第七十八話:新装開店! デリバリーカレー!
最近はデリバリーをよく利用してます。便利ですね。
そんなこんなで新装開店。今日は初日なので皆さんにお試しという事で少量のカレーのお試しとナンの切れ端を用意した。
「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ!」
「ん? なんだい? カレー? なんだそりゃ?」
「新しく売り出すうちの新製品です。おひとつどうですか?」
「タダなら食べてやってもいいけど」
「これ、お試しなんでタダですよ」
「へぇ、それなら食べてもいいかな」
早速一人目のお客さんが釣れた。暇つぶしの男性って感じがするけど、まあ試食だしね。
「ん?! こりゃ美味い。ピリッと辛いのが病みつきになりそうだ」
「そうですか、ありがとうございます!」
「これはそこで買えるのかい?」
「はい、一杯で銅貨十枚です」
「あー、だけど荷物になるんだよなあ。ここで食べられないの?」
「すいません、今のところはまだ。ですがお家にお届けする事は出来ますので」
「へ? 家まで持って来てくれるのか?」
「はい!」
しかし、男は怪訝な顔をする。
「だが、どうやって? 俺の家なんか知らねえだろ?」
「はい、それは購入していただいたら、この半券をお渡しします。それには特定の位置を示す魔法が掛けてありまして、もう片方の半券には居場所がわかるようになってるんです」
これはアスカの追跡魔法を込めた半券。一枚一枚対応してるので残りの半券を配達員に渡せばいい。そうしたらあとは半券が導いてくれるんだ。
「そりゃあ面白そうだな。物は試し、で買ってみるか」
「ありがとうございます!」
そして男に半券を渡す。
「こちらの半券を頼りにお届けしますので捨てられるとたどり着けなくなります。飽くまでポイ捨てなどなさらないように」
「おいおい、こんな紙切れだってポイ捨てがバレたら縛り首だよ。そんな事はしないさ」
そう、例の法律をこっちが利用した形だ。これで途中で捨てられることも落とされることも考えなくていい。例え落としたとしても半券だとポイ捨てって見られちゃうだろうし。お客さんも注意してるだろう。
「じゃあこれ、頼むね」
「おう、任せとけ!」
孤児院の子どもにカレーを託す。当然ながら食物を扱うんだからお風呂には入ってもらって服も制服を支給して着てもらっている。出勤したらお風呂と着替えがセットなのだ。あと、食事ね。お客さんの前でお届けしたカレーを持ってお腹をグーグー言わしてたらみっともないから。
「ただいまー」
無事届けて帰ってきたみたいだ。子どもたちにはバイト代とは別に一件届ける毎に銅貨一枚を渡している。これでサボろうとする子を減らす予定だ。まあお陰で順番待ちになってんだけど。
「あら、新しいお店ね」
「はい、カレーと言います。こうしてナンにつけて食べます」
「あら美味しいわ。おひとついただけるかしら?」
「はい、かしこまりました。お届けになりますのでこちらの半券を」
「あら、届けてくださるならあと三つほど頼もうかしら。うちの子たちと主人の分」
「それはありがとうございます。では四人分確かにお届けします」
こんな風に複数人数の分を頼まれる事も当然ある。この場合、一人が一食分なので四人動員される訳だ。
そんなこんなで売れ行きもなかなか。いかにも怪しげな男が注文をしてきた。
「これを一人前、届けてくれ。そこの綺麗なお嬢さんがいいな」
「ご指名ですか? 少し高くなりますけど」
「構わんよ。じゃあ銅貨十五枚で良いかな?」
「はい、ありがとうございます」
この様に女の子に届けて欲しいという要望も銅貨五枚追加で受け付けている。男の子の指名はなかなかないんだが、女の子は多くなりそうだ。
「じゃあこれ頼むな」
「任せるのよ!」
そして意気揚々とカレーを抱えていった。しばらくしたらアラームのような音が頭の中に鳴り響く。これは……ぼくは店の一室へと急いだ。
「ちくしょう、なんだここは!?」
「みんな、助けてなの!」
部屋の中には既にアリスとアスカが来ていた。そして先程の男が一人。
「どうしたの?」
「このおじさんが私の手を引っ張って家の中に連れ込もうとしたの!」
それで手を掴まれたので御守りを握ってここに転移したという訳。可愛いから指名したとか言ってたからイタズラする気だったのかもしれない。デリヘルじゃねえんだぞ。
「ちくしょう、てめぇら、その子を渡せ!」
「出来ないね。このまま突き出してやるよ」
「そう簡単にやられるとでも……ぶげらっ」
飛びかかって来たと思ったらアリスに迎撃されていた。まあそうだよな。ヤマイノシシほど速くも強くも無いんだし。そんで男は縛られて突き出された。容疑は誘拐未遂だ。
ちなみに半券の場所はこっちでも補足出来るようになってるから転移の御守りが発動出来なくても助けに行くことは可能なのだ。そんなこんなで売れ行きも上々の毎日だった。




