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第三百六十八話:王国と帝国の邂逅

出発時

「ぼくが王太子のオズワルドだ。よろしく頼むよ、レディ?(チュッ)」

「ひっ、いやあああああああああああああああ!」

「貴様、ご主人様に何を!」

「えっ? 何何? 何なの?」

 塔の廊下でラケシス様と出会った。どうやら今来たらしい。歩美さんはどうしたのかと聞いたら部屋でバテているらしい。そりゃあそうだよなあ。ここまで来るのは遠かっただろうし、歩美さんの能力だとダンジョンから離れてDPで物を取り出すのはできるのか分からない。できないと思った方がいいだろう。


「アヤさんはお部屋ですか?」

「あー、多分そうです。見てませんから」


 基本的にアヤさんは帝国の人間なのでぼくらとは別の部屋なのだ。その辺はラケシス様も承知の上らしい。まあ歩美さんたちとも別の部屋っぽそうだしなあ。


「ところでおしるこ持ってませんか?」


 いきなりなんでおしるこなのかよく分からないけど、取り出せないことは無いので一号店からお取り寄せしてあげる。


「ああ、これ、これなのです。旅の間の禁断症状は辛かった。やっと巡り会えたのですね!」


 禁断症状まで出てたの? やばくね? というかぼくのところの甘味処ではヤクの類は扱ってなかったのですが。


「む、護殿」


 その辺の部屋から出てきたのはアルタイル。こっちに来てたんだなあ。ぼくはアルタイルは留守番かと思ってたよ。


「あなたが来ていたのか。歩美さんはおつかれかな?」

「そうだな。長旅の疲れが出たものと思われる。何か疲労回復に食べさせてやりたいが」


 そう言いながらこちらをチラチラ見る。というかぼくではなくてアインを見ているみたい。まあ製作担当はアインだけど。


「ご主人様、いかが致しましょうか?」

「プリンでも出してあげて」

「かしこまりました」

「プリンですか!?」


 なんでラケシス様が反応するんだよ。その手に持ってるおしるこで十分では?


「甘いものは別腹です!」


 いや、おしるこも甘いよ? まあ仕方ないのでプリンをラケシス様に。


「なんか美味しそうな匂いがする」

「まあ確かに美味しそうですわ」


 アヤさんとアーニャさんまで来たよ。カオスかな?


「おや、そちらは帝国の代表の方ですか? 確か帝国は皇子が来られると聞いていたのですが」

「不出来な兄に代わり参りました、帝国皇女のアナスタシア・オルメ・V・ザスカーでございます」

「皇女殿下でいらっしゃいましたか。私は公爵令嬢のラケシス・V・ユーフェミアです。お見知りおきを」

「まあ、確か王太子殿下のご婚約者様、つまり未来の王妃になられる方ですのね」

「ええ、何も無ければ今のところそうなりますね」


 まあ世の中には決まった婚約を破棄する愚かな生き物が居たりするからなあ。それも真実の愛に目覚めたとか言って。真実の愛に目覚めるのは勝手だけど、それなら国を捨てて駆け落ちとかするくらいならまあ分からんでもないんだよなあ。


 え? ぼくとアーニャさんも婚約してる? いやいやいやいや、それはまた別の話だろ!


「あの、そう言えばゴンドール王国も王太子殿下が来られるんでは?」

「それが、殿下では歩美さんが震えてしまって同じ馬車に乗れなくなってしまいまして。急遽私が呼び出されたんです」


 あー、まあ、歩美さんの人見知りを知っていれば確かにそれは考えられる可能性だったな。しかし、それで大丈夫なのかね?


「殿下に喋らせる内容は全て私が考えたものですので問題ありません」


 女傑ってこういう人の事言うんだよなあ。


「アーニャ殿下、立ち話も何ですからラケシス様の所に遊びに行きませんか? ほら同盟国ですし」

「そうね。色々と打ち合わせをしておいた方がいいと思いますわ」


 そんなこんなで全員でラケシス様の方ではなくて歩美さんの所へ。ラケシス様のところだと文官やら護衛やらがうるさいらしい。


「ご主人様、プリンをお持ちしました」

「アルタイル、待ってたよ〜。早く、早く」

「あのご主人様、それに加えて来客なのですが」

「ええー? いやだよ。ラケシス様なら仕方ないけどそれ以外は会いたくないなあ」

「……護殿がいらっしゃいますが」

「えっ!?」

ダーリンが来たの?!」

「ユーリ、護さんに馴れ馴れしくないか?」

「大丈夫! 私とダーリンは赤い縄で結ばれてるんだから!」


 普通は赤い糸じゃないかな? 縄ってかなり丈夫そうなんだけど。


「護様、私という婚約者がありながら幼気いたいけな少女を毒牙にかけたのですか?」


 あーもうむちゃくちゃだよ。


「おもてになるんですね」

「いや、不可抗力で」

「大人の女性に相手にされないからと子どもに走るのはどうかと思いますけど」

「こっちが望んだことじゃないよ!」

「あの、私の従妹いとこはまだ十歳なんですけど、毒牙にかけたりは」

「しません!」


 ああ、これだから現実の女は嫌なんだ。いわれのない濡れ衣をかけてくる。ぼくはロリコン的なところはないことも無い。でもそれは二次元限定だ。三次元の女の子には優しくはしても性欲の対象には見られない。というか普通の女性でも怖いんだ。

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