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第五十六話:驚きの肌に

王妃様はアラフォー。

 「母上!? 母上までこの男の毒牙に……」

 「何をバカなことを言ってるのですか。マモルさん、これはとても素晴らしいわね」

 「あ、ハイ」


 周りがそれどころじゃないのに悠然と賛辞を述べる王妃様。心臓が並じゃないなあ。


 「そろそろラケシスも出てきますよ」

 「なっ」

 「オズワルド、あなたはそこらの騎士たちに婚約者の風呂上がりの姿を見られても構わないのですか?」

 「うう〜、し、しかしその男は……」

 「マモルさんの提供した品なのです。効果を見ていただかなくてはならないでしょう?」


 完全に論破されてガクリと項垂れるオズワルド王子。ぼくが完全にお邪魔だな。ごめんよ、王子様。


 「騎士たち、速やかに撤収だ」

 「はっ!」


 騎士たちが部屋の外に出て部屋の中はぼくらと王妃様、王子様の五人だけになった。過半数はパペットですが。


 「はあ、さっぱりしました……えっ、オズワルド様!?」


 何も知らないラケシスがお風呂上がりの姿で出てくる。ほんのりと上気した頬、しっとり濡れながらもツヤツヤの髪の毛、汗が少し滲んでるおっぱい……


 「綺麗だ……」

 「そんな……」


 あーあー、いいですね、リア充はよ! そういうのはぼくらが帰ってからやってくれますかね?


 「……えー、でしたら次は化粧水を」


 お風呂上がりには化粧水。これこそ肌に優しいスキンケア。


 「お手に取って顔に塗ってください。腕とかにも使って構いませんよ」


 塗る時はアイホール、小鼻周り、口周りなど顔の細かい部分は、指になじませて優しくつけましょう。


 ってサイトに書いてたからアイホールが何かわからんけどとにかく目の周り、鼻の周り、口の周りを塗る事に。


 顔全体に化粧水をつけたら手のひらで顔を包み込むようにして肌にじっくり化粧水を体温で温めながらなじませるのが良いらしいのでその様に指導。


 「これは気持ちいいわね」

 「王妃様のお顔にハリが出てきた気がします」

 「えら貴方もよ、ラケシス」


 キャッキャ言いながら化粧水つけたお互いを褒めあってる。


 「ええ、では最後はファンデーションです」

 「ファンデーション?」

 「ええ、おしろいの代わりになるものです」


 そしてファンデーションのつけ方を指導。ついでにおしろいの鉛中毒についても説明。今後は使わないことを約束してもらった。まあ、王妃様とラケシス様のお二人以外は特にどうなってもなんとも思わんしなあ。


 「そうか……ならば手配せねばならんな」


 などと王子様は呟いでいた。ラケシス様が絡まなければまともな人なのかもしれない。少なくともあのくされ第二王子だったものに比べればだいぶましなのだろう。


 そしてファンデーションを塗っていく。これに関してはぼくじゃなくてアスカとアミタに頼んだ。ちゃんと塗れるように学習させたから完璧だ。


 「母上……」

 「どうですか、オズワルド?」

 「素晴らしいです! 目尻の小じわが消え」


 ガシッと王妃様がオズワルド王子の肩を掴んだ。


 「小じわ(そんなもの)は初めからなかった。いいですね?」


 オズワルド王子はこくこくと首を縦に振り続けていた。あ、ちょっと涙目ですね。


 「オズワルド様、私も見ていただけますか?」


 元から肌の綺麗なラケシスにはそこまでファンデーションは必要ない。なのでパール入りファンデーションを開発して塗らせてもらった。なお、真珠貝は養殖可能な状態になってる。森の中に海は無いって? だから水槽に入れた分だけなんですよ。アスカの魔法で海水出せたのも地味に良かった。


 「ラケシス……なんだ、この女神は。前から美人だったがこれは一層美人になったな」

 「ありがとうございます、オズワルド様。お世辞でも嬉しいです」

 「いや、お世辞なんかではない。お世辞では無いんだ!」


 その光景を微笑ましく見ている王妃様。どうやらラケシス様のもお気に召した様。


 「マモル、私の肌も輝きたいのですけど」

 「王妃様のファンデーションは保湿性を高めてあります。みずみずしい肌を保つ為のものなのですが、キラキラがおのぞみでしたらそれを取り除いて」

 「このままで構いません。ええ、構いませんとも!」


 十代の肌と四十代の肌を比べちゃいけませんぜ。


 「というのが我々のラインナップです。如何なされますか?」

 「買ったわ!」

 「わ、私も買います!」


 王妃様もラケシス様も買うのに大変前向きというか前のめりだ。とりあえず今ある半年分をお買い上げ。それから王妃様の部屋へのフリーパスも与えてもらった。


 「さて、これは改めての要望なのですが……その、胸だけ大きくする、というのは可能でしょうか?」


 また王妃様がなんか無理難題を押し付けて来たな! いや、痩身薬の時は「余分な脂肪を燃やす」という割と無差別破壊なところがあった。しかし豊胸術かあ。まあ王様の落胆を考えると考えた方がいいんだろう。


 「ちょっと考えてみますので時間をください」とぼくらは王城を後にした。あ、もちろん莫大な金貨はもらいました。これで次のパペットが……その前にアリスを復活させるぞ!

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