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第二百九十六話:断罪の刃は等しく煌めく

主人公にも断罪の刃が!(笑)

 しかし、なんでそんなものをわざわざぼくの部屋から持ってこなくちゃいけなかったんだ? ぼくのお宝とも言える本を。いや、別に「誘って隣の若奥様」とか「LOli」なら良かったとかそういうのじゃないけど。


「この世界で不思議なものは学園都市にて研究されると聞きました。それで研究が終わった品は払い下げされると。ラルフ氏はそういったものを仕入れに行かれたそうです。もっとも、荷物の大半は燃えてしまっていますが」


 つまり、本来ならラルフさんが学園都市で買ってきたものを証拠品として出すつもりだったのが燃えて残ってなかったから細工したってこと?


その通りでございます(イグザクトリィ)


 いや、なんでそこでそのネタ? まあいいや。ともかく言い逃れが出来ない様にする為なんだね。……返ってくるかな?


「皇帝陛下! その様なもの、私は見た事もありません!」

「ええい、では何故この様なものが貴様の屋敷にあるのだ?」

「い、陰謀でございます。これは間違いなく誰かの陰謀で……そう! そこにいる護とかいうやつの陰謀で」

「ほほう、マモォールよ、エロジィはこのように申しておるがどうかな?」


 ぐっ、それはぼくのものです!って大声で叫びたい。他のエロ本なら五冊くらいまでなら持っていってもいいから、それだけは返して欲しい。でも、そんなことを言う訳にはいかない。


「そのような物はぼくには心当たりがありませんね」

「貴様、どこまでこの私をハメれば!」

「見苦しいぞ、エロジィよ!」


 皇帝陛下がエロジィを一喝する。ビクンとなるエロジィ。いや、男の、それも爺さんと呼べるくらいの年齢がビクンとしてもエロくもなんともないんだよなあ。せめてヒルダさん……いえ、なんでもないです。なんか視線が冷たかったよ!


「詳しい取調べは拷問官に任せる。余罪を追及してくれる」

「ひっ、そ、そんな!?」

「連れて行け!」


 兵士に引っ立てられるエロジィ。皇帝陛下はぼくの方を見て微笑んだ。


「のう、マモォールよ。この書物はどうすれば良いと思うかの?」

「……元の持ち主であるラルフ氏に返却するべきかと」

「なるほどのう。だが、もう少し詳しくこの本を調べねばならんと思わんか? ほれ、あのエロジィが何やら暗号文を隠しておるかもしれぬし」


 なんだかんだ言ってるけど、それ、中身が気になってるだけだよなあ? まあ二次元のマンガだから文字読めなくても絵はついてるから理解できないこともないと思うんだよ。理解力なんて単なる目安だ。あとは妄想で補えばいい。


「皇帝陛下?」

「ヒ、ヒルダ?」

「そちらの精査は私がやっておきましょう」

「し、しかしだな、こういうのは皇帝自ら」

「い・い・で・す・ね!?」

「ふひぃ!?」


 ヒルダさんがすっと本を取り上げて引っ込んで行った。ぼく知ってるよ! あれはきっとそのまま部屋に持って帰って「ハレンチな、ハレンチな」なんて言いながら自分を慰め……ん? あ、ヒルダさんがなにか言いたそうにこっちを見ている。


 ち、ち、ち、違うんです! ちょっとした出来心でして。その、ヒルダさんに劣情を催したとかそういうのでは……


 ヒルダさんはそのままぼくに一瞥をくれて本当に引っ込んだ。ふう、危ないところだった。アリスがジト目でこっちを見ている。いや、そういえばなんでアリスはぼくの本の隠し場所なんかわかったのか、しかも一番使用率高いのを選んだのは何故なのか謎は深まるばかりだ。


「こほん、時にマモォールよ。裁きはこれで終わりになるが」

「え? いや、その、まだミンチナとかアビニアなんて言う女どもの裁判が」

「そちらは貴族でもなんでもなかろう。そういうのは審判院での一般裁判だな」


 なるほど。エロジィは曲がりなりにも貴族だったから審判院では裁けないだろうと皇帝陛下が出張って来たんだね。というか皇帝陛下だけに裁判任せるのちょっと不安だったんだけど。


 それからエロジィが貴族の位を取り上げられて平民落ちしたとヒルダさんから聞いた。盗賊との関係は不明だが、品物が出たとの事で全くの無関係でもあるまいと男爵からランクダウンされたんだそうな。


 まあ男爵の下には準男爵や騎士爵があるんだけど、準男爵は一代限りの名誉貴族的なもので功労が無いと任命されないらしい。また、騎士爵は騎士の任に着いた人が特別に授与されるもので、騎士としての実績が必要なんだと。どちらもエロジィには適用されず、平民になったんだそうな。


 でも、エロジィって商売してたとか聞いたけど、そっちの財産は取り上げなくて良いのかな? またなんかやらかしそうな気がするよ。


 そして日付は変わって審判院。本日はここでミンチナとアビニアの裁判が行われるという事で、セーラさんやラルフさんを連れて出廷する事になった。ラルフさんはまだ体調が優れないということでアンヌが付き添いになったのだ。ぼくらは傍聴席に座る。

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