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第四十八話:王侯貴族

アミタはマッドサイエンティストっぽい(笑)

 「仕方ないなあ。ご飯は諦めるか」


 そうそうそれで早く帰って……


 「じゃあちょっとお邪魔しますね」

 「ええっ!?」


 お邪魔しますね、じゃない! おいおい、ご飯目当てだったんだろ? じゃあお目当てのものが無いから帰ろうって話になるだろうが!


 「いや、だって帝国からここまではるばる長旅して来たんですよ。それなのに留守だったからとすんなり帰れませんって。それに一階なら見られて困る様なものもないでしょう?」

 「分かりました。上がってええよ」


 アミタが論破された! そしてホイホイ入れるんじゃない! アインが居る時は料理の味見役って事で出入りは自由にさせてるけど、それ以外は許した覚えないぞ?


「ちょうど実験につきおうてくれるやつが欲しかったんよ」


 お客様じゃなくて被検体扱い!? それはそれでヤバそうだけど、もしかしたらそれがぼくに向いたかもしれない? いや、さすがにアミタでもご主人様であるぼくをどうにかは出来ないはず。


「お邪魔します。えーと、それで私は何をやれば良いんですか?」

「まあまあ、それはゆっくりと。これ、ジュースですけど飲みます?」

「飲む!」


 ごくごくと飲み物を飲み干す。今のは多分フルーツジュースだな。畑で採れた果物をミキサーにかけたやつ。ぼくが牛乳をあまり好きでは無いし、この世界の人も飲まない(というか酪農という概念がない)らしいので水とはちみつを使って作ってる。


 そう、はちみつ。アミタに養蜂箱を作ってもらって庭に置いてるんだけどちゃんと少しだけどはちみつ取れてんだよね。今のところは欲しかったらネットスーパーで買ってるんだけど、そのうち生産できそう。


「はあ、甘くて美味しいですね! おかわりあります?」

「そうですね。摂取してから二分半……そろそろかな?」

「え? 何が……です……か……」


 おや? アヤさんの様子が? ってなんかアヤさんぼーっとしてるけど?


「おい、アミタ!」

「なんですやろ、旦那はん」

「アヤさんに何を飲ませたんだ?」

「ええと、催眠剤ですかね。意識が朦朧となってガードが緩くなっちゃうやつ。当然記憶も働かない。あ、旦那はん、なんなら犯してみます? 溜まっとるんやろ?」


 大きなお世話だ! そりゃあまあ生身の人間に触りたい気持ちはあるけど、対面するのが怖いんだから。


「それはいいから。それでなんでこんな薬を開発したんだ?」

「そら今後も帝国、王国問わずに旦那はんのところに来るやろ? そん時に腹の中で何考えとるか探りたいやん?」

「あー、まあ、この家の安全の為なら仕方ないか」

「なんなら皇帝に盛って傀儡にしてもええんちゃう?」

「やめんか、めんどくさい!」


 正直めんどくさいの一言だ。それに国を動かすなら大勢の人と関わらなくちゃいけないと思うと気が遠くなる。


「ほなしゃあないなあ、アヤさん? ここに来たんは飯が目的なん?」

「一番の目的はここのご主人が帝国と敵対する勢力と手を結ばないように監視、干渉する事。その過程で美味しいご飯が食べられるのはラッキー。なんなら身体でご主人とやらを落としてこいとも言われてる。イケメンだと良いなあ」


 悪かったな、イケメンとかじゃなくて!


「あのさあ、護くんはイケメンだと思うよ、痩せたら」

「そんな出来もしない事を言われても何の慰めにもならないんだよ、フォルテ」


 結局薬の効果は二時間ほど続き、アヤさんにはカップラーメンを進呈して食べてもらって帰した。


 翌日、王都に行ったアインたちは朝から焼き鳥屋の準備を始めていた。いざとなったらストレージ内のまだ処理してないロックバードも使ってもいいと言ってある。さて、どれくらいな売れ行きなのか。


 開店と同時に行列が出来た。一糸纏わ……もとい乱れぬ動きだ。順番に焼き上げてタレと塩をより分けて渡していく。ややタレが優勢という感じだ。


 お昼を過ぎたあたりからラストスパート。そろそろ切り上げて帰ってこないとぼくのご飯がずっとカップラーメンだけになってしまう。いや、ぼく的にはそれでも一向にかまわない。と言ったらアインに意地でも帰ってくるとブチ切れられた。なんで?


 だいたい売り切ったという報せが来たのが午後三時頃。おやつタイムぐらいだ。そこに一頭の煌びやかな馬車が止まった。


「こちらで太らない肉が売っていると聞いたのですが、本当にそんなものあるのですか?」


 疑わしそうに執事らしき人物がアインに言う。見下してる? 見下してるねえ。馬車の中の人物がどんだけ偉いのか分からないけど、その態度はいただけないなあ。


「失礼ですが、どちら様でしょうか?」

「なんですと! 当家の馬車をご存知ない? 王都にいながらなんという」

「あ、昨日来たばかりですので」

「それなら仕方ありませんね。これは我が国の王妃、タチアナ様の馬車です。つまり、王妃様のご命令なのです。ほら、早く出しなさい」


 とことん偉そうだな、この執事。

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