかえって気分を悪くする。しかし元々が魔力量の少ない桜なので、一本でも飲んでおけばかなり違う。

 一行は四階の廊下に立っていた。

 鯛介が大剣を抱え、桜に差し出した。ありがと、と小さく礼を言い、その柄を掴む。

「全体、三割強化」

 力が漲り、桜は鯛介のように片手でひょいとその剣を持ち上げた。

 桜の剣は、セールで買った量産品だ。巨大な剣なのでそれなりに値は張ったが、業物では無い。だが、斬れ味なんてあっても無くても良い。欲しかったのは、刃というよりも、鉄板のような刀身。敵を叩き潰すのなら、ただの塊でいい。

「サクラちゃんの剣、かっこいーね!」

 巨大な剣に臆することなく、エリナが感心する。

「そうね、気に入ってるわ。剣っていうより、鉄板だけど」

「てっぱん、てっぱん!」

 その響きが気に入ったのか、エリナが何度も繰り返し、その場でぴょんぴょんと跳ねる。

「てっぱんって、かっこいいね!」

「じゃ、この剣の名前は《鉄板》にするわ」

 桜は口の端をつり上げ微笑むと、鉄板を掴んで背中に背負った。

「エリナ、アンタはここに居な」

「ええー。どうしてぇ? わたしがお父さんのとこ、つれてってあげるよ」

 急に不安そうに、エリナが声を上げる。

 置いて行かれたくないというよりも、桜たちが父親をどう扱うのか心配なのだろう。

 いくら桜たちを信頼しようとも、おそらく悪事に手を染めている父親が、桜たちを前にしてどうでるか、そんな父親を、桜たちがどう捕らえるのか。

 きっとそれまでの生活の中にも、ごく普通の幸せな家庭なら起こりえない不幸も嫌な思いも、たくさん味わったことだろう。聡い少女は、この先に起こる事態を漠然と、悪い方向に想像しているのだ。

「ユーレイなら、エリナだいじょうぶだよ! お父さんがいってたもん、ユーレイはエリナにちかよらないって。エリナもユーレイこわくないよ!」

 両手を上げ、一生懸命アピールする。

「たしかに、エリナがいれば低級のレイスは近寄っても来ないだろうね」

 灰児の言葉に、エリナがうんうんと頷く。カクカクと骨が鳴る。

「……けど、それは一階までだ。地階には、物理攻撃が出来るモンスターがいるんだよね? 黒い幽霊は、エリナを恐れずに追ってきたんだろう?」

「そうだけど……でも、サクラちゃんたちがいたら、だいじょうぶだよ! それに、お父さんがいたらぜったいおっぱらってくれるもん!」

 たしかに、地下に居るという蒲生に、娘の存在は切り札になるかもしれない。

 このダンジョンで何かをしようとしている蒲生は、桜たちを敵と認識するだろう。桜たちも、蒲生がここでまともなことをしているとは思わない。

 そのときは、可能な限り捕縛したい。だが場合によっては、彼女の目の前で父親を討伐しなければならないかもしれない。

「それに、したも、すっごい広いんだよ!」

 少女は道案内には自信あるようだった。

「分かったわ。連れて行く」

「桜、なに言って……」

 夜が止めようとしたが、桜は続ける。

「ここに居て安全なんて保障は、そもそも無いわ。エリナだってここに何年も住んでるわけじゃない。ずっとレイスしか出ないなんて確証は無いのよ。だからって一度外に連れ出すにしても、安全なところまでこの子を連れて行ってたら、攻略は後日になる」

「俺は、それでもいいと思うぜ。いったん外に出て、エリナを連れて帰って、安全なところで保護したらいい。とりあえず俺の家に置いててもいいぜ。おふくろに言えば面倒みてくれると思うし」

 夜の家は、暴力的だったという父親が死んで以来、母親と二人暮らしだ。しかし体の弱い母親にスケルトンの世話なんて任せたら、持病が悪化しそうな気もする。

 とは、もちろん口にせず、桜は首を振った。

「それなら、あたしんちに連れてくわよ」

 桜の父の竜胆なら、喜んで世話しそうだ。弟は最初こそ驚くだろうが、性根は優しい。エリナが家にやって来ても、まったく問題無いだろう。

 ワーキャットの弟の下に、スケルトンの妹が出来るかもしれない。

 夜も良い考えだと思ったのか、端整な顔をぱっと輝かせた。

「おお、そうしようぜ。とにかく、一回東京に戻ろう」

「ダメよ」

「なんでだよ!」

 夜が声を荒げる。桜は気にせず、静かに首を振った。

「それが何とは言えない。あたしのカンよ。ただ、ここで戻ったらダメな気がするの」

「カンってお前……」

 夜が唖然とする。その肩を、灰児が掴んだ。

「彼女のその勘に、いままで何回助けられた? 僕は桜に従う」

 そう口を挟む。その後ろで、鯛介も頷いた。

「オレは姐さんについて行きます。リーダーの判断は絶対だ。オレはそれをこなすだけっす」

 上下関係と集団行動を何より重んじるリザードマンらしい言葉だ。

「やえもー!」

「お前は少し考えろ!」

 と夜が怒鳴り、ひゃん、と声を上げやえが肩を竦めた。

「あー、そうかよ! お前らな、エリナに何かあったらどうすんだよ!」

 荒げた声に、当のエリナまでびくりと身を竦ませた。

「分かってる。けど、グズグズしていて、蒲生良人に何かあったらどうする?」

 灰児の言葉にエリナがはっと顔を上げた。

「エリナの話を聴いていても、尋常な状況じゃないのは分かるはずだ。地下はモンスターの巣窟だ」

「お前なぁ……そういうとこ、ほんとに嫌な奴だな」

 険しい顔をした夜が、無表情な灰児を睨みつける。

 父親を心配しているエリナの前でそんなことを言われては、後でまた来ようなんて言えなくなる。

「クッソ! お前ら、桜の言うことなら、何でも信用しやがる……」

 そう言い、夜は黒髪をぐしゃぐしゃと掻いた。

 そんな彼に、やえが慈愛の微笑みを向ける。

「元気出してよ~、ヨッちゃん」

「別に元気無くはねーよ!」

「あのね。やえもね、考えてないわけじゃないよぉ。ほらぁ、地震の前にワンコが吠えたり、沈む船からネズミがいなくなるとかって、言うんだよ。動物って、そういう力があるんだよ」

「あたしは動物か」

「動物的にす・ご・い・ってことだよ」

 桜に向かってわざとらしいウィンクをし、やえは肩にかけていたケープのリボンを解くと、エリナの肩にケープを羽織らせた。

 少女の前に屈み込み、細い首の前で、きゅっとリボンを結ぶ。

「あげる。これ着て、いっしょにパパに会いにいこ?」

「わぁ、ありがと! やえちゃん!」

 その場で飛び跳ねるエリナは、わざと子供らしくはしゃいでいるようにも思えた。大人たちが出す不和の雰囲気を、敏感に察してしまうのだろう。複雑な家庭で育ったやえには、そんな彼女の気持ちが分かるのだ。そして、夜も。

「夜くん、どう? にあう? えへへ、冒険者になったみたーい」

 夜は、懸命にはしゃいで見せるエリナを見下ろした。スケルトンの少女が、その場でくるくると回る。夜は硬い顔をしていたが、ふっと表情を和らげ、頷いた。

「ああ。似合う。やえより強そうだ」

「わーい!」

 夜の腰に抱きついてきたエリナに、夜はにこりと笑顔を向けた。

 バカで短気だが、見た目は美青年である夜が微笑むと、少女は表情が無くても照れたように頭を振っていた。

 その頭を、夜がグローブを外した手で撫でる。

「仕方ねーな。絶対、俺たちの傍を離れるなよ!」

「うん!」

 ぴょこんと両手を上げ、エリナが力強く頷いた。

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