第六十二話:爆乳に顔を埋めるのは男の夢
作者個人としては太ももに挟まれる方がいいなあ(台無し)
扉の前に王様、王子様とぼくらが集まっている。王妃様の侍女とかも何人かスタンバイしている。
扉が開かれた。進みでる人物は重そうなボインをその胸に携えていた。割と爆乳と呼んでも差し支えないのではないだろうか。
「おお、おおお、おおおお!」
感激のあまり言葉にならない歓喜の声をもらして王様は滂沱の涙を流した。
「あなた、どうかしら」
「うむ、うむ、私のためにここまで……こんなに嬉しいことはない!」
そういうと王様は王妃様の爆乳に顔を埋めた。はふーん、なんていう声まで聞こえてくる。
「母上、デカくなったなあ」
「殿下もああいうのがお好みなんですね」
「ラケシス、私の事はオズワルドと」
「いいのですよ、お母様に、タチアナ王妃様に甘えていらしても」
こ、これは、ラケシスさん、実はそんなにオズワルド王子の事好きじゃないのかね? ママのおっぱいでも吸ってろって事でしょ?
「護君が何考えてるか分かりますけど、あれは単なるヤキモチですよ」
「は? ヤキモチ? なんで? 母親でしょ?」
「母親でもですよ。他の女性に目を奪われるのが嫌なんですよ」
「そうか……とするとぼくがこうしてあのタチアナさんに目を奪われるとフォルテも嫌がるんだな」
「え? いや、全然」
分かっちゃいたけどその言葉は圧倒的に傷付くなあ。そりゃあまあ単なるこの世界と引きこもり能力のガイド役だもんね。
「三次元の女性が怖い護君があんなのに目を奪われるわけないもんね」
「なんか言った?」
「なんでもないです」
まあいいか。実際見とれてたというか釘付けにはなってたんだけど、身長がもう二十センチぐらい低かったら危なかったかも。三次元が怖いんじゃないかって? だって画面越しみたいなものじゃん。
……いや、そりゃあまあ三次元嫌いが高じてAVすら観れないんだけど。でもほら、格好が現代日本っぽくないからどこか現実感が無いっていうか。
恋愛感情とか欲情みたいなのとは違う、なんか圧倒されるみたいなアットーテキな興味。もっと言うとあれをフィギュア化したら重心とかちゃんと立たせられるかなみたいな。
しかしそうするとラケシスさんはやはりオズワルド王子の事が普通に好きなんだろうか。男女の機微というのはぼくにはよく分からない。なんならこう、画面に好感度とか表示してくれればいいのに。
「さて、王妃のおっぱいを取り戻してくれたお前たちに是非ともお礼がしたい」
身も蓋もない言い方をする王様の申し出は断るのも失礼だから普通に招待される事にした。
「あなた、その、ちょっと」
「なんだね?」
「貴族たちは呼ばないで欲しいのです」
「なんでた? 私の王妃の素晴らしい姿を見せびらかせられないというのか?」
「ええ、無いんです」
「無い? 何がだ? 何でも持ってこさせるぞ? 料理か? 酒か? 化粧品か?」
「ドレスです。このサイズに合うドレスが無いのですよ!」
なるほど。今着ているのは割とダボダボなバスローブだ。この姿で人前に出るのはまずかろう。それを言うとほくらも見ちゃまずいんじゃないかと思うんだけど、それについては医者が診察をする時に胸を見るのにいちいち罰してはダメだろうという話になってる。つまりは確認役だ。
「なるほどドレスか。昔のドレスではいかんのか?」
「背丈はともかく胸が合いません。あと、何年前のドレスを着させるつもりですか!」
社交界のドレスの流行り廃りはやはりあるみたいで、何十年前のドレスが流行る事もあるのだがさすがに周期には早すぎるらしい。服なんて着れればそれでいいと思うんだけど。
「でしたらこちらでドレスを用意しましょうか?」
アインが申し出る。えっ、何を言ってるの?
「ドレスがあればお披露目が出来るのですよね? ならばドレスはアフターサービスで用意いたしますよ」
どんどんとアインが話を進めていく。おいおい、どういうつもりだ?
「ご主人様、こうでもしないとドレスが出来るまで私たちは城に留めおかれるかと思います。そしてその場合、十日前後は帰れません」
え? 一旦城から帰って改めて、とかじゃないの?
「普通ならそうかもしれませんが、痩身薬やら豊胸薬やらを見せたあとでは」
なるほど。他の貴族に確保される可能性もある、ということか。確かに焼き鳥だけでもそうなりそうな気配はあったな。あの時はラケシスさんが居てくれたから大丈夫だったのか。
「できるのか?」
「無論。我々にお任せ下さい。ではまずは採寸から。王妃様、よろしいですね?」
「ええ、あれだけの化粧品やらを持ってたあなた方ですもの。ドレスだってきっと素晴らしいものなのでしょう」
王妃様も乗り気だ。アインが王妃様の部屋について行って採寸を始めた。本当に大丈夫なの?




