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第三百五十話:歩美さんの孤児院大作戦(救出)

アルタイル、ごめんよ(笑)

 カンテラたちの孤児院はやや経営的には苦しかったものの、庭に畑を作ったりして、自給自足でやってきた。そのうちに補助金の額が減らされ、最終的に別の貴族に買い取られたそうだ。


「あのブタ野郎が来た時、オレたちを値踏みしてやがった。特に女どもは念入りに」


「聞いてるだけで涙が出てきました」とは歩美さんの談である。アニマルズたちも拳を握ったそうだ。


 で、ブタ野郎貴族(仮称)は孤児院の外装だけ整えて、めぼしい女を連れて行き、残りは放置したんだと。お金も与えず、管理する人も居ない孤児院はあっという間に今の状態になった。


 それからもブタ野郎貴族の部下たちが偶に来ては子どもたちに殴る蹴るしたりしたそうだ。もう貴族としては子どもが死のうが生きていようがどちらでも良かったんだろう。子どもたちは逃げようとしたが、ブタ野郎貴族の館に囚われてる女の子たちを人質にとられてる。売ったりしたんじゃなくて、ブタ野郎貴族が個人的に楽しんでるんだそうな。


 全く、イエスロリコン、ノータッチって言葉を知らんのか。まあ知らんよなあ。あ、ぼくは紳士だよ。誰だ、変態という名の紳士だろって言ってんのは! 露出癖なんかないんだからな!


 それで、歩美さんは直ぐに動いた。子どもたちを助けたあとはセイバートゥースに命じて屋敷に助けに行かせたんだと。で、残りの布陣は見境なく暴れそうなレッドメットを孤児院の留守番に、後はアルタイルを後詰に、エイクスュルニル、ピーター君と歩美さん、下水キッズで子どもたちの世話。……それにしては歩美さんもピーター君もコタツでみかん食べてなかった?


「じゃあセイバートゥースが今そのブタ野郎貴族(仮称)のところに殴り込みに行ってるの?」

「はい、多分、一人で、大丈夫、だし」


 いやまあ確かにセイバートゥースなら一人で大丈夫だろうよ。朝までに帰って来なかったらアルタイルが応援に行くんだそうな。まあ鳥目だから朝まで待った方が良いよね。


 そうこうしてるとルクス君とミモザちゃんがお風呂からあがってきた。食事に行くんだと。ユーリもいるというからぼくらも一緒に行く。


「あっ、ルクスとミモザ!」

「ほんとだ! 良かった、お姉ちゃんに保護されたんだな」

「おおい、みんな、無事で良かった!」


 孤児院の子どもたちと感動の再会である。


「ちゃんとミモザを逃がせて良かったよ。お前らだけが心配だったんだ」

「皆が逃がしてくれたから何とかなったよ。この人に助けてもらったんだ」


 ルクス君がぼくを紹介してくれる。いやいや、別にいいんだよ。子どもだからまあそこまで苦手でもないし。こんな時はどんな顔すればいいと思う? 笑えばいいと思うよ。くらむぼんはかぷかぷ笑うんだよな。なんだよ、かぷかぷって。


「あ、ダーリン! 私に会いに来てくれたの?」


 ぼくの姿を認めるとユーリが猛ダッシュで飛び込んでくる。後ろには他の下水キッズのメンバーがいた。


「護、さん、その、お久しぶりです。オレらはちゃんと暮らせてます」


 キリエがおずおずと歩み寄って来て、そんな事を言った。着てるのはブラウスにホットパンツ。最近はだいぶ太ももに肉がついてきたようだ。うむ。このまま育って欲しい。


「主様?」


 アリスがジト目でこっちを見てる。アリスの足は別に太くしてないんだよなあ。だって、太かったら相手の防御に当たる範囲が広がってしまうから。すり抜けるように攻撃は叩き込まなきゃ。


「あなたがたも来ていたのだな」


 エイクスュルニルが最後に寝ている子を抱っこして連れて来た。はしゃぎ疲れたのだろう。まああの孤児院からこの天国のような場所に来たらそれはそうもなるだろう。


「エイクス、この子たちはどうなるんですか?」

「ご主人様はキリエたちの様に働かせると仰っていたのだよ。まあジムはともかくスパやホテルの方は人を増やしたいのでね」


 まあ働き口とご飯が食べれてお風呂に入れて眠れる場所があればこの子たちは大丈夫だろう。一部の子たちが畑仕事がしたいと言ってたらしく、それ用の階層を追加するとの事。この辺便利だよね、拡張とか出来て。


 ぼくの家の方は拡張とか出来なくても庭の範囲は広がるからね。畑が広がってるからゴーレムの数は少しづつ増やしてる。放っておいても育ってはくれるけど、手を掛けた方が美味しいし、収穫はどの道しないといけないからね。あ、小豆とサトウキビは全自動で収穫から精製まで出来るようにアミタが作ってくれた。


 そうこうしてたらセイバートゥースが女の子たちを連れて帰ってきた様だ。歩美さんがこっちに駆け寄ってくる。いや、歩いてるのとあんまりスピード変わらないような気がする。


「護さん、力を貸してください!」


 切羽詰まった顔で言われたらぼくも聞かざるを得ないよ。出来ることなら協力しましょう、

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