第九十三話：新しいお友達を紹介します
まずは断罪から
「さて、ぼくがダメージ食らって転げ回ったからこいつは死罪。そう言ったんだっけ？」
「もちろんです！ なんちゅう卑怯な手をつこうたんかは分かりまへんが、万死に値すると思うとります」
「あのね、アミタ。ぼくがダメージを受けたのはお前のスタングレネードなんだけど」
それまで憤慨していたアミタの動きが止まった。そう、この三人が捕まってグランプル公の軍は散り散りに逃げてしまった。司令とか速攻で撃ち抜かれてたからね。そして今は論功行賞。と言っても取り調べも兼ねてるんだけど。
「ふぅん、そうかあ、アミタちゃんが主様を傷つけたのかぁ。これはおしおきが必要だよねぇ」
「まっ、待って、待ってください、アリス姉さん！ こ、これには色々と訳がありましてん」
「大丈夫だよぉ。主様はお優しいからきっとアミタちゃんかバラバラになっても助けてくれるって」
「その前にバラバラにせんようにお情けをかけていただくと言うんは」
「万死に値する、んだよね？」
「アリス姉さん、目が笑っとらへんよ！？」
アリスに任せたらアミタが引きちぎられちゃうからこの辺で止めときましょう。
「アリス、ぼくは大丈夫だから。それにアミタがバラバラになってもそのまま再生させるとは限らないし」
「旦那はん！？」
「あー、そうだよね。主様はわ・た・し、だから作り直してくださったんだもんね！」
アリスの機嫌が直ったようた。ふうやれやれ。いちいち壊されても困るんだよ。ほら、お金掛かるし。それに今回新しい子を作らなくちゃって思ったからね。
「で、こいつらはなんなの？」
「なんでもグランプル公お抱えの冒険者というか傭兵みたいですね」
「とりあえず牢屋に……いや、この家牢屋ないね。どうしようか」
とか思ってたら変なラッパを鳴らしながらフォルテがふわふわ飛んできた。
「パンパカパーン！」
パンツかな？
「違います。この家がこの度防衛成功によってレベルアップしました！」
あー、そういえばル〇バ貰ってレベルアップとか聞いてなかったような。
「しかも一気に二レベルアップです！」
一気に二レベルアップ！？ いや、戦闘の難易度的には前のダークウォーリアーの時の方がしんどかったよね？ それなのに今二レベルアップ？
「なあ、フォルテさんや？」
「な、なんでしょうか？」
「本当ならもっと早い段階でレベルアップ出来てたけど忘れてたって事は無いよね？」
「な、なんの事やら。ヒューヒュー」
最後のは口笛のつもりか？ 吹けてないぞ。さあ、大人しく白状しろよ。
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
「いや、おっさんだが？」
「女神から見たらガキなの！」
「女神本体ならそうかもしれんが、お前ぼくがこの世界に来る時に生み出された訳じゃん？」
「こまけぇこたぁいいんだよ！！」
「そう、ぼくもそう思うよ。だから白状しなね」
肩を落としてフォルテは話し始めた。実際はもっと早くにレベルアップしてたらしい。で、レベルアップて何が出来るの？
「扉を認証したものでも通れる様に出来ます」
「それだけ？」
「それだけです」
「いや、二レベルアップなんだからもう一つくらいはあるでしょう」
「家の周りの範囲も広がってます。もう一軒建物建てられますよ」
あるんじゃないか。あー、でもぼくは家から出ないからあまり関係ないかな。
「家を建てるには億単位の金が必要になります」
あー、たしかにそれは意味無いかも。今はパペットを急いでもう一体作らないといけないんだよね。なんのパペットかって？ 医療班だよ、医療班。今回、ぼくの目はそこまで重大なダメージではなかったけど不安が残る。なので医療用のパペットを作ってお世話してもら……あ、いや、点検してもらうんだ。
そんな訳で医療用のパペット作成。ゴーレムを作り直さなきゃいけないけど背に腹はかえられぬ。ぼくの身体の健康第一だ。
あらかじめスキルをインストールするので割高になってしまうけどそれはそれで仕方ない。医学知識と技術、製薬と治療魔法、結界魔法、浄化魔法。いわゆる聖属性三種の神器と言われる魔法である。この世界では神官にしか取得出来ないらしいけどパペットには関係ない。
という訳で外見は清楚な感じの黒髪の女性にしてある。胸は邪魔になるのであまり大きくしない。アイン、もっと小さくても良いんですよとか絡んでくるんじゃない。お前のちっぱいというかまな板はそれはそれで需要があったりするのだ。
「さて、起動するか。それじゃあ医療用パペット起動！ お前の名前は……アンヌだ」
「かしこまりました、チーフ」
どうやらチーフというのがぼくの事らしい。いやまあ別にそれそれでいいけど誰か一人くらいはお兄ちゃんとか兄様とかチェキとか呼んで欲しいかなあ。
