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第三十五話:王国好戦派

生産系技能って沢山あるよね。

 アスカが加わって狩猟の効率が上がった。獲物を複数体持ち帰る事が出来るようになったのだ。そして移動時間も短縮されたので更に遠くの狩場に行けるようになった。


 という事は収入が増える訳だ。ネットスーパーで色んなものを買って更に五体目も作れるかなとか考えてた訳だ。


 ところが稼いだ端からアミタが素材を取っていく。いや、クラフトの為に自由に素材は使っていいと言ったんだけどさ。


 MG(マスターグレード)のプラモを作り終えたらアミタに光が集まって、赤髪、ポニテ、巨乳のメガネっ娘が作成された。やはり巨乳なのはぼくの趣味が反映されてる? いや、それを言ったらアインの胸は慎ましやか……台所から殺気が飛んできたぞ?


 それからアミタには技能として鍛治、手芸、木工、陶芸、建築、農業、機械、彫金、服飾とクラフト系技能が生えまくった。これはさすがにやり過ぎでは? と思ったが、フォルテが「とりあえず基本となる技能だけ与えて後は頑張って伸ばして貰うのよ」って。つまり熟練度が必要という事。


 となるとなんでも作らないといけない。作るレシピは技能があれば頭の中に浮かぶんだそうな。これはパペットの機能らしい。よく考えたらアインが教えたことの無い、ぼくも作り方を知らない料理をしてるのを不思議に思っていたがそういう事なんだと納得。


 で、結果として取ってきた素材を片っ端から使ってアミタの熟練度の為に日々使ってるという事なんです。あ、時々工具とか買ってあげたりしてます。割とすぐダメになるので。やはり魔獣の加工は難易度が高いらしい。え? NC旋盤が欲しい? ダメならマシニングセンタでも良い? 何を言ってるのか分からんし、必要無さそうだから保留ね。


 そんなこんなにでカツカツになりながらも平和に暮らしておりました。時々アヤさんや嵐の運び手のみんなが来るくらいで。アヤさん、お昼前に来てご飯食べて帰るんだよなあ。何しに来るんだか。


 嵐の運び手のみんなは近くで狩猟とか薬草採取とかしてその休憩に立ち寄るんだそうな。いや、それってこの家があるからこの近くで狩猟とか採取とかしてんじゃない?


 今日もそんな日の事だった。嵐の運び手のみんなが家に入って来た時にはアヤさんが二回目のおかわりをしている時だった。ぼく? ぼくは部屋から出ませんよ?


「今日も居るのか。こりゃまずいな」

「いいえ、今日のオムライスは最高に美味しいですよ!」

「料理の味の事じゃねえよ!」

「何かあったのですか?」


 アインが不思議そうに聞く。リックはアインを連れて別の部屋へ。なんだ? ナンパでもしてんのか? いや、エルが何にも言わないから色っぽい話じゃなさそうだ。


「実は……王国上層部にここの事が伝わったらしくて」

「前からでは?」


 そう、領主の息子が来たからてっきり王国上層部に伝わってると思ってたんだが、領主の落ち度だからか、領主の領内の事だからか王国には報告してなかったそう。白金貨五枚には口止め料も入っていたとか。


「そんな事言ってませんでしたよね?」

「すみません。ここの主は人と関わらないと言われていたもので」

「……なるほど。まあ間違ってないですね」


 いや、それ言ったのお前だろうが、アイン!


「それで上層部に伝わったらどうなると?」

「帝国侵攻の為の手伝いをしろと言ってくると思う」


 あれ? 王国は事勿れ主義だって話出てなかったっけ?


「だいたいの王国貴族はそうなんですが、どこにでも好戦(タカ)派というのは居るんですよ」


 つまり、王国の戦争推進派とも言うべき奴らがここに押し寄せてくると?


「まあまずは使者でしょうがね。戦争推進派とかに限って彼我の戦力差を分かってないんですよね」


 やれやれとリックが肩をすくめる。んん? もしかして、リックは貴族出身か何か?


「そんな奴らが来たらアリスとアスカがお相手するでしょう」

「アリスさんは分かりますがアスカとは?」


 あー、これだけここに来ててアスカと顔を合わせてないのか。まあアスカはアリスと狩猟に行くから嵐の運び手とは会わないのね。それ言ったら工房(に改造された仏間)から出てこないアミタも会ってない訳だけど。


「まだ顔を合わせていませんでしたか。私の妹です」

「アインさんの妹……なんというか苛烈そ、いえ、美人そうですね」


 美人は美人だよ? だってパペットだもん。ぼくの美意識が反映されてるんだから。え? 巨乳? なんの事やら。


「もう一人アミタという者も居ますよ。そうですね。そろそろ食事も摂ってもらわないといけませんからね。ちょっと呼んできましょう」


「こんちゃー。うちがアミタです。よろしゅう」

「おお」

「デカい」


 男性陣がその大きな双房に釘付けになっていた。


「なんや、そない見られたら恥ずかしいわあ」

「ちょっとトム!」

「……リック?」


 わざとらしくほっぺに手を当てて身体をくねらせているアミタの横でリンは顔を真っ赤にして怒り、エルは冷ややかな目でリックを見た。いやあ、人それぞれなんだなあ。

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