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のれん売りのおばさんと3人+1人の女子たち

作者: 後東衣桜利

私、春風(はるかぜ)ゆう。18歳。春から1人暮らしを始める。

友人に誘われ、冬の、ホールで主催している『もの作りフェスタ』で"のれん"だけを専門で売っているおばさんがいた。

のれんってあまり使わないけれど、値段も500円とお手頃だし、何よりのれんの布がどれも、ひとつひとつ、ものすごく言い表せない程に、鮮やかできれいで欲しくなった。

私は、良さそうな、真ん中に目の大きい妖怪のようなキャラクターがついている布地の、のれんを1枚買ってしまった。せっかく買ったのだから、必ず1人暮らしの部屋の、どこかにつけるつもりだ。

家に帰り、布地の上の棒を通す穴に適当な棒を通し風呂と洗面所の入り口に棒をかける大きめのネジをつけた。ドアはあったが閉めずにのれんにした。

のれんの絵柄は1つ目の妖怪だった。布地の全体は緑色だった。

のれんをつけてからなぜか、彼女が風呂に入る時には自然の中で露天風呂に入っているような不思議な感覚を感じることが出来た。すっかりゆうは、そののれんを気に入り、疲れも取れ、仕事にも精が出た。

ゆうのある時の夢では、大自然の露天風呂の中に、1つ目の妖怪が入っているようなのだ。

のれんに描かれている妖怪だったので、何だかゆうは楽しく感じた。

ゆうは末永く仕事を続けることが出来た。



私は夏野(なつの)サキ。25歳。夏の暑い時期にたまたま近くのフリーマーケットに行った。そこにひっそりとのれんを売るおばさんがいた。そこののれんが、涼しげな薄水色で、衝動的に購入してしまった。

サキの一人暮らしの部屋の、1つは趣味の部屋にしていて、アニメのグッズなどを置いたりしている。趣味の部屋の入り口に、のれんをつけた。

涼しげな薄水色で、何だか趣味を楽しむ時は空の中にいるように爽やかな気持ちでいられた。

趣味と仕事の境目をきちんとし、仕事でミスをあまりしなくなり、成果もあげるようになってきた。彼氏と別れた後だったのだが、新しい恋もして、10年経った35歳現在も、仕事に趣味に元気に生活している。


私は秋原茜(あきはらあかね)34歳。スーパーの入り口の所で、のれんを売るおばさんに遭遇した。私は前からのれんを部屋につけたいと思っていたのもあって、タイミングが良かった。

さつまいものイラストがドカッとほとんどを占めているのれんだったが、私はとても気に入った。

私は食が細く、体もガリガリで、もう少し普段の食事を食べたいと思っていたのだが、こののれんを居間から見える玄関前につけたら、食欲が増し、沢山食べられるようになった。体も良い具合に肉付きがよくなり、仕事にも精が出た。

人間、何よりも健康が一番だ。

こののれんを買って、本当に良かった。


私は冬川ミチル。48歳。冬のさっぽろ雪まつり会場で、たまたま歩いていたのであるが、小さな店が沢山出ていて、のれんの売り場を見たが、のれんなど邪魔になるし、たいして欲しくないので、売り子のおばさんに呼び止められたが、ごめんなさいと軽く頭を下げ、通りすぎた。

何だか気になり振り向くが、その時には売り子のおばさんや、のれんは消えていた。











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