表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
395/400

第三百九十五話:孤児院大改革作戦

まあやるのは歩美さんだけど。

 空狐、ヴラドが加わって、アルタイル、セイバートゥース、エイクスュルニル、レッドメット、ピーター君とこちらも五人から七人になった。驚いたねえ、ボウヤ。奇しくも同じ構えだ。いや構え違う、人数だ。


「アルタイルとかとは仲良くやってるんですか?」

「ええ、もちろん。二人とも、いい子、ですから」


 空狐もヴラドもいい子には見えないよ? まあ、百歩譲って、空狐の方は若干優等生っぽくて誤魔化せそうではあるけど。ヴラドは明らかに生意気そうっていうか自分がトップだとか言いそう。


「私には、逆らえない、ように、なって、いますし、アルタイルたち、とは、ちゃんと、話し合い、した、みたい、なので」


 歩美さんに逆らえない……あ、DP使って生み出したからか。そりゃあ自分のダンジョンのモンスターにダンジョンマスターが襲われてたらおちおち拠点防衛もしてられんわな。


「あと、孤児院の、子たち、を、積極的に、雇って、いこうかな、って」


 どうも歩美さん的には子どもが酷い目にあうのが許せないらしい。まあ今までは王国を中心に活動してたから帝国の方でも活動したいんだって。


「分かりました。帝国の孤児院にも知り合いが居ますので紹介しますね」

「えっ? は、はい、それは、ありがとう、ございます」


 という事で歩美さんを伴ってやって来ました帝都。メンバーは、ぼく、歩美さん、アリス、アラヤ、空狐である。対外折衝は空狐の仕事らしい。


「あ、迎えに来てくれたのよ、護おにいちゃん!」


 孤児院からミラちゃんが走ってぼくに抱き着いて来た。まあ、この子はぼくと結婚したらお腹いっぱい食べられるって思ってるからまあ微笑ましいんだけど。


「ミラちゃんだけずるい! えい!」


 いや、アリスが抱き着いてきてどうする。ええとほっといて進めよう。ミラちゃんにレナさんを呼んでもらう。出て来たのはレナさんとラナさんだった。


「あ、護さんだ。迎えに来てくれたの?」

「こら、ラナ。使徒様に失礼なことはおやめなさい。ようこそお越しくださいました、使徒様!」


 軽々しいラナさんと重々しいレナさん。どっちが気が楽かと言われればラナさんの方なんだけど、怖いのもラナさんだ。レナさんの場合は崇拝対象みたいになってるから。


「使徒様のおかげをもちまして、卵の商売は上手くいっております」


 あー、そういえば孤児院で鳥小屋つくったね。どうやら今でもそれが現役らしい。


「そ、そうなんだ。あ、こちらの歩美さんという方がお話があるって」

「こ、こ、こ、こん、にちは!」

「主よ、ここは任せてたもれ。少し話を良いかの?」

「は、はい、いくらでも!」


 レナさんよりもラナさんの方が食いついた。やはりイケメン補正は違うなあ。


「あの、お話とは?」

「私はラナ。こう見えてもまだ若いから子どもは産めると思うよ。どうですか、試してみませんか?」

「ラナ!」


 漫才かな? いや、空狐の身なりを見て金持ってそうだと思ったからアプローチ掛けてきたんだろう。歩美さんの事を主、と呼んだから婚姻関係ではなく主従関係だと思ったらしい。あの一瞬で。婚活に賭ける情熱は凄まじい。


「お美しいお嬢さんに好かれるのは満更でもありませんなあ」

「空狐?」

「主、社交辞令ですよ」

「この人には通じないからダメ」


 何とか説得はしてもらったみたい。んで、本題。孤児院の子どもたちを引き取りたいって話。レナさん曰く、この孤児院は既に鳥小屋とデリバリーカレーで生計を立てれているらしいので、知り合いの他の孤児院に報せてくれるということに。なんでも、ほかの孤児院からは羨ましがられてたみたい。そこは配慮が足らなかったなあ。


 レナさんたちと別れてダンジョンに戻る。別れ際、ラナさんとミラちゃんがついて来たがったので、一応見学会みたいな形でやることに。音泉階を案内すると、ラナさんが満喫。もうここに住むって言い出した。またですか。


 ミラちゃんは下水キッズのディーが案内を買って出た。目がハートマークになってたからミラちゃんの可愛さにやられたんだろう。頑張れ。


「ほら、こんな事もできるんだぜ!」

「すごいの! 膨らんだの! 不思議なの!」

「へっ、へへっ、だろ?」

「ご飯の量が増えたら素敵なの!」

「あ、いや、その、量は、増えなくて」

「ガッカリなの」

「い、いや、その、ほら、色々、やれるから」

「色々ってなんなの?」

「ええと……」


 ディーが言葉に詰まってしまった。まあミラちゃんの興味が食べ物にしかなさそうなのはちょっと同情するところかなあ。


「ディー、このパン膨らませてみな」

「ああん? なんだよ、パン膨らませんのか? ほらよ」

「ミラちゃん、このパンどう?」

「すごいの! ふわふわなの! 硬くないの!」

「えっ? あ、ま、ま、まあな! ほら、すごいだろ!」

「ふわふわなパンは素敵なの!」

「だろう? へへーん!」


 ドヤ顔のディーはちょっと小突きたくなるな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ