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第三百五十七話:熊肉料理ってかなり臭いがキツいらしい。

熊カレー食べた時はそうでもなかったんですけどね。カレーだから? あと、地下街のやつはスマホ版をダウンロードしようと思ったら「そいつは偽物だ!」ってX(旧Twitter)で回ってきたので思いとどまりました。

 そのブランベアをお任せ下さい、とばかりにアインが料理を始める。家のキッチンでやるのかと思ったら、野外でかまどの設営始めていた。なんで?


「見張られている、と考えた方が良いかと思います」


 どうやらアインには見張られているとわかったらしい。なるほど。いくら帝国の皇子が連れて来たとはいえ、全くの初対面だもんな。


「御館様、岩陰に二人、森林の中に三人おります。始末いたしましょうか?」

「こっちに危害を加えるようならね。それまでは監視させといて」

「ちぇっ、御意」


 どうやら暴れたかったらしい。いや、アカネにはそこまで戦闘能力高くしてないぞ?


「主様、ズルくない? なんで帝国の人だけ建物の中なの?」

「まあ落ち着けアリス。どうせ家に帰って寝れば済むんだから良いじゃないか」

「でもなあ」

「姉様、お耳を」


 ボヤいてるアリスの耳に、料理が一段落したアインが何かを言ったようだ。アリスの顔がどんどんニヤけていく。


「そ、そう、だよね! うん、仕方ないよね。テントでも我慢しないと」

「いや、だから帰ってから寝れば」

「ダメだよ! ほら、テントの中に居ないといざという時に言い訳出来なくなるもん。ね?」

「それはまあそうだが」


 実際、山岳国の人間が見張ってるのだ。いつこっちの様子を見に来ても不思議では無い。


「ついでに、星が綺麗だから主様の本体がこっちに来たらいいと思うんだけど」

「いや、そっちは危ないだろ?」

「大丈夫だよ、私が守ってあげるから!」

「アリス? 目が怖いんだが?」

「ぐふふふふ、主様と一緒のテント、主様と一緒のテント〜」


 なんか舞い上がってるので釘をさしておこう。


「アリス、ぼくはそっちには行かないぞ?」

「ご主人様、まあ現地に着くまではそれで構わないと思いますが、現地に着いたらちゃんとこちらにお越しください」


 アインから思わぬ事を言われた。えっ? なんで?


「ご主人様、全ての主な国が来るのですから、当然聖国の人間も来るのですよ。もし、ボニファティウスさんが来られたらどうしますか?」


 教皇猊下。神気が見える特殊能力者みたいな人。確かに、一国の代表だし、来るかもしれないね。本来ならコラーボ辺りが来ることになってたんたろうけど。まあ代わりの人が来るかもしれないから本体で来る必要はあるのか。うーむ。


「ご主人様、いい加減に表に出ませんか。こう言ってはなんですが、この世界で表に出る事数度ですよ? さすがに籠りすぎでは?」


 ほっといて欲しい。別に外に出なくても何とかなる様な能力なんだし。どうせ女神に憐憫されるぐらいの存在だもんね。


「わかったわかった。まあ考えとくよ。今日はまだいいだろ?」

「はい、そうですね。そろそろお食事の用意が出来ましたのでお食事だけでもこちらで」

「はあ、わかったよ。ここにはお前らしかいないからな。【入城キャスリング】」

「あ、ご主人様、待って」


 アインがご飯を作ってくれたからぼくはご飯を食べるべく入れ替えた。当然、ぼくが入れ替わればついてくるやつがいるもので。


「わ、わ、わ、なんで、いきなり山の中なんだけど!?」


 手に持ってるのはペプ〇のコーラのペットボトル。ぼくはコ〇よりも好きだね。……〇カって言っちゃうと葉っぱみたいだよね。まああのコーラ会社の名前の元もそうらしいんだけど。


「フォルテ、ご飯だ」

「え? 家のは?」

「アインが帰れないからここでしか食べれんぞ」

「そっかあ。じゃあまあ食べて帰りますか」


 フォルテが面倒そうに言う。こいつはほっとくと延々と漫画読んだりゲームしたりしてるからな。今何やってるのか聞いたら地下街の出口がどうとか言ってた。よく分からん。なんでも目標は十五分切ることとか言ってたからなにかのタイムアタックなんだろう。


「主様、主様、主様〜」


 アリスがくっついてくる。引き剥がそうかと思ったけど、いつもはアリスがお姉ちゃんとしてみんなをまとめて……まとめて? いや、あまりまとめてないかも。どっちかと言うと妹たちがしっかりしてるだけだな。でもまあアリスの不満も溜まってるみたいだから撫でといてやろう。


「主様、私にしますか、私にしますか、それともわ、た、し?」

「アリスしかいないのか? とりあえずお腹空いたからアインの料理が食べたい」

「がーん!」


 がーんとか自分で言ってる割には楽しそうだ。アインは料理を持ってくる。ぼくの知ってる熊肉料理は父の知り合いが北海道に行った時にお土産でくれた熊カレーくらいだ。その時に初めて熊って食えるんだって思ったよ。


「熊鍋とフライ、それから丼です」


 鍋にはゴボウ、里芋、大根の根菜に豆腐が入ってる。味付けは味噌だ。どうやら合わせ味噌らしい。フライはタルタルソースがついている。アスカがいたら全部舐め取られてたな。丼は牛丼の肉が熊肉なやつ。どれも美味しそうである。


 ふと気付くと周りの気配が増えていた。いや、ぼくが気付いた訳じゃなくて、アカネに耳打ちで教えてもらったんだけど。

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