第三百七十三話:帝国と王国、それぞれの形
重桜華はまだ出てこないので暫くお待ちください。
マイハウス国はあんまりですよってアヤさんに大笑いされた。ほっとけ。ネーミングセンスがないのは自分でもわかってんだから。なおラケシス様も難色を示していたから変えた方がいいのかもしれない。会議本番までには考えておこう。
で、アヤさんがここに来たのは美味しそうな匂いがしたからとのこと。いや、そんなに匂わないよ? どれだけ過敏な嗅覚してるの?
「さて、それじゃあ私も失礼して」
フェルド王子がフィナンシェを手に持って口に運ぶ。バターの香りが嫌でも食欲を刺激していた。フェルド王子は一口食べるなり驚いたような顔をした。まああの食感はなかなか真似出来ないもんね。
「信じられない……なんだこれは? プリンを初めて食べた時も驚いたが、これはそれ以上だ」
「濃厚プリンもどうぞお召し上がりください」
「プリンはたべたことがありますからね。そう簡単には驚かな……美味ァ!?」
大きな舌鼓が音を出して鳴った。濃厚プリンはその名の通り濃厚なのだ。いつものプリンをプッチ○プリンだとしたら、濃厚なのはケーキ屋さんで売られているプリンだ。
いや、もちろんぼくはえぶりばでぃぷっちんなプリンも好きだけどさ。どっちも違ってどっちもいい。そう、おやつとはバリエーションなのだ。だからどこかのコーラ会社がキュウリとかしそとか小豆とか作っちゃうんだよ。ポテチもそうだ。なんか昔どこぞの郷土料理味のを出したら「ゲ○の味がする」とか言われてたな。まあぼくは食べてないんだけど。
「これは、うちの国に持って帰ってもいいのかい?」
「ええ、もちろんです」
「それはありがたいね。間違いなく君たちの国を認可させる方向で動くよ」
「ありがとうございます」
これでティリスは落ちた。あとはペレンノールとモルグルだっけ? これはラケシス様とフェルド王子が残り二つの国の代表を招いて晩餐会をする予定があるので、その時に説得するんだそうな。
この会、歩美さんは参加、ぼくはアインを派遣するって形。ラケシス様が推すのは飽くまで歩美さんだからね。ペレンノール古王国の末裔である四カ国が集まる場なので帝国はノーサンキューなんだと。
その間、ぼくらは何をしてるかと言うと、帝国と昔冊封体制にあった国々との会談なんだとか。冊封体制があったのはかなり昔の皇帝の頃で、今では国交がある以上の事は無いんだけど、旧宗主国として困窮時の援助などはしてるみたい。
山岳国とかこないだ滞在したオルサンクのあるアイゼンガルド古王国とか、距離とかバラバラの場所にあるらしい。なんか大英帝国みたいな。いや、植民地じゃないけど。そういう国は全て先祖が貰った帝国の爵位を持ってるらしい。まあかつてのものだから正式に任命されてはいないんだけどね。
「私たちは細々した国々からの挨拶待ちなのですわ」
「こっちから挨拶には行かないの?」
「帝国としてその様な事は出来ません。ご心配なく、小国の者共にはきちんと協力させますので」
まあ小国の人たちには何の含みもないからあっさり話は通りそうだけど。あ、アインが居ないからパーティは無理かな? って思ったら向こうが料理人を用意するんだとか。ええと、ぼくらがそれを食べるの? アイゼンガルド料理ってあのリバーボアとかだよね? うえええええ。
いや、ぼくは味覚をシャットダウンすればいいか。カッブ麺食べようかな。あ、なんかど○兵衛はCMやら商品やらでやらかしてるらしいから赤い○つねかな。油揚げ美味しいよね。
アミタが「うちに任せとき!」とか言い出したんだけど。どうなることかと思ってたら、関西焼き、たこ焼き、焼きそばの粉もんと串カツは作れるんだと。きっと君は関西人、間違いなく関西人。そういう風に作ってるけどさ。そこまでインストールはしてないよ?
まあぼくは焼きそばは宇宙船のやつ食べるけどね。ジェット湯切りで麺をガードだ。夜店のやつでもいいけど、あれはからしマヨだからな。絶対アスカが寄ってくる。いや、たこ焼きにもお好み焼きにもマヨは必要だけどさ。
あ、今回山岳国は参加しないことになってるから挨拶には来ないそうだ。なんかリオン皇子と結託してクーデターを企てたみたいな話になってるからそういう意味でもちょっと微妙な立場らしい。
という事で迎え入れたのはアイゼンガルド古王国をはじめとした十足らずの国々。国の規模的には小さなものが多い。代表としてアイゼンガルドの者らしき人物が一歩前に出て跪いた。
「皇女殿下にはご機嫌麗しゅう。アイゼンガルド古王国、外務卿のデオルと申します」
肌の色は濃い褐色。髪の色は金髪っぽいけどくすんでいる感じ。オルサンクは色んな人種が揃っていたけど、どうやらアイゼンガルドは褐色肌の国のようだ。背は高い。二メートルぐらいはあるだろうか。百九十は確実に超えてる。しかも美形だ。全くけしからん。




