第三百十三話:面接、面接そのなーな
面接ラッシュ、ここでラストにします。いい加減話進めたい。
「それじゃあ次の人を……ユーリ?」
「ふん!」
なんかユーリがへそを曲げてしまった。まあなんでかは分からないけど今後は無しでやるしかないか。元々そんなに頼るのも良くなかったしな。
「仕方ない。じゃあアリス、次の」
「ダメ! ボクが連れて来るの!」
アリスに頼もうとしたらそのままユーリが行ってくれた。アリスは「主様から頼まれるはずだったのに」とかブツブツ言ってた。ボディガードだろ、お前の仕事。秘書やらせるだけならアインかアンヌに頼むよ。
「ごめんやっしゃー」
なんだか関西弁チックの女の子が入って来た。
「うち、トーネ言います。よろしゅう!」
アミタの口調もこんな感じだが実在したとは思わなかった。こっちの世界でここまで訛りの強い人に会ったことなかったもんなあ。あ、ちなみに実家は関西圏の方に近い西日本だからワタシ、関西弁、スコシワカル。
「ああ、よろしく。ではあなたの事を聞かせてください」
「ええで。うちはな、ハンシン公国から来たんや」
ええと、ハンシン公国? そんな国があるの? もしかして道頓堀とかあったりする? 出来たらぼくはチューニチとかの方がいいんだけど。あ、でも親会社や監督は最低のクズだからあったら困るかな。
「せや、商人の国、ハンシン公国や!」
「ラケシス様、ご存知ですか?」
「もちろん知っているわ。元は商業都市ナニワだったのが代表が公爵に任命されてその都市の自治権と独立を勝ち取ったので公国に改名したそうよ」
どうやら国に歴史あり、らしい。ちなみにどこの公爵かというと、既に元となった国は滅んでるそうな。その跡地にゴンドール、ティリス、モルグル、ペレンノールという四つの王国が出来たそうな。この国、ゴンドールと隣国のティリスは分かるんだけどな。帝国に行けばもっと分かるのかもしれない。
しかしナニワといい、ハンシンといい、絶対転生者とか転移者とか絡んでるだろ、これ? で、トーネなんだが、顔はまあ可愛い方だと思う。美人!とかではなくて愛嬌のある好かれそうな顔だ。人懐っこそう。どっかの軽音部のドラマーみたいな感じだ。あれは関西弁じゃないけど。
「なあなあ、話続けてもええか?」
「ど、どうぞ」
色々考えてたら続きを話された。で、話の内容的には一人前の商人になってやる、と息巻いてハンシン公国を飛び出したものの、路銀は尽き、バテバテになってたところにこの募集を見つけたんだそうな。
「なぁ、頼むわ。住むところもないんや。ほら、野良猫拾うみたいなノリでうちも拾うてくれへん?」
まあぼくは野良猫とか拾わないタイプなんだけど。なんでかっていうと自分の世話も出来ないのに生き物なんか飼えないからだよ! ぼく一人が餓死するのは自業自得だと諦めもつくけど、それに拾い猫や拾い犬を付き合わせるのはしのびない。
「ユーリ?」
「この人、おっぱい大きいから失格にしましょう」
「いや、そうじゃなくて」
「いくら護が巨乳に興味なくても、巨乳に囲まれてたら絶対好きになっちゃうじゃないか! ボクが大きくなったらそれでもいいけどさ。そこまで待っててくれる?」
そういう事が聞きたいんじゃなくて悪意の方を聞きたいんだけど……
「むう、ええとね、この人悪意というか邪魔してやろうって気は無いよ。あと、お店乗っ取りとかも考えてないし、護への色仕掛けとかも考えてない。ただ、商売や作り方のノウハウは知りたいみたい」
まあ、商人の国から来たんならそういうのもやむなしだと思うのでそれはいいだろう。ぼくや他の従業員に対する悪意がないならそれでいいのだ。
「どないやろ?」
「そうだね、よし、合格でいいよ。住むところはこちらで用意するから」
「ホンマか? おおきに! なんや嬉しいわあ。チューしたろか?」
「ダメ! ダメダメダメダメダメー!」
「あはは、冗談やって、社長、モテモテやなあ。うらやましゅうて後ろから刺されんように気いつけやー」
トーネは一通り笑うとそのまま去っていった。こんな感じで残り何人もの人数を雇った。とりあえず交代で本店に置いて研修してもらう。んで、ある程度形になったら二号店三号店の出店準備だ。
「全部で二十人ほどですか。三号店まで賄えますね」
「はい、まあ良さげな人が入ってくれて良かったです」
「当たり前です。こんないい条件提示されてるんですから」
え? まだ条件いいの? そりゃ前に居た人たちはあげすぎって意見あったので少し減らしたんだけど。
「だって働き始めてから直ぐに給与あるし、しかも住む所まで用意してるとか神ですかね? 正直、この様なお店なら誰でも働きたくなるに決まってます」
ラケシス様に指摘されてしまった。そんなには高額にしてないと思うんだけどなあ。さて、次は冒険者ギルドだな。




