表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

1話

—ピチョン

 

 水滴が顔にかかった。

 

「ピピっ」


 ブラックアウトしていた視界に映像が出力される。


—回転する音


 周りの風景を見て頭のCPUが音を立てて動き出した。

 視界の両端に見える壁。

 その壁の前に説明書きが浮かび上がる。


【建物】 【建物】


 この説明から自分は今、建物の間、つまり路地裏にいることがわかった。

 しかし、それ以外のことはわからない。

 周りに落ちているモノをみても【???】と表示されている。

 転送装置に入ったとこで記憶が途切れていた。

 道の情報が多い。

 別世界への転送は成功したのだろう。

 突然、脳裏にアナウンスが流れる。


「情報不足です。データをインプットしてください」




 起き上がって路地裏を抜ける。

 目の前に広がったのは元いた世界とは程遠い、薄暗く、雨が打ちつけるネオン街だった。


—濡れた地面を歩く音


 夜中の街には生物の信号は感じられない。

 徐々にネオンが消え、辺りは真っ暗になる。

 しばらく歩くと遠くから怒号が聞こえた。


「いたぞ!! 見つけた! こっちだ!!」


 3体ほどの人間たちがこちらに向かってくる。


 右の人間は腕が機械化され、その腕からワイヤーを建物に向かって射出し、ものすごいスピードで空中を駆け抜け向かってくる。

 また左の人間は脚が機械化されている。その脚を踏み込んだかと思ったら、到底人間とは思えぬ初速で接近してくる。

 最後の1人は奥で腕を組み、こちらの様子を伺っている。


 ロボットには「抵抗」というデータが未だなかった。

 接近してきた2体の人間にされるがまま、無抵抗なロボットをこれでもかというほどワイヤーでキツく縛り上げられた。

 

 ぐるぐる巻きにされたロボットは問いただされる。


「やーっと捕まえたぞガキンチョ! お前だな新入生なのに問題児というのは!」

「おい、無視すんなよクソガキ」


 ポカンとした顔のまま、微動だにしないロボット。

 ロボットにはこちらの世界の言語が理解できない。

 この人間が何を話しているのかがわからないのだ。

 奥で腕組みした人間が近づいてくる。


「まぁいい、夜も遅い。とりあえず寮に連れて行ってあげなさい。彼にも理由があるのでしょう」

「ですが!」


 ロボットを縛っていた2人は彼の指示に従ってワイヤーを解いた。


「自分で歩けよ、おまえ」

「次抜け出したら壊すぞクソガキ」


 ロボットはそのまま人間に連れて行かれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ