第九十話:戦争は男の仕事って認識が強いですね。
さあ、開戦です。グランプル公は出て来てません。
「フォルテ、防衛準備!」
「ええー、今いい所なんだけど」
「それどころじゃないんだ。帝国の兵が攻めてくるんだから」
「あれ? 帝国とは不可侵条約結んだでしょ?」
ぼくはフォルテに一通りのことを話した。うん、確かに不可侵条約は結んだんだけど、恐らく軍隊万能主義者の人からすれば「約束したやつが消えれば約束もなかったことになる」みたいな感覚なんじゃないかな。どこの〇シアだよ。
というか不可侵条約破って困るのは皇帝陛下でそれもアーニャさんとの婚姻を邪魔された意趣返しとでも思っているのかもしれない。自分が処刑されるとか……あー、公爵って話だから考えても無いかな。
「そんな訳だから色々展開しないといけないから手伝ってくれる?」
「仕方ないなあ。まあ、FPSやるのも実際に撃つのもそんなに変わりはないか」
そんなに変わりはあると思うんだけど言わないでおこう。とりあえず自分の欲を満たすためにぼくの平穏を脅かそうとするなんて万死に値する。
そういえば戦車とか買ってゴーレムに操縦させてもいいんじゃないかな? あ、いや、単体で戦った方が戦力過集中にならなくてちょうどいいか。あのゴーレム、恐らくこの世界の普通の武器だと傷つかないだろうし。
森の中の方が騒がしくなってきた。そろそろ来始めたかなと思ったらアスカがみんなを連れて転移してきた。
「主様、敵は?」
「まだ着いてないみたいだよ」
「良かったあ、間に合ったあ。じゃあちょっとぶちのめしてくるね!」
止める暇もなくアリスが外に飛び出した。
「アリスお姉様、待ってください、私も行きます」
それを追い掛ける様にアスカ。アインはスナイパーライフルを点検している。アリスがアーマライトを持っていったから、バレットM82A1を用意。対物性能高いから鎧もものともしないだろうし、精度に問題はあるけどパペットのアインならクリア出来るだろう。
アミタは研究室に引っ込んだかと思うと両手に箱いっぱいのパイナップルを抱えて戻ってきた。もちろん、果物では無い方だ。いつの間に作ったのやら。
フォルテは機銃の前にスタンバイ。撃つ気満々だ。いや、女神の分身が好戦的ってどうなんだよ。
「私のおやつアンドゲームタイムを邪魔するやつは何人たりと許さない。これは天罰なんです!」
実に自分勝手な言い分だけど、まあ味方だから放っておこう。とりあえずみんなには先に手を出してはいけないと言っといた。もしかしたら一縷の望みとして話し合いに来たかもしれないからね。
あ、ゴーレムたちは畑を護って。無理に兵士倒さなくても良いからね。
しばらくしても来ないのでカップ麺にお湯を注いで小腹を満たそうとする。アインとフォルテに叱られた。アインは簡単なものを作ってくると台所に行き、フォルテは自分だけずるい!と言いながら自分用のカップ麺をせがむ。仕方ないので出してやる。
そろそろできたかなって辺りでソナーに感あり。なんだよもうちょい後で来いよ。アインが持ってきたおにぎりを食べながら少し残念に思った。む、やはりシャケが一番だなあ。個人的にはシャケ、昆布、辛子明太子、シーチキンぐらいの順番かな。梅干しは……種がなければわりと好き。
「あー、あー、テステス、マイクテス。本日は晴天なり。本日は晴天なり。えーと、そこの兵隊さんたち聞こえてますか?」
マイク担当はフォルテ。ぼく? いや、やりたくない。前にどもりまくったからね!
「私はこの家の主人、護さんの愛人です!」
スパーン
「いった、何するんですかダーリン!」
「誰がダーリンか! ふざけるのも大概にしろ!」
「ちぇっ。やり直しますね。私はこの家の主人、護さんのあいじ……参謀です」
フォルテの声だからか軍隊の方に失笑が生じる。そこに一人の軍人が出て来た。
「私はグランプル公爵軍、司令、ゲーゲンハイトだ。その家を明け渡してもらいたい。そうすれば攻撃は加えない」
「明け渡す理由はありませんよーだ。欲しかったら力づくで盗ればいいんじゃないですか?」
もうおちょくってるとしか思えない。確信犯だろ。
「貴様、こちらが下手に出ていれば。もう勘弁ならん。この家を燃やしてでも排除してやる!」
いつ下手に出てたのか全く分からない。開け渡せば攻撃しないって下手だったのか? 単なる脅迫じゃん。
「魔法兵、前へ! あの家をあいつらごと消し炭にしてしまえ!」
「し、しかし、アナスタシア様がいらっしゃる可能性も」
「あの方は今帝都では無いか。それにマモォールとやらも一緒に帝都だろう。だからあんな参謀とかいう小娘が出て来たのだ。分かったら放て!」
横並びになった魔法兵から火炎球が雨あられと降り注がれる。帝国の基本戦術なんだろうか。




