第三十三話:多分私は三体目だから
二体作る(作るとは言ってない)
皇帝は家を出る時にはベロンベロンに酔っ払っていた。三人がかりで担ごうとしていたので担架を出してあげた。これなら運びやすいでしょ?
ついでにヒルダさんから食事代にと金貨の袋を渡された。ずっしりと重い袋に金貨が詰まってる。底上げとかじゃないよね?
この金貨とアリスの狩ってきた獲物の素材を売却してパペットを二体作れる事になりました。二体ですよ、二体!
一体は前から言っていた魔法戦特化の兵隊。作る時に色々と魔法使いオプションみたいなので属性付与とか色々つけないといけないから少し高くついた。
「よし、パペット作成、魔法戦タイプに予め設定! スキル付与、魔法操作、詠唱短縮、火属性、風属性、水属性、土属性」
「全テ完了シマシタ」
よし、起動だ! こいつの名前何にしよう? やはり強い魔法使いの名前とかがいいな。となると○ーリンとか○ンダルフとかルフィー○とか?
「おはようございます、ご主人様。アスカ、目覚めました」
あれ? なんでもう名前付いてんの?
「ご主人様の頭の中にあるデータベースから魔法使いの情報を探して一番最初に目に付いたものを」
せめてぼくが名付けたかったなあ。しかし、魔法使いでアスカってそれってどういう終末感……
「まあ、名前はそこまで拘ってないから構わないけど。よろしくね、アスカ」
「よろしくお願いします。ご主人様」
さて、それなら先ずは性能チェックだ。家の前でやると畑が危ないな。よし、じゃあ少し離れたところで。解体場が広くていいって? いつの間にそんな場所作ったの?
ちなみに解体場もカメラを移動できる範囲だった。まあいつもは見る必要ないところだからなあ。だって解体場って事は血とか内臓とかでいっぱいなんやろ?
「始めていいよ」
ぼくの合図でアスカは魔法を放つ。火炎球、風刃、水膜、土転びなど。まあ、土転びに関しては少し土が盛り上がっただけだけど。
「どうですかご主人様」
「いいね。ところでどれくらいの魔法が使えるの?」
「だいたい一属性十個程ですので」
「ああ、じゃあ全部で四十……」
「六十程でしょうか?」
は? 属性四つしか付けてないよ?
「えっ? でも使えますよ?」
一体どういう事?
「詠唱短縮ヲツケタ事デ時空属性ガ発現シマシタ。ソレト無属性ハ魔法ガ使エレバ誰デモ使エマス」
時空属性に無属性とは……麒麟とか殺さなくても大丈夫なのね。
「時空収納がありますし、転移門もありますから沢山持って帰れますよ」
「あー、うん。今まではアリスが一体狩ってそれで終わりだったもんね」
「そんな!? 私、役立たずですか?」
ガーンという効果音が見えるほどに落ち込むアリス。見た目はマッチョなのに心が乙女だからなあ。
「アリス、君が前で頑張ってくれるからアスカも魔法を撃てるんだ。頼りにしてるよ」
「そうです、お姉様。一緒にご主人様のために頑張りましょう」
「ご主人様、アスカちゃん、ありがとう」
しかし、このままだと見映えがアレだよなあ。そのうちアリスの肉体を改造してやらないとぼくの認識能力がどうにかなってしまう。何とかならないもんか。今更廃棄とかもやだしなあ。
これがソシャゲとかならリセットしてやり直すけどそういうわけにもいかないよね。ただ、現状のパペットマスターにそういう機能は備わってない。今後に期待なのか「そんなものは無い(CV:関羽)」なのか。
まあ今はハリガネ状態のアスカに「肉付け」してあげないとね。いや、本当に文字通り。魔法使いと言えば巨乳。異論は認める。有名な魔法使いのドラまたさんはナインペターンだもんね。身長は小さい方がいいかな。ほら、リーチとか関係ないし、小さな方が相手の攻撃当たりにくいし。決してぼくがロリ巨乳が好きとかそういうのじゃないから!
ちなみにこの「肉付け」もパペット一体分くらいのコストがかかるらしい。つまり既にパペット二体分以上をアスカに突っ込んでる訳だ。いくらでも課金出来そうで怖い。
という事で出来上がったのが銀髪の低身長で巨乳な魔法使い。魔法使いと言われると銀髪にしてしまう。いや、何となくね。はいかイエスで答えませんよ。
「ご主人様、それではアリスお姉様と一緒に狩りに行ってきます」
肉付けした身体にも慣れたのか率先して狩りに行くと言う。アリスもまあお姉様と呼ばれるのは満更でもない様子。うん、早くなんとかしてやりたい。
一応ハリガネで良ければ四体目も作れるんだけどどんな形態にするか決めてないからなあ。今後の事を考えるとクラフト系か隠密系になるんかな?




