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坂口美由紀の場合

さて、来るバレンタイン当日となった。


あらかじめ、

昼間の間に窓の鍵を1つだけ空けておいて

そこから侵入できるようにしておいた。


美由紀は

芽衣、大和、直人の3人に

場所は1年4組に集合だと伝えた。


教室の鍵は

職員室から美由紀が調達することに

なっている。


4組は美由紀と芽衣と大和の教室で

担任の橋本先生は良くいえば大らか

悪くいうと大ざっぱな性格なため

教室の鍵を適当に自分の机の引き出しに

入れているのを知ってる。


ちなみに

あと補足しておくべきは

バラバラに連絡を入れているため

芽衣と直人は大和が来ることを知らない。


美由紀の作戦でいくと

直人に振られた芽衣を

大和が優しく励ましそこで告白するものだった。


単純でシンプルな作戦だが

あの鈍感女にはこれくらいが丁度いい。


だいたい

夜の学校をロマンチックだと言って

指定したのは芽衣だ。


そこで告白されたら

芽衣も多少なりとも揺らぐというものだろう。


その為に

美由紀は芽衣から

「どこがいい?」と聞いたのだ。


だから、大和と直人が

それについてどう思ってるかはどうでも良かった。




校門に着いたとき

美由紀は大和と偶然遭った。


「校門登るの手伝ってやるよ」


ほら

と美由紀に手を差し出す。


若干まだ

直人のあの言葉が

頭をかすめたが振り払うようにして


ありがとう

と応じた。


上手く窓から校舎に侵入すると


「これから、職員室に行くから

 大和は先に4組行っといて」


と言った。


暗所恐怖症の大和が素直に頷いたのは

用意しておいたのかペンライトを持っていたからだろう。


大事そうに

右手でしっかり握ってあった。


そこで

美由紀は大和とは離れ

職員室に向かう。


夜の学校は案外暗いなぁ、と思う。


月明かりがないと

学校の周りは田んぼだから

街灯もないため何も見えない。


大和のように

ペンライトくらいの準備は

するべきだったなぁ、とも思う。


なんとか

職員室に辿りつき


橋本先生の机は

奥から4番目で・・・


と何となく思いながら

職員室のドアを開けようとする。


「あ、開かない」


声に出てしまった。

これは完全に計算ミスだった。


職員室の鍵がない。


教室を開けることで

精一杯で職員室なんて忘れていた。


しまった。

引き返すか。


とも思って

振り返って戻ろうとすると

足元にキラキラしたものが当たる。


なんだ、これ。


触ろうとして

手を伸ばすと指先に鋭い痛みが走る。


ガラスだ。

破片が飛んだものだったのだ。


どこの窓が割れたものか

あたりをきょろきょろすると

職員室の窓だった。


昼間、職員の前を通ったときは

何も割れてなかったのに。


頭はクエスチョンマークで一杯だったが

きっと放課後誰かが割ったのだろう、と

勝手に決め付けると美由紀は割れた窓から

職員室に侵入した。


橋本先生の机から

教室の鍵を拝借すると4組に向かう。


職員室から4組に向かう途中

音楽室があってそこを通りすぎようとすると

足元に当たるものがあった。


また、ガラスだったら

どうしようと思いながら

慎重に手を伸ばす。


ペンライトだった。

大和のものだ。


何でこんな場所に。


不思議に思いながら

何となくペンライトのスイッチを入れる。


明るい。

これは便利だ。


そのとき

音楽室の扉が開いた。


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