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<2>お伽話なんてキライです!

<2>お伽話なんてキライです!


「うっうっうっ…そんなのムリだよ~ぉ」


わたしは堪え切れず、シクシクと泣き出してしまった。


何がどうなってか、突然、有名なお伽話に登場する、とある人物の生まれ変わりと宣言されました…。


お伽話と言えば、お姫さまが苦難の末に、素敵な王子様と結ばれるのがお約束!わたしもそんなお姫さまの生まれ変わりなの!?とドキドキしていたら―――よりによっても、白雪姫の継母の生まれ変わりと言われました……。


白雪姫の継母と言ったら、皆を籠絡し、一国の実権を握るだけでは飽き足らず、美しい白雪姫に嫉妬して殺害まで命じる、それはそれは恐ろしい魔女!わたしがそんな恐ろしいひとの生まれ変わりだなんてあんまりです―――っ


「マリ、やる前から諦めてどうするの」


わたしの名前を呼び、しれっとこんなことを言う、目の前にいるこの冷酷な男は同級生かつ幼馴染の鏡哉だ。………彼は「魔法の鏡」の生まれ変わりらしい。


用事があると呼び出されたと思ったら、「マリ、キミは女王の生まれ変わりだから。じゃあ、頑張って」と突然言われた。しかも物語通りにしないと呪われるとまで!


呪いってなんですか!?


「だって!だって!」


わたしは声を荒げる。

だって、物語の女王さまは魅惑あふれる妖艶なる美女!そんなのにわたしが成れるわけないじゃないぃぃっ


さらに鏡哉は「ほら、あのお決まりのセリフを聞かないの?」と煽ってくる。うぅ、白雪姫の女王さまが言うお決まりのセリフと言えばこれしかないよね。


「せ、世界で一番美しいのは、だ…だあれ?」

「う~ん?ゆき?」

「ほらー!やっぱりそうじゃないのー!」


鏡哉は、わたしではない名前を呼ぶ。彼が読み上げたのは、私たちの幼馴染の名前。

とっても仲良しの幼馴染のゆきちゃん―――白雪姫の生まれ変わりらしい―――は、物語同様とっても可愛い!雪のように真っ白で透き通った肌、それを引き立てる美しい黒の髪。ぷっくりとした唇。同性のわたしからみても、とっても魅力的な女の子だから、あのお決まりのセリフに対する答えになっても、何ら違和感がない。


ゆきちゃんは今の世の中では珍しい、超大所帯八人兄妹の末っ子さん。七人の素敵なお兄さん達に囲まれて、それはそれは、宝物のように大切に育てられている。

七人のお兄さん達…この流れだと、言わずとも「七人の小人の生まれ変わり」だろう。


確かにあの兄弟は、わたしにいつも構ってきた。時々意地悪されたりもしたから、わたしは嫌われているのだと思っていたが、きっとこれが理由だったのだろう。

ああ、余計に泣けてきた。


でも!呪いがあろうが無かろうが、あのゆきちゃんに手を出すなんてできるわけもない。


「ゆ…ゆきちゃんに意地悪するなんてできないよ!」


わたしがそう抗議すると、「別にゆき自身をどうこうしようって話じゃないから」と鏡哉は答え、わたしはそれ聞き、胸を撫でおろした。

だが次の瞬間、わたしのその気持ちを知らずか、鏡哉は飛んでもないことを言いだしてきた。


「じゃあ、まずはあの七人から攻略しよう」

「はい?」


攻略って何ですか?この男、何を言い出すの。


「マリは色気がないから、練習しなきゃいけないね」

「へっ!?」


わたしは思わず変な声をあげてしまった。

れれれれれれれ練習って何―!そんなのできるわけがない。冗談よね?って思いで鏡哉を見つめてみるけど「僕は冗談は言わないよ」と言って、にっこりと笑みを返してきた。

彼の目が…笑っていません…。


「じゃあちょっと僕を誘惑してみて」

「はいっ?」

「こんな僕一人誘惑できない子が、あの七人を落とせるわけないでしょ?」


ジリジリと鏡哉がわたしに迫ってくる。誘惑すべきはわたしなのに、何故か壁際に追い込まれる。


え、これ逆じゃありません?いやいやいやいや!!そもそも、何がどうなって、あの七人を誘惑しなければいけないのか、全くわからない!でも、にっ逃げ道がない!


鏡哉さん、なぜ襟元を緩めているんですかっ!?

ああ、神さま助けて―――!


これがわたしの苦難の物語のはじまりだった―――。



文面や流れが同時連載しているものと似てしまいました。


次回<3>Side鏡哉で完結です。


需要があれば、番外編ってことで<4>Sideゆきも書きたいと思いますが…どうでしょう?

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