第三百七十話:シーファイフ陥落!?
カワラザ〇のじいさま「その気になれば突破は簡単。樊〇がそう言わなかったかな?(言ってない)」
いまいちどうしていいのか分からない修羅場をラケシス様がぶった切って、会議の打ち合わせに入った。
「まず、今回の会議のゴールは歩美さんの所と護さんの所を国として認めてもらうのが一番です」
そうだよね。というかぼくや歩美さんのところを放置していると不安で仕方ないというのがラケシス様と帝国の一致した言い分らしい。
「その為にはまず、国家の三要素が揃っている事を証明しないといけません」
おっ、国家の三要素なら知ってるぞ。確か、人民、領域、権力だよね。国を運営する為の大事な三つの要素だ。
「ご存知ないかもしれませんが、国が認められるには血統、領域、防衛力の三つが必要です」
……あれ? ぼくの知ってるのと違う!? 同じなの領域だけだよ??
「あの、国民とかは居なくてもいいの?」
「何を言ってるのか分かりませんが、国を興すならその人が最初の国民ではありませんか。なので後は血統だけですよ」
意味がわからない。血統というのは何なんだ? 参加国といざ尋常に、勝負!とかやればいいの? ってそっちの決闘じゃないか。血糖値は微妙に気になるけど、それも違うだろうし。
「この世界の国々は三つの国から別れてできているのです。それはザスカー帝国、ペレンノール古王国、重桜華皇国の三つです」
ザスカー帝国は分かる。あの皇帝陛下だもの。というかかなり大きい国だとは思ったけど歴史もあるのだな。
ペレンノール古王国はなんか聞いた事がある。確か、ゴンドール、ティリス、モルグル、ペレンノールの四つの王国に分かれたんだよな。ハンシン公国? あれは商業都市だったものが国になったものみたいだからなあ。その公爵については転生者疑惑もあるんだけど。
全く情報が入って来ないのは重桜華皇国だ。皇国の興廃この一戦にあり、という言葉があるように、大日本帝国の異称になってた言葉だ。もちろん、こっちの世界に天皇陛下が御座す訳でもない。いたらぼくなんか土下座してるよ。
で、ラケシス様から詳しく聞いてみた。重桜華皇国は今はもちろんない。桜国、華国、小王国群、北域、とまあこんな感じで分かれているらしい。で、小王国群の国々が皇国の正統性を主張して小競り合いしているんだそうな。でもどれも血統が認められてないから建国出来ないらしい。
「ええと、それだとぼくらも建国出来ないのでは?」
「まあ普通だとそう思うでしょうね。でも、これには抜け道があるのよ」
抜け道? こういう時はなんか嫌な予感がするんだけど。ほら、血統って事で姻族でもいいみたいな。ぼくはアーニャさんとの婚姻が無効になってないみたいなところがあるからそれで通すんだろう。でも歩美さんは? 誰とも結婚してないよね? まさか王国から誰か差し出すの?
「血統には先程の三国からの分岐の他に、迷い人の血統というものがあるの」
迷い人なのに血統?
「例えば不思議な文化を操ったり、見たこともない技術を披露したりする、異世界からの迷い込んだ者のことよ」
んんー? という事は地球から迷い込んできたぼくや歩美さんはそこに当てはまるってこと?
「そもそも、三王国とも、建国したのは転移者だという話があるくらいですから、不思議な力を持っていればそれだけで何とかなると思います」
あー、つまり、三王国どころじゃなく、その源流ってやつなのか、ぼくと歩美さんは。
「この際、お二人が転移者かどうかなんてどうでもいいのです。要するに説得力があればいいのですから。なので、無茶振りかもしれませんが、何か一芸あったらお願いします」
なんか無茶振りを丸投げされたよ!
「あー、まあ何とか出来ないこともありませんが。もっと早くに言って欲しかったんですけど」
「申し訳ありません。こちらも伝えるのを失念してまして」
多分ラケシス様はぼくらが転移者だというのは気付いているのだろう。でも、いきなりはぶち込めない。なぜなら、それがバレたら居なくなってしまう可能性もあると考えたんじゃないだろうか。
いやまあ実際はぼくは家があるし、歩美さんもダンジョンを展開してるから居なくなることはまず無いと思うんだけど。
「まあぼくの方は何とかなると思いますが、歩美さんの方はどうですか?」
「あの、ダンジョン化、すれば、何とか」
ダンジョン化ってこの土地を? いわゆる自由貿易都市を? ダンジョン化する? つまり、歩美さんの支配下に置くって事?
「歩美さん、それはちょっとどうかと思うよ?」
「ダメ、ですかね? あの、そこまで、難しく、ないん、ですけど」
難しくないの?! 詳しく聞いてみるとなんでも誰の所有にもなってない土地だから簡単に支配登録出来るんだって。それってゴンドール王国とか帝国にも出来るのかなって思ったら、そっちは所有者が確定してるらしい。この都市は何処の支配にもなってないから簡単なんだそうな。




