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第三百七十二話:フィナンシェ、それは銀行家

マフィンにしようと思ったけど、例の毒マフィン事件があったから変えました。

「やぁやぁよく来てくれたね、プリンの君!」


 なんだかにこやかに迎えられたんだが。ちなみにこんな事を言ってるのは金髪が眩しい美青年。多分王子かなんかだろう。


「お久しぶりです、フェルド王太子殿下」

「おや、ラケシス嬢ではないですか。これは久しぶりだね。ええと、オズワルドが来ると聞いていたんだが?」

「申し訳ありません、色々とありまして」

「そうかい。残念だけどまた会う機会はあるだろうしね。再会は次の時までに取っておくよ」


 ラケシス様はさすがに知り合いの様子で、にこやかに話し掛けていた。どうやらティリス王国の王太子らしい。


「あなたがティリスの王太子でしたか。私は帝国皇女のアナスタシア・オルメ・V・ザスカーでございます」

「ティリス王国王太子、フェルド・V・ティリスだ。帝国はキレものと評判の皇太子殿下がお出ましだと思っていたのですが」

「兄は体調をクズしまして、代わりに私が派遣されましたわ」

「体調を崩した? その様な情報を私に伝えて大丈夫なのですか?」

「ええ、無論。一日も早い回復を望んでおりますのよ」

「そうですか。私からもお大事にとお伝えください」

「そうですね、国許に戻りましたら」


 笑いあってる。これが外交得意な人ってやつか。初対面でもちゃんと話せるってすごいなあ。ぼく? ぼくはゲーム画面見てるようなものだから。


「で、こちらのお嬢さんは?」

「あ、あの、その、わたっ、わたしっ、はっ」

「ご主人様、落ち着いてくれ。この方は我らが主、アユミ様だ。大森林に出来た国の国家元首である。そして私が参謀のアルタイルだ。不慣れだがよろしく頼む」


 オタオタしてる歩美さんの前に颯爽と出てアルタイルがフォローする。いやあまるでナイトだね。さすがアルタイル。かっこいいよ。ってぼくこの後に挨拶するの? ハードル高くない?


「なるほど、あなたが大森林のうちの一国か。そうだね。仲良くしてくれると助かるね。面白そうな人だし」

「ティリス王国は賛同にまわると?」

「二国ってのはかなり異例だけど、拒否する気は無いよ。アユミは可愛いし、もう一方はプリンの君だからね!」


 そのプリンの君ってのはやめて欲しいんだけどな。まあ話がぼくの方に移ったので自己紹介はしておかなければね。


「大森林に家を構える護だ。こちらはメイドのアイン。こちらも若輩者だがよろしく頼む」

「どう見ても私より歳上に見えるがね。まあプリンの恩があるから賛成にはまわるよ。それよりも何か別のおやつある?」


 どうやらぼく=おやつみたいな方程式が来る前から出来ているみたい。どれだけだよ、って思ったら、プリンが毎日おやつに出るらしい。大丈夫かな、体重。


「アイン、何かあるかな?」

「そうですね、フィナンシェなどいかがでしょう?」


 プリンを卵黄で作って、余った卵白を活用してフィナンシェを作るんだそうな。


「フィナンシェ? それは美味しいのか?」

「あ、フィナンシェ、私、好き、です」

「え? 何? 新しいお菓子? ちょっと聞いてないんだけど?」

「私も聞いてませんわ! 婚約者の私に真っ先に教えてくださいませ!」


 なんかカオスになって来た。まあ歩美さんは知ってるよな、フィナンシェ。取り寄せて食べたり、自分で作ったりしないのかな?


「ご主人様、直ぐに作ってまいります。卵黄のプリンとフィナンシェを」


 そう言うとアインは部屋から姿を消した。多分一時間くらい後で来るとは思うが、正直気まずい。何か話して時間を潰さないといけないだろう。


「あー、楽しみにしておくよ。ところで国の名称とか決めているのかな?」

「あ、そうですね。私たちはアニマランドにしようかと」


 おお、歩美さんのところはアニマルズがいるからアニマランドらしい。まあ本人が気に入ってるならいいんじゃないかな?


「護さんのところはどうかな?」

「そうですね。マイハウス国にしようかと」

「これはなかなか妙なネーミングだね。大森林に家でも作るつもりなのかな?」


 いや、大森林に家があるんだよなあ。というか大森林の中にある家はぼくの家しかないよ。歩美さんのところは大森林を切り開いてるみたいなところだからね。


「出来ました」


 そんな事を話していたらプリンとフィナンシェが人数分、プラス一個。


「アイン、ひとつ多くない?」

「……こういう時はひとつ多く作っておかないといけないと学習しました」


 いや、さすがにティリスの王太子がいる所まで出てくるはずが……


「いやー、このプリン、濃厚で滑らかで美味しいですね! このフィナンシェってやつもサクサクしててホロホロで美味しいです!」

「アヤさん!? なんでここに。ほら、帰ってください、ここに来るなんてダメですよ」

「いいじゃない、ねえラケシス?」

「……アヤ、ここは公式の場なのだから敬称はつけてくれない?」


 って、いつの間にかもう食べられてる? というかなんでアヤさんがここに居るの? 留守番じゃなかった?

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