第三百九十一話:アリスの追及
追及をよく追求で書いてるやつがありますが、ちゃんと使い分けて貰いたいものです。
余罪のツイキュウは「追及」の方です。
えっ、追求は他のやつの代わりにも使われる?
家に帰って寝て起きたら隣にアリスが寝ていた。いや、ぼくは分身体が代わりにあるからいいけど、アリスは居なくなったら怪しまれない?
「主様、おはようございます!」
「はい、おはよう。なんでここにいるんだ?」
「主様の居るところが私のいるところです!」
「いやいや、アリスはぼくの護衛じゃないの?」
「ですからこうして褥を守っているのです」
いや、それ、掛け布団だからな。褥は敷布団だろうが。掛け布団は確か衾だったかな。いや、それはどうでもいいか。
「アリス、向こうに戻ってぼくの分身体を護衛して帰ってきてくれ」
「嫌です。おそばを離れたくありません!」
あれ? ぼくの命令に絶対服従じゃないの? それとも命令になってないってこと? ええと、令呪を以て命ずる……とかやらなきゃダメなのかな?
「主様が、どこかに行っちゃう……他の人のところに行っちゃう……」
アリスが嗚咽するような声を出した。
「いや、なんでだよ」
「だってラケシスやアーニャに抱き着かれてニヤニヤしてた」
いやしてないし。というかテンパってたのは確かだけど。
「それに、あの皇子様がおしり出したら、主様がフラフラと行っちゃう」
「なんでだよ!」
「だってあの子は女の子じゃないもん」
そりゃあまあそうだけど。だからお稚児趣味は無いんだっての。顔立ちは整ってて可愛かったから確かにその性癖の人なら落ちそうではあるけど。
「それに、それに、ユーリが、キリエが、主様を狙ってるから」
「いや、ユーリとはちゃんと話したし、キリエはユーリに手を貸しただけだよ」
「あと、歩美の視線も熱かった」
それ、絶対、アッーって叫んでた時のやつだな、そうなんだろう?
「あと、アカネちゃんも主様の子どもが欲しいって言ってた! 妹でも譲れない!」
うーん、アカネはぼくの子どもにも忍びとして仕えたいみたいな話だと思うんだけど。というかアカネには生殖機能付けてないんだぞ?
「その通りです、御館様」
お前も唐突に出てくるな、アカネ。
「アカネちゃん! いくら妹でも主様の子どもは譲れない!」
「ええ、姉様が産んでいただけるなら大満足ですとも」
「あれ?」
やっぱりだよ。こいつは誰でもいいから子ども産んで貰って仕えたいってので確定だな。
「アカネちゃんが産みたいんじゃないの?」
「何を仰いますか。私が孕んだら忍び働きが出来ないではありませんか」
まあボテ腹抱えて身軽に潜入捜査とかどうにもならんわな。ボテ腹がいいならバストサイズを盛っても良いってなっちゃう。くノ一って元々そういう房中術系の忍者だしね。誰か高官を垂らしこめ、みたいなハニトラ要員だもん。
「ふう、じゃあ当面のライバルはアインちゃんとアスカちゃんとアミタちゃんとアンヌちゃんだけだね」
「いや、待て。なんでパペット全員?」
「主様が拒否反応起こさない女の子だもん。あ、フォルテちゃんとフォルトゥーナ様もだね!」
まあ明らかに違うと思うけど、そんな事言っても納得しないだろうなあ。
「ご主人様ですか? はい、食事や掃除は世話しますが下の世話までは。まあ言付かりましたらやらざるを得ませんが」
「ご主人様? マヨネーズくれるなら相手してもいい」
「旦那はん? うーん、めんどいからやらんでええなら研究に没頭したいとこやけど、まあ求められるんなら条件次第でせんことも無いで」
「チーフの体調次第ですね。出さない方が健康には悪いですからそういう意味でしたらお相手させていただきます。特別にゴム手袋とかはしないでおきますので」
「ほら、みんな満更でもない!」
いや、どう考えてもやらないで済むならやりませんって感じじゃん! って言うかお前らぼくはお前らの主人やぞ? なんだよ、その進まなさそうなのは。
「あ、あと、ミラちゃんもいた」
あの、まだ年端もいかない少女に手を出すとか思われてんの? ユーリどころじゃなく年下なんだが?
「だって私よりも年上だし」
あー、まあ、パペットとして生み出したのは確かに少し前だから年下と言ったら年下なんだが。
「ミラちゃんがダメなら私もダメなんだ!」
あー、もう、なんだよ、めんどくさいなあ。パペットも女性ってことか? でも、アリスは打算とかそういうのが出来る風には作ってない。だから信頼してるし、どもらずに喋れる。裏切らないって分かってるから。
「あ、アヤさんもだ」
「あれは食べ物与えときゃ何とかなるから」
「ピーター君とか?」
「いや、男の子だよね? というかオトコの娘になるのか?」
「だって歩美のところに行ったらいつも話し掛けてるから」
それはね、歩美さんのところで他に話しかける前にワンクッションおいてるんだよ。基本的にアルタイルたちは怖いからね。何時牙を剥くか分からんし。




