第七話:アリスの成長
イラストお待ちしてます(笑)
ぼくはパペットマスターを起動した。するとそこに「おめでとうございます。ランクアップです」というメッセージが。なるほど、こうして強くなるのか。
では、改めてアリスを見てみよう。外見はまだ光ったままである。これはなんで? 教えてパペットマスター!
「強化方向ヲ選ンデ下サイ」
強化方向? なんじゃいそれと思いながらも画面を覗き込むと今までのアリスの素体の絵から矢印が延びていた。そこには
【タイプA:接近戦用マッチョ型】
【タイプB:接近戦用スピード型】
【タイプC:魔法戦型】
【タイプD:補助型】
【タイプE:愛玩用】
ぼくは迷わずEを押そうとしてフォルテに頭をはたかれた。何すんだよ、痛いじゃないか。
「なんでナチュラルに戦力にならないやつにしようとしてるんですか!?」
「いや、だってほら、この素体可愛いよ?」
「そういう問題じゃないです。生き残りたくないんですか?」
「生き残りたいのはやまやまだけどさ」
「ならこれに決まってるでしょう!」
フォルテが指さしたのはタイプA。つまりマッチョ。
「いやいやいやいや、マッチョとかぼくの気が休まらないだろ」
「護様の気の休まりよりも生きてくための資金です!」
それからぼくらはあーだこーだと議論しながら何とか落とし所をスピード型にする事になった。ぼくが選択しようとすると……
「おっと羽が滑った!」
フォルテが思いっきり体当たりしてきて、タイプAを押してしまった。なっ、なぁんてこったぁ!
光が徐々に収まっていき、そこにはムキムキマッチョの大男が立っていた。
「あ、あ、あ……」
「お世話になります、ご主人様。アリスです」
可愛く言ってるが声まで野太い。絶望的だ。アリスだなんて付けるんじゃなかったよ……
「さあ、金髪ツインテツンデレでしたっけ?」
「マッチョに金髪ツインテツンデレ付けてどうすんだよ!」
「ご主人様、ご命令を!」
ともかく家の周りにあるクマはストレージに収納……名前がヘルグリズリー? なんか物騒な名前だな。
「あー、これも動物ですね」
「これも魔物じゃないの!?」
「並の魔物よりかは強いと思います。もっとも、アリスには勝てなさそうですが」
「確かに強そうだけど……なんであんな事したんだよ!」
「だって……武器がノーマルだからダメージ出なくて下手すると死んじゃうかと」
「いや、そのな、装備品、ドレスと帽子なんだが?」
「体型補正は済んでますから大丈夫です!」
そういう問題じゃねえ! ある日、森の中、進んでたら、クマさんに、出会ったかと思ったら白い帽子にドレスを着たマッチョがクマさんなぎ倒して行くんだぞ? ちょっとしたホラーじゃねえか!
「と、ともかくアリス。そのドレスを脱いでくれるか?」
「ご主人様……分かりました。私も覚悟を決めますね」
「いや、何の覚悟だよ」
「私の身体をご所望なんですよね? 愛玩用ではありませんが一生懸命御奉仕します!」
なんか頭がクラクラしてきた。おい、フォルテ。なんでこうなってんだ?
「それは好感度が振り切れてるからでは?」
「好感度が振り切れてる?」
「そうです。パペットマスターは初回製作のパペットに限って好感度MAXからスタートするんです!」
なんじゃそりゃあ!? つ、つまり、美少女だったら今頃やあんなことやこんなことを……なぜ、なぜぼくはパペットを愛玩用にしなかったんだあ!
「まあまあ落ち着いてください。ほら、狩りに行ってもらって資金貯まったら次のパペット作ればいいじゃないですか」
「それもそうか。なら、資金集めと割り切ろう。よし、アリス。この家の周りの動物を狩るんだ」
「分かりました!」
アリスはドアから出て行った。反応を見るとそこまで離れてない、戦車砲の届く距離だ。
「一先ずはこれで金を稼ぎますか」
「あ、アリスにもストレージ繋がってますから回収出来ますよ」
「そうか! なら、森の中で果物とかキノコとかあったら持ってきて貰おう」
「それ、判別つかないんじゃ?」
「……食べ物は通販に頼る事にするわ」
そんなこんなで日が暮れる頃には更に数頭の獲物、というかツノの着いたウサギを捕まえてきていた。
「ご主人様、捕まえてきました」
「ああ、ありがとう」
「べっ、別にあなたのために捕まえてきた訳じゃないんだからねっ!」
「……誰に聞いた?」
「フォルテ様がこうしたらご主人様が喜ぶからと」
「それは今すぐ忘れていい。そしてついでにフォルテのクソ野郎を捕まえてきてくれ」
「分かりました!」
そしてあっさり捕まったフォルテは「ツンデレ好きだから良かれと思って」とかほざいてたが、悪意が見え見えだ。アリスが取ってきたツノウサギは血をストレージに収納したら血抜きが出来た。晩御飯はそれを焼いたものだ。解体は大変かなと思ったけど台所でやったらスムーズに出来た。これも「引きこもり」の恩恵だろうか。