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第七十一話:孤児院へ行こう!

なんと教会まで辿り着いてしまいました(笑)

 「おにーちゃん、この人きっといい人だよ?」

 「ばか、そんないい人なんて居るわけないだろ!」

 「じゃあなんで食べ物くれたの?」

 「そ、それは……」


 どうやらまだ疑念が払拭出来ないようだ。


 「アリス、アスカ、畑の野菜持ってこの子たちについて行って」

 「え? それはご主人様(マスター)の仕事では?」


 なんでアスカもぼくに厳しいの!?


 「主様、私も主様が行くべきではないかと思います」

 「アリス、お前まで」

 「その、主様の優しさを誤解されたままにはしたくありませんから。それに野菜を持っていっても私たちだけではどうする事も」

 「あー、じゃあアインを」

 「私は片付けがありますので。あー忙しい忙しい」


 すごい棒読みで言われた。そうこうしてても仕方ない。じゃあアリスとアスカに護衛としてついてきて貰おう。


 「お前らを孤児院に連れて帰る訳にいかねえだろ!」

 「それなら野菜とか孤児院のところに置くからそこまででいいよ」

 「野菜……果物もある?」

 「ああ、あるぞ」

 「やったー!」


 小さい女の子がぴょんぴょん跳ねて喜んでる。それを見るとぼくの心もぴょんぴょんする。


 「ちっ、しゃーねーな。こっちだ」


 リーダーというかおにいちゃんが諦めたようにぼくらを案内し始めた。しばらく歩くと小さな教会が見えた。


 「あそこが俺たちの家だ」

 「シスター、ただいま!」


 シスター!? そ、そうだよね。子どもだけでこんな所で暮らしてるわけが無いよね。いや、本当に貧しいところなら子どもだけですりやらかっぱらいやらやって暮らすのかもしれない。


 「おかえりなさい。おや、あなたたちは?」

 「ひゃい!」


 思わず変な声が出てしまった。


 「なんだよ、おっさん、シスターに照れてんのか?」


 違うぞ? 確かにシスターは美人だと思うが、これは相手が美人とかブサイクとかそういうのじゃなくて、三次元(リアル)の女性だからこうなってるだけだぞ? 曲がりなりにもパペットや奴隷じゃない一般人女性だからな。


 「ご主人様(マスター)、あの様な女性がお好みですか?」

 「主様、私というものがありながら」


 うちのパペットまでバグり出した。本題、そう、本題をしなきゃ!


 「あの、これ、その、良かったら」

 「ええと、これはなんでしょうか?」

 「お肉なのよ、シスター!」

 「野菜も果物もあるんだってさ」

 「ええ、はい、その、これも、どうぞ」


 そう言って手に持ってた野菜を差し出させた。


 「まあ、これは丁寧に、ありがとうございます! 我が神もお喜びになると思います!」

 「えっと、神様、名前、なんですか?」

 「もちろん幸運の神フォルトゥーナ様です!」


 あー、やっぱりあの女神様かあ。それなりにお礼は言っといた方がいいのかな。せっかく教会まで辿り着けたんだし?


 「あの、祈っても?」

 「ええ、勿論です! どうぞどうぞ!」


 案内されて教会の中に入るとそこには豊かな胸をした幸運の女神様の像があった。あれ? こんなに大きかったかな?


 ええと、一応教会まで来たので挨拶だけでも。フォルトゥーナさん、聞こえますか?


 「聞こえておりますよ」


 おや? と思った瞬間、目の前が光って気付くと白い場所に出た。ここは、神界?


 「ええ、そうです。お久しぶりですね、護さん」

 「あ、フォルトゥーナさん。これは一体」

 「いえ、その、せっかく教会まで来られたのでびっくりして思わず呼んでしまったんですよ」

 「みんな心配しません?」

 「呼んだのは精神だけですので肉体は教会にありますし、現実の時間的には一秒にも満たない刹那の間ですから」


 なんでもありなんだなあ。


 「ところで、相変わらず私に対しては普通なのですね」

 「ええ、まあ。ぼくの幸運量を二桁間違える様な方ですから」

 「あの、その話はご内密にと」

 「ええ、どの道話す人なんて居ませんし」

 「それもそうですね。どうですか、地上での生活は?」

 「うーん、ちょっと人が多すぎませんか?」


 素直な感想を口にするとフォルトゥーナさんは非常に驚いていた。


 「えっ、その、人が邪魔だから滅ぼして欲しいとか言いませんよね?」

 「ぼくは邪神かなんかですか? いえ、関わらなければそれでいいんですけど」

 「でも、街に出て来たのはご自分の意志ですよね?」

 「ああ、うん。とりあえずお金稼がないといけないから」


 フォルトゥーナさんは頭にはてなマークを浮かべている様子。一体なんで?


 「あの、何の為にお金稼ぐんですか?」

 「え? そりゃアリスを元通りに……あっ!」


 そうなのだ。お金を稼ぐ目的ってアリスの修復だったはず。それってもう終わってるから無理にお金稼がなくてもいいんでは?


 「そうか、もう稼がなくて良かったのか」


 ぼくが宇宙猫の様な遠い目になったとしても誰も責められまい。

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