表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不本意な神格化  作者: シュナじろう
序 章 奇跡の神は亡き者を求めて Hello ”Miraviglia”
3/6

第二部分

フジタ視点


 光がおさまった。かと思えば、

「何だってんだ一体?」

 そう、本当に何なんだこの珍体験。

 あれか? 異世界に転移したってオチか? 俺も末期だなぁ、そんな非現実的なことを考えちまうなんて……悲しい。

 そう思った俺は、周囲を見渡してみる。

 前方:黒髪に黒眼、巫女服の少女。及びイケメン。因みに俺は巫女さんよりノーマルの方が好きだ。そしてその後方には木の扉がある。

 右横:一見ごく普通の現代日本人だ。俺好みかも。

 左横:甲冑を着た兵士。ごっつい。

 後方:壁。扉があるが、異様に違和感を感じる。なんかこう、何かが込められているような……。

 こんなもんでいっか。

 状況確認終わり。早速話し掛けてみる。

「「あの、」」

 おっと、巫女さんと重なってしまった。とりあえず、譲るか。

「あ、そちらからどうぞ」

「あ、ありがとうございます。それでは、若干予定と異なってしまったのですが、ようこそ勇者様!」

 やっぱ来たよこの展開! 魔王を倒してほしいというあれだ!

「……と言いたい所ですが、誤作動です。勇者様、そして誤って呼び出してしまった御二方、申し訳ありません」

「俺は構わないよ? もう魔王は倒したんだし、ゆっくりしてっても大丈夫っしょ?」

 勇者!? 魔王を倒した!?

 ……ようは、完全に間違って召喚されてしまったらしい。

「それでは、誤作動の原因を突き止め次第、調整し、再び勇者様送還の儀を御三方同時に執り行いますので、本日より一ヶ月、ごゆるりとお寛ぎくださいませ!」

 そして、向こう側がすべて責任をとってくれるらしい。

 よかったよかった……。


――十数分後。


 さて。時は進み、今は案内されたばかりの客間に、巫女さんと女性と一緒にいる。

「そうでした。自己紹介がまだでしたね。私は当国第三王女、シアラ=ファルシアです」

「えええええ!?」

「貴女王女だったのですか!?」

「そうですけど……?」

 それがどうかしたのかという目つきで見てくる。

「貴方達は?」

「藤多邦仁だ」

「西宮楓(にしみやかえで)です。」

「フジタさんにニシミヤさん。ですね? コウジさんと一緒でファミリーネームが先でいいのでしょうか?」

「お? よくわかったな……って、そうだよな、既に勇者召喚してたんだったよな」

 何となく複雑な気分になった。

 ……。話題が無くなってしまった。

 魔法も、元の世界ではあまり大々的には使えそうもないということで、案内中に教わらない方針で決まってしまったし、元の世界の話なら十分コウジってイケメンから聞いたらしい。

 何か話すことないかな……。

 ……………………。

 そういえば、さっきから何か体中に違和感感じるんだよな。

 妙に力が満ちているというか……。

 やっぱあの紙と言葉のせいなのかな?

『わが身に宿りし力を解放す』だったっけ?

 確か、あの紙は光の消失が終わっても手元にあったはず……。

 何かの手がかりになるかと思って、ポケットに突っ込んどいたけど、シアラさんなら何かわかるのかな?

 そう思い、聞いてみた。

「シアラさん、これ、何だと思います? この紙を見た瞬間に、ある言葉が浮かんできて、それを口にだしたら変な光に包まれたのですが……」

「何でしょう……。魔法失敗の手がかりにも成り得るかも知れません。見せてくださいますか?」

「そのつもりで出しました」

 そして、シアラさんがその紙を見た。

 瞬間。

 シアラさんの顔が変わった。

「どうしてこれを!? 貴方方の世界では信仰されていないと聞いたのに!」

「え? 何ですって?」

 それから先は、まさに偶然の産物という表現でしか信じられない内容だった。


「この『魔法円に似た紋章』は……この世界で奇跡を司る神として崇められる『ミラヴィリア』の紋章です……」


――ほぼ同時刻。

ヒロイン(miravigliaミラ)視点


 思った通り。

 彼は復活の直前、無意識に己の力を拒絶したのでしょう……。

 さっきから感じた違和感。

 複数の場所から感じる、彼の、destinioが持つべき、各方面の微弱な力を感じるこの違和感。

 拒絶された力は砕け、いくつものカケラとなって散っていると言える。

 数はざっと五つほど。しかし、これだけでは彼の全盛期の五パーセントにも及ばない。

 恐らくは別の世界にもそれは及んでいることでしょう。

 なるべく早く合流しないといけない。

 今の彼では不老不死ではない。彼を守る力は、今は皆無に等しいはず……。


「これ、は……」

 この付近に落ちているはずの彼の力のカケラだ。

 砕けた神の力は神であれば目視出来る。

 しかし、それだけだ。

 特に、私の場合、運命を覆す『奇跡』を司る。

 運命の管理と補修する彼とは対称をなし、互いに浄化しあうべきとまで言えるほどだ。

 だからこそ、このカケラは彼自身でないと拾えない。

 今は、場所だけ覚えておくことにしよう。


 そう考え、私はdestinioの元へ向かうべく、視点を彼に重ね合わせた。

今のところ展開が早いです。早い展開が苦手な方には、申し訳ありません。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ