西田芽衣の場合
言ってしまった。
美由紀だけならともかく
大和の前で告白宣言してしまった。
大和が直人にいちゃんに
そのことを報告してしまったら・・・。
もう、美由紀が言ってしまってるとは
思わない芽衣は自分の頭をポカポカ殴る。
あぁ、なんて馬鹿なんだろう。
しばらく
落ち込んではいたが
「でも、逆にこれで
告白するって意識が強くなったと思えばいいのかな!」
と芽衣は立ち直る。
よぉし、頑張るぞぉ。
と心の中で腕まくりをする。
「おい、芽衣」
はっとする。
後ろを見ると大和だった。
最近、声が直人にいちゃんに
近づいたみたいでドキドキしてしまう。
顔もタイプも全然違うのに。
「どうしたの?」
「あの、さ。
今から帰るんだけど」
「え、うん」
だから、どうしたの?
と芽衣は目で尋ねる。
大和の顔がみるみる赤に染まる。
「っこの、鈍感女!」
そう叫ぶと
走って校門に向かって行った。
何なんだろう。
大和は何で私に帰る報告してきてんだ。
ていうか、鈍感女って。
ちょっと芽衣は落ち込む。
大和は口が悪い。
これは今に始まったことじゃない。
ずっと昔から
気付いたらそうだった。
それを美由紀は可愛いと言う。
よく分からない。
でも、芽衣は
そんなときは直人にいちゃんが
優しくフォローしてきてくれるのを知ってるので
ちょっと嬉しかったりもする。
でも、フォローされると
大和は何でか知らないけど
もっと火が付いたように悪口を言ってきた。
「てめぇのせいでな、
俺は時々、飯が喉を通らねえんだ」
そう言った大和が
意味不明だったけど、
隣で直人にいちゃんが
「可愛い・・・」と私にだけ聞こえる声で呟いていた。
美由紀も直人にいちゃんも
大和を可愛いと言う。
それが
芽衣にはよく分からなかった。
どうやって
告白するべきなんだろう、と
よく分からない大和を考えるのはやめ
大好きな直人にいちゃんについて考えることにした。