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第三百八十一話:本体召喚。さあ試練はここからだ!

試練と書いて「たのしみ」と読む。

 なんか歩美さんに謎の落胆をされてからも国の入場は続いていく。細々した国々が続いてるらしいので国力順なのかもしれない。そう考えるとトップの帝国はすごいのだろう。国の力クーデターで落ちたはずだけど。


 最後の国が入ってぼくらを残したまま扉が閉まった。これからここのメンツで会議が始まる。内容は様々らしいが、各国の利権などもあるので新参の国が加わるのは会議の終了時なんだと。でないと会議の味方をしてくれる国に賛同したりとか利害的に見てしまうんだと。


 外ではぼくらは退屈しながら待っている。一国の代表を待たせるなんて! とか憤慨はしない。そりゃあ新参者だもの。それにあまり不快な感じじゃない。むしろ快適なんだ。何故かと言うと……


「歩美さん、ここの街、シーファイフをダンジョン化しました?」

「はい、あの、ダメ、ですか?」

「あーいえ、ぼくらが言えることでは無いのでどっちでも。あ、でも今快適な温度なのは助かりますね」

「はい、標高、高いと、寒い、です、からっ」


 なるほど。それで環境適応的な設定になってるんですか。なんでもダンジョン内の気温や湿度は自由自在なんだと。しかも場所ごとに変えることも可能。場所というか階層ごとらしいけど。


「ここは、ダンジョンの、二十五階層に、設定、しました」


 えっ、ダンジョンの階層ってそんなに追加出来たの?


「既存の、建物に、設定、する、のは、割と、簡単、なん、です」


 ああ、タワーが元からあるからそこに階層設定しただけってことか。でもでも、客の入りは良いらしく、DPダンジョンポイントも順調に貯まってるんだって。空母が買えるとか言ってた。えっ、買うの、空母?


「ご主人様、そろそろ本体の方にお出ましになっていただかないと」

「え? マジで?」

「はい、でないと先程入っていかれた教皇猊下に怪しまれますよ?」


 そう、教皇ボニファティウス猊下が直々に来たのだ。何故かって? ぼくが国を作るって言ったからだってさ!


 いや、なんでも、最初は「教皇退位して使徒様の国に移住しゅりゅー!」などと言ってたらしい。意訳だよね? そんな変な言い方してないよね、多分。


 それで傘下の枢機卿たちが泣き落として思い留まって貰ったんだと。えっ、反対しなけりゃ枢機卿から教皇になれたのにって? それが教皇を辞めてまで使徒様ぼくの下に来た、というのが明るみになったら、集団で、挙って、ぼくの国を目指す聖地巡礼が出来ちゃうんだって。


 まあそんなことは聖国としても看過できないという事になり、教皇猊下には思い留まって貰ったそうだ。で、教皇猊下はそれならばせめて晴れ姿を見たいと駄々を捏ねて、この世界会議に参加したのだとか。


 ところで聖国は三大国のどこに所属していたのだろうか? 答えはどこでもない。聖国はそもそも国としての要件を成し遂げてない。それでも国として認められている。ぶっちゃけた話、フォルトゥーナさんの御威光だね。まあこの世界会議ではオブザーバー的な立場で発言権は無いみたいだけど。


 で、その教皇猊下を納得させるにはぼくの本体が来なきゃなんだって。いやいや、そんな納得させなくてもいいじゃないか!


「ご主人様、納得させねばオブザーバーとはいえあの聖国の影響は強いと思われます。ですので、あの使徒様は偽物だ!って叫ばれたら」

「いやいや、あの時のメンツがいるじゃないか。アリスもアンヌもアインも!」

「多分、あのお方は使徒たるご主人様以外は目に入ってなかったか記憶の彼方に忘れ去ってるかだと思われます」


 それはそれで酷いな、おい。しかし、それだと困るなあ。ぼくの本体が出なきゃいけないのか。ええと、ちょっと心の準備するから九万秒ほど待って。


「却下します。四十秒で支度してください」


 あ、おい、なんでここに居るんだ、アイン!? いつの間に転移してきたんだ? おい、こら、やめろ。ぼくはまだ読みかけの漫画があるんだ。ちょうど天秤が傾いたところなんだよ。


「準備終わりました。ご主人様、どうぞお出ましください」

「ああ、もうわかったよ。【入城(キャスリング)】!」


 ぼくの身体と分身体が入れ替わる。久々のシャバだ。まあお風呂とかは入ってたから臭くはないだろう。フォルテもついてきた。いや、強制だけど。


「えっ? 今まで読んでたえろ漫画は?」

「フォルテ、えろ漫画読んでたのか?」

「え? 読んでないけど、こういうのは様式美だから」


 そんな様式美があるか!


「ほう、本体のお出ましか」


 アルタイルさん、あなた、なかなか鋭いですね。


「え? 本体? あ、あの、もしかして、さっきまで、違ったん、ですか?」

「あ、はい、すいません、すいません、すいません」

「あ、ええ、その、いいです。はい、大丈夫、です」


 二人で頭を下げる。一国の代表だとは誰も思わない光景だ。

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