第三百九十三話:こんにちは、アラヤ。私がパパよ
いや、パパって呼ばせてないですけどね。
そうしてできた子がこれだよ。
「社長、よろしくお願いします」
秘書だからって無理に社長呼びしなくていいと思うんだけど。まあ商談の場でご主人様とか言われたら気まずいか。
さて、名前を付けよう。秘書だからな、堅実さがわかる名前がいい。一歩一歩歩く様に進むためにアユミ……って、それじゃあ歩美さんと被るわ! まあ考えたらアリス、アイン、アスカ、アミタ、アンヌ、アカネ、と全員あから始まってんだよなあ。ここはぼくの心の拠り所となるべく、アラヤと名付けよう。……女の子襲ったりしないよね?
「名前登録完了。私はアラヤ。改めてよろしくお願いします」
よしよーし、じゃあついでにガチャも引いちまおう。こういうのは勢いが大切だ。
「やっと引く気になったのね!」
うぉう! 何しに来たんだよ、フォルテ。
「あなたがガチャを引く時に祝福かけてあげてってフォルトゥーナ様から申しつかっていたの」
「それ聞いてたらもっと早くガチャしてたが?」
「するするって言っててやらなかったからやるやる詐欺なのかと思った」
失礼な! いやまあ忙しかったのは事実だしなあ。では気を取り直してガチャるか。
「美味しくなぁれ、萌え萌えきゅん!」
「どこで覚えてきた!?」
フォルテが魔法の呪文(?)を唱えるとガチャの魔法陣が現れてモノが出てくる。
SR メガネ
SR メガネ
SR メガネ
SR メガネ
SR メガネ
いや待て! 確かにメガネは悪くないが、何故メガネしか出ないんだ? なんかどこかのメガネアイドルに私のメガネ、好き、嫌い?って聞かれてるみたいな。大好きだー!
「まあまあこれからこれから」
SR タイツ(八十デニール)
SR タイツ(四十デニール)
SR タイツ(百十デニール)
「今度はタイツ!?」
「タイツ、お好きでしょう?」
ニヤニヤしながらフォルテが話し掛けてくる。ああ、好きですが何か? だいたいタイツは使い捨てでは……えっ、自動浄化機能? 破れても修復するの? それは……なんというか、ダメじゃないか? ああ、いや、そんな、履きこんだやつをクンカクンカしようとかそういうのは考えてないから。
SSR 踏まれたら気持ちいいハイヒール
フォルテ? ちょっと話があるんだが?
「私の、私のせいじゃないよ! そういうのはフォルトゥーナ様に言ってよ!」
「聞いてるんでしょ、フォルトゥーナさん?」
(え、ええと、その、す、好きなんでしょう、そういうの?)
「そんな趣味はない! メタメタにしてやるから降りて来い!」
(へっへーん、貧弱ぅ、な護君にメタメタにされたところでなんとも)
「アリスとアンヌを呼ぶが?」
(すいません、ごめんなさい)
あっさり土下座した。まあ教皇の時にかなり怯えてたもんね。
「やり直しを要求する!」
(ダ、ダメなの。ガチャの結果は例え神であってもどうにもならないのよ)
その昔、権勢を恣にした白河法皇が賀茂川の水とガチャの結果と山法師は意のままにならぬと言ってたもんね。ん? 違ったかな?
まあ代わりにもう一回引かせてもらう事になったからいいか。
SSR 運転手付きリムジン
あの、この世界でリムジン貰ってどうしろと? いや、リムジン自体には罪はないよ。むしろ乗りたいとすら思ってたし。でも、何処を走るんだよ。ここ、森の中やぞ?
(そのリムジンは走破性が高くて少々の悪路でも平気で走ります)
それ、リムジンじゃなくてレンジローバーとかそういうやつじゃ? まあ魔法とかそういう不思議な力だと思っておこう。
ガチャはこれで終わりだけど、特別に一回引かせてもらう事になったので、SSR確定ガチャを引く。
SSR 赤兎馬
あの、なんで赤兎馬? うちには呂布も関羽も居ないんだけど?
(うわぁ、おめでとうございます。間違いなくSSRの中でも当たり中の当たりですよ!)
「使えるか、こんなもん!」
確かにこの世界は馬が移動手段のメインだけど、さすがに赤兎馬に乗って戦場を駆け巡る気は無いぞ。しかし、放っておく訳にもいかない。仕方ないから神馬として祀らせておきましょう。
これでガチャは引ききった。なお、秘書にはメガネが必須だから、ガチャで出る前からメガネはかけさせている。抜かりはないぞ。
「アラヤ、タイツとハイヒールは履いていいぞ」
「分かりました。どの厚さがいいですか?」
「……八十で」
「分かりました。では準備が出来ましたら踏みますね。強さはどれくらいで……」
「踏まなくていいから!」
狭いところだと赤兎馬が可哀想だから、歩美さんの所に放牧に出そう。ついでにアラヤも紹介しなきゃな。ああ、まずはアリスたちに会わせるのが先か。
とりあえず部屋から出たらパペットが全員集合していた。そんなに気になってたの?




