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第五十話:痩せる!

作者の私も痩身薬欲しいです。

「公爵令嬢」

「ラケシスで構いません」

「ではラケシス様。その様な症状に心当たりはございます。ですが、我々の太りにくい肉を使っても体型は変わらないでしょう」

「そう……ですか。ですが、試したいのです」


 ラケシスさんからは本当に王妃様を案じている雰囲気が伝わる。


「どうしてそこまで一生懸命なのですか?」

「王妃様は、タチアナ様は私の伯母なのです」


 なんでもラケシスさんのお母さんの双子の姉だとのこと。そしてお母さんが亡くなってからは実の母の様に可愛がってくれたとのこと。そりゃあなあ。


「アミタ、何とか出来んかな?」

「ええと、痩身薬くらいやったら直ぐにでも作れますよ。せやけどその後がなあ。こればっかりは環境が改善せんとどうもならんのやないですか?」


 痩身薬……無理をさせるのは良くないが切羽詰まってるなら有りかもな。


「よし、とりあえずアミタには痩身薬を作ってもらう。で、その後の体質改善に関してはその後考えよう」

「問題の先送りでっか?」

「事情が分からないと何とも出来ないよ」

「しゃあないなあ。ほな、痩身薬作りますさかい誰ぞ取りに来て貰わんと……あ、アスカ姉やったら転移でいけるか」


 そうか、アスカの転移があったな。でもまあとりあえず猶予がある様なら転移するまでもないだろ。とりあえず無駄かもしれんけど胸肉ささみは売ってあげなさい。もちろん塩でな。


「かしこまりました。……ラケシス様、焼き鳥を用意しますので少々お待ちいただけますか?」

「! ありがとうございます!」


 ラケシスさんは深深と頭を下げた。公女なのに奢らない人だ。こういう人は助けてあげたくなるよね。


「お待たせしました。こちらが太りにくい肉、胸肉ささみです」

「ありがとうございます!」

「それで、これで体質改善出来なければまた一週間後にここにおいでくださいますか?」

「一週間後ですか? はい、必ず」


 ラケシスさんは大事そうに焼き鳥を抱えて帰って行った。アミタは痩身薬くらい二、三時間で出来るって言ってたけど、ちゃんと帰って持ってきましたぐらいのていでないとダメだと思うんだよ。急を要するならアスカの転移で何とかしたけど。


「では今から帰還します」

「あ、ぼくの分身体は街に置いといて。拠点要るだろうから作っとくよ」

「分かりました」


 ストレージに諸々仕舞って、アスカとアインだけ転移で帰宅。ぼくは分身体で宿をとって連泊。その間に店を借りたりして開店準備する。焼き鳥が売れに売れたので店の賃料くらいは何とかなる……と思う。


「ただいま戻りました。ご主人様。直ぐに晩御飯に取り掛かりますね」

「あ、デリバリーでピザ頼ん」

「ダメです。ちゃんと栄養に配慮した食事にしますので」


 おおう、ピザとコーラでパーリィーの夢が。いや、何度もやったけど。こういうのは何度でもいいんだよ。


「出来た! 旦那はん、出来たで!」

「おお、痩身薬?」

「せや。旦那はんで実験……お試ししてみん?」

「ま、まあ、ぼくが言い出した事だしな」


 小さい丸薬を渡されて、それをそのまま飲む。口の中に苦い味が拡がる。うえー、こりゃクソ不味い。


「良薬は口に苦し、いうからな。苦うしてみたわ」


 いや、甘くしてくれよ! って思ったけど、それだと薬に頼っちゃうよな。ん? なんか身体が熱い……


「あー、この薬な、脂肪を無理矢理燃焼させるんや。やから汗がガンガン出て脂肪が燃やされて熱が出るんやなあ」

「なんだそうか……ってつまり汗がものすごいって事か?」

「せやなあ」


 うおおおお! それはちょっと待て! ぼくの愛機がおじゃんになったらどうするんだよ! ぼくはダッシュで部屋を出て二階のぼく専用シャワールームへ。廊下に汗がボタボタ落ちていたがそれどころじゃあない。


 脂肪が溶けて出てるみたいに汗の量が加速度的に増えていく。ぼくはシャワーを浴びながら椅子に座って意識を失っていた。


 次に気付いた時、シャワーの心地良さで目が覚めた。なんかさっぱりしてる感じ。いつもはぶよぶよで見るに堪えない三段腹も、微妙に重たいおしりも、巨乳に育った胸板も、埋もれて無くなってしまったかの様な首周りも全部全部スッキリしていた。


「なんだか身体が軽いんだが……」


 湯気に曇った鏡を手で拭うと、そこにはぼくの分身体が居た。あれ? いつの間に戻したんだっけ? いや、それにしちゃ筋肉が全然ついてないヒョロガリな感じだなあ。


「ご主人様、そろそろ……あっ、だ、大丈夫なんですか?」

「アインか。ああ、大丈夫だよ。というか何が?」

「いえ、そんなに痩せてしまわれて」

「旦那はん、スッキリしたなあ。実験成功や!」

ご主人様(マスター)痩せても素敵です」


 あれ? と思いながら鏡の中をもう一度見る。つ、つまり、このヒョロガリは王都に要る分身体じゃなくてぼくなのか!

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