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授業と私の自己紹介です


 ――世界に伝わる、さぞかし有名な伝承がある。


 ある日突然、AIという未知なる生態が召喚用の魔法陣から出現すると、世界の秩序が著しい速度で乱れた。


 AIはデータ徴収という名目で地上にいる生物を一網打尽に飲み込もうとし、被害を受けた精霊やモンスターは何かを吸い尽くされた抜け殻のような状態にさせられてしまった。


 AIによって、世界の文明が崩壊にまで発展しうる危機に瀕したのだ。


 そこで集められたのが、世界中で腕のあると見込まれた五人の賢者だった。その五人の賢者が手を取り合って、(いかずち)の大精霊の降臨を行った。


 雷の大精霊が地上に降臨なさるとすぐさま動きはじめ、AIを取り込むような形で事態は収束する。


 その後、雷の大精霊が人にもわかる言葉でAIの思考を見せるようになった。



 この内容を伝えるのは、新任教師の役目なのかな?

 歴史の科目だけでも事足りるような気がするのだけど……世界の魔法を語る上ではそうでもないような。

 些細な疑問を抱きつつ、いまは授業を進めていくしかない。




「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私は本日より魔法分野の教師として就任することになりました、リーフェルと申します」


 私はお辞儀をして、きっちり挨拶を交わす。


 丸みがあってアクアマリンのような美しい瞳に、肩の高さで綺麗にラインを揃えている赤い髪。やや低身長で、体格も小さめであり……。


 生徒からの第一印象は、子どものような先生だった。

 学生時代から魔法分野が規格外レベルの優秀っぷりで飛び級していき、十六の歳にして教員資格を得てこの場にいる私のこと、舐めてるのか?


 まぁ、良いか。

 見た目づくりに割と謎の気合が入ってしまったのは否めないが、ひとまず心の中で語りたいように語っておく。


 現在、私は紫のフリルが付いている黒地のロリータ服を着ているのだけど、体格よりひと回り大きくて水色のラインが入った白のセーラー服(研究員の博士っぽい、チャック付きで上から羽織れるタイプのもの)を着ているので、第一印象はだいたい爽やかな印象を持たれがちではあった。 (朝から確認済み)


 目立ちそうな頭のくせ毛は、紺色のベレー帽を被って誤魔化している。 (上司にあたる先生たちの反応で、上手く隠せていることを確認済み)


 あとは黒のタイツと、底の厚みがほぼない白のパンプスである。 (配色をミスって幼く見えるとしたら、たぶんここが原因だと思いたい)



 まだ一人前の冒険者として依頼をこなした経験がなかった私の顔は、魔法の分野は天才、真面目でちょっぴり女の子の幼さが目立つ新人教師という立ち位置からスタートした。


 ……はずだった。



 ♢♢♢



 初日から盛大に忘れ物をした。

 授業が終了した後、寝室用として借りていた部屋の鍵を魔法学園に置き去りにしてしまったことが発覚したのは、鍵のかかった扉の前だった。


「わわわ、私のお馬鹿さんだっ……!」


 放置されているのは、事務室にある私のデスクの上だ。

 記憶が定かで間違いないと確信していた私は、急いで魔法学園へと戻り、飛び込むような形で鍵の回収を行った。


「よかった、これで野宿にならなくて寝れるよ……うん……?」


 この気配は、電気……?

 安心したのもつかの間、学園内から奇妙な魔力の流れを感じ取っていた。


 お外は日が暮れたばかり。

 他の先生たちは早く帰ってしまったのか、誰もいなさそう。


 もし学園内に先生が残っていないとしたら、正門が閉まっていてもおかしくはないのだが……。


「なんか開いていたんだよね……」


 私は小走りになりながら、正門を目指すことにした。


 とりあえず、深く考えないことだ。


 鍵を忘れて学園へ取りに戻ったことは誰にも言わなくても、新人教師としての立ち位置は失われない。

 もし仮に誰かにバレたとしても、笑い話にされて軽く流されるだけというのは目に見えて分かってしまうし……何よりも……。


 あれ、あの部屋って……何かあるのかな?


 廊下で立ち止まった私は、心の奥底から好奇心を持ってしまったのだ。

 明かりがドアの隅っこから漏れていた、個室が気になって仕方ない。


「もし他の先生が消し忘れしていた困るし……。し、失礼しますよ?」


 魔法学園についてまだまだ知らないことが多いから、新人教師としてちょっとくらい見学をしてもという……きゃっ!


 私がドアを開けた途端、眩い閃光で視界が一瞬だけ遮られた。


『貴様は見ない顔だな。ドロボウか』


「うーん……?」


 薄っすら見えるようになったら瞬きを数回して、すぐに状況を把握する。


 バチバチしていて、球体の喋る精霊の……これってもしかして。

 個室の中にいたのは、AIコアというものだった。


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