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第三十二話:宴も酣(たけなわ)

タイトル変換しようとしたら「縁もたけなわ」みたいなのしか出なくてこの辞書大丈夫か?って思った。

 それから盃を空けるという名の単なる酒飲みの宴会が始まった。皇帝はサーロインステーキを食べながら赤ワインを飲み干してる。なんとまあ健啖家ですこと。


 アヤさんが鯛のちり鍋を幸せそうな顔でつついていた。白ワインも順調に減っていた。んで、ヒルダさんは最初エビフライ食べながらロゼワイン飲んでたんだけど、何を思ったのか板チョコを出してそれをつまみに飲み出した。いやまあロゼワインは甘いものにも合うんだけどさ。


 アインもアリスもアルコールを口にしない。いや、飲んでもいいんだけど何かあった時のためにと控えてるらしい。立ったままというのもあれなのでアインには大量に唐揚げを作らせる。ちょうど冷凍食品のがあるからそれで外の皆さんに食べてもらおう。


 皿に入れすぎてアインだとバランス崩しそうなので運ぶのはアリスにやってもらった。アリスはぼくの護衛が居なくなることに渋ったが、本体は部屋だからね。なんか皇帝が動けばそれなりの事をすると思うけど……そんな気配は無さそうだし。


 というかアリスがヒルダさんの愚痴を聞きながらもたれかかられてるのでちょっと可哀想だったのもある。代わりに大きなクマのぬいぐるみを……ん? なんかアヤさんの目がキランと光ったぞ?


「良いもん持ってますねえ。私には無いんですか?」

「ここから持って帰れませんよ?」

「邸内限定でいいので是非!」


 仕方ないからもう一体出してやる。結構高いんだぞ?


「いい酒に美味い飯。ここはまるで天国だな!」

「その天国に踏み込んできたのがあんたらだよ」

「そうだろうな。だがズルいぞ。我とお主の仲ではないか」

「今日初めて会ったばかりなんだが」

「もう盃を酌み交わしたらソウルフレンドだ。なあ?」


 まあ大国の主なら対等な人物が国内にいないし、国外にも数える程しかいないのだろう。しかしソウルフレンドのハードル低くないか? あ、いや、もしかしたらいつもは毒味役とか居て温かい食事とか食べてなかったとか?


「のう、貴様、何者だ?」

「何者、とは?」

「いきなりこの秘境に現れてこんな家を建て、武力まで持っとる。なかなかに稀有な存在では無いか」

「いや、普通に住む場所を決めただけだ」

「お主は知らんのか? ここは前はもっと獣や魔獣の巣窟でな、人間が入り込むなど不可能な場所だった」

「は? でもあんたらは来てるじゃないか?」「お主の家が出来てからこの森の獣や魔獣がガクンと減ったのだ。それで我らも入る事ができるようになった」


 えーと。それはどういう事? 教えてフォルテちゃん!


「説明しよう!」


 タイムボ○ンかな?


「ここの森の魔獣や獣をアリスさんが駆除して回ってたからかと」

「……あー」

「後はヘルグリズリーとかロボーたちとかオークたちとか……」

「つまり、ぼくらが暴れ回った結果?」

「そういう事になりますね」


 いや、ぼくは暴れてないよ? うん、指示は出したけど。それにしてもアリス、頑張ってたんだなあ。


「倒したやつは家の収納に入ってるらしいですよ?」

「家の収納……そういや最近ご飯作るのアインだもんな。ぼくは殆ど確認してないや。あれ? てことは素材売ったらもう一体くらい普通に作れたのでは?」

「アインとアリスが護さんに報告しなかったんでしょう。ハーレム(笑)が増えなくて残念でしたね」


 ハーレムってアリスとアイン、それからフォルテ? いやいや、せめてアヤさんくらいの美人とかが良いよ! いや、アインは美人だけど。アリスはそのうち素体改修するのが良いのかなあ?


「まあ、平和になるなら良かったのでは?」

「逆だ。ここは一種の緩衝地帯でな。ここが攻略可能になるということは軍事的に優位に立てるという事なのだ」


 あー、つまり行軍ルートな訳ですね。ん? 待てよ? て事はここの重要度は王国も同じでは? 領主の息子とかいう微妙な奴じゃなくて王国から人が来るのでは?


「王国の首脳部は弱腰だからな。まあ緩衝地帯があって助かったとしか思わんだろう」

「つまり、全面的にあんたが悪いんじゃないか」

「帝国の皇帝たるもの、版図を拡げるのは当然の責務。武力でなければ搦手でも構わんのだが……そうだ、我の娘とか要らんか?」

「娘を押し付けようとするな! ……ちなみにどんな子?」

「ふむ、大声でよく主張するが皆に愛されている可愛い娘だ」


 大声で主張するの? それはちょっと苦手だなあ。


「その、主張ってのは?」

「お腹空いたとかオムツ替えてとか眠いとからしいぞ」

「赤ん坊じゃないか!」

「第二十六夫人の子どもでな」

「どんだけ奥さん居るんだよ……」

「うむ。まあ三十から先は数えておらんな」

「国が傾くぞ?」

「心配は要らん。妻たちには仕事もさせておるからな」

「て事はヒルダさんやアヤさんも奥さんだったりする?」

「いや、あ奴らは数少ない未婚女性でな。世話になった恩人の忘れ形見なので面倒をみておる」


 色々あるんだなあ。

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