4話
マキコの棟で一夜を過ごした。
マキコからこの学校のことや学生について会話からたくさん学習できた。
♢
—チャイムの音
「おいナッツ! 行くぞ! 授業遅れる」
スリープモードでブラックアウトした視界に映像が出力される。
—CPUの音
階段を登り、エスカレーターを登り、歯車やパイプが剥き出しの教室についた。
生徒たちは各々好きな席に座っていく。
「ナッツ! お前こっち座れよ!」
マキコに促されて横に座る。
—扉が開く音
目元が機械化されたオートメイトが入室した。
「はい、授業を始めますよ。お静かに」
「うわ、そうだ今日ピン先生の授業じゃん…」
ピン先生とは「オートメイトの歴史」を担当する初老女性の教師だとデータにある。
その機械化された眼光は居眠りやサボりを瞬時に見抜き喝が飛ぶ。
なので授業中は気が抜けないのだ。
「はい、まず前回、私たちオートメイトの歴史が1200年前から始まったことを思い出しましょう」
授業が始まる。
「それでは、1200年前、初めてのオートメイトは誰だったかわかる人はいますか?」
「グスタフ・カッターです先生」
メガネの少年が手を挙げて答えた。
この学年の秀才、出雲ゲンキだ。
「よろしい。では、そのグスタフの次にオートメイトになったのは?」
誰も答えない。
ナッツの応答システムが反応する。
「はい、2人目のオートメイトは平賀エレキだと言われています」
「よろしい。ナッツ君はよく勉強していますね」
周りの生徒たちは騒ついている。
「おい、ナッツ、なんでお前そんなこと知ってんだよ気持ちわりぃ」
マキコは口角を引きつってナッツの方を見る。
「静かになさい!! 当然の知識です! そんなことも知らない方が恥ずかしいのです! ほら、そこのアタオカ!! あなたはオートメイトの起源を答えられるのですか?!」
マキコが指さされた。
「は? しらねぇよそんなの! てかアタオカっていうなババァ!」
「教師に対してなんたる口調! 死になさい!」
口喧嘩が始まった。
「はいはーい、オートメイトの起源は禁断の果実でーす!」
「よ、よろしい」
割って入ったのは元気で明るい短髪の少年。
羅豆バットだ。
程なくして授業は終わった。
♢
次の授業に移る。
廊下もまた歯車が剥き出しで、色々なところからパイプやらネオンが飛び出いる。
なんなら、端の方ではネオン看板の下でたこ焼き屋さんやじゃがバターなどの屋台が展開されており、学生が群がっている。
「ナッツ君! 初めて授業きたね! 君頭いいんだねぇ!」
先ほどの少年、羅豆バットに話しかけられる。
「これからよろしくなぁ!!」
羅豆バットは走り去っていった。
「なんなんだあいつ」
マキコとナッツは走り去る背中をポカンと見つめる。
—ぶつかる音
背中に何かがぶつかった。
「ご、ご、ごめん! ボクよく目が見えなくて…! それじゃあ!」
出雲ゲンキがオドオドしながら抜き去っていく。
「あいつもなんなんだ」
マキコとナッツは抜き去った背中をじっと見つめる。
—ぶつかる音
背中に何かがぶつかる。
「いってぇ! なんなんだテメェ!」
後ろには身長の高い男2人と女が1人立っていた。
「あれ! いつも授業にいないから透明人間だと思ってた! 石当たった? 痛かった? ごめんねぇ」
男がそういうと周りの2人はクスクス笑っている。
この長身の男は御宮レオザ、成金の息子。
「ウッゼェあいつ、絶対殺す」
マキコは彼らに殺意があるようだ。