表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
295/400

第二百九十五話:隠し場所がベッドの下というのは鉄板ですよね

あ、作者は勉強机の鍵のかかる引き出しに入れておりました。

 皇帝陛下と晶龍はヒルダさんに正座させられていた。いやもうヒルダさんが皇帝で良くない?


「くそう、なんでオレサマがこんな」

「我は悪くないのだが」

「黙らっしゃい!」

「はいい」


 小一時間ほど説教された後に、晶龍は蜃さんに大人しく黙っているように言われていた。もし口を開いたら青龍様に報告しないといけないって。これで多少は大人しくなってくれるだろうか。


 皇帝陛下はヒルダさんに痺れた足をつつかれながら帝座に戻った。まあ今からエロジィ男爵の取り調べが始まるからね。皇帝陛下が地べたで正座してたらしまらないもんね。


「ではエロジィをここに」


 ごごご、と音がして扉が開き、衛兵たちに連れられたエロジィ男爵が案内されてきた。


「これはこれは陛下。お恥ずかしいところを見せてしまっておりますなあ」

「エロジィよ、貴様には誘拐の嫌疑がかかっているのだが?」

「とんでもございません、陛下。誘拐だなんて大それたことなどとてもとても」

「では、貴様の地下部屋から出て来た娘たちはどうしたのだ?」


 エロジィはもみ手しながら答える。やはりこういう時の受け答えは予測済みなのだろう。


「とんでもございません! 彼女たちは私どものところの従業員でございます。その様な真似などとてもとても」


 いやらしい奴ではあるがこれには抗弁できない。ここは帝国だからなあ。帝国には帝国の法がある。ぼくらはそれに従うまでさ。


「ところで、こちらのセーラという娘からお前に攫われたという訴えが出ておるのだが」

「陛下、お戯れを。庶民の言うことなど聞くなどお耳が穢れますぞ。私はその娘の父親に頼まれたのですよ。何とか一人前にしてやって欲しいとなあ」

「なるほどのう、父親が納得しておるのか」


 とか何とか言ってるとまた扉が開いた。そしてそこにはラルフさんが。あの、もう起き上がって大丈夫なんですか?


「私はそのようなこと、しておりませんな!」

「なっ、なんで貴様がここに!」


 エロジィは驚いた。いやぼくも驚いたよ。家の中なら歩いてもいいけどまだ出歩けなかったと思うんだよ。まあアンヌが一時的に何とかしたのかもしれない。


「盗賊を使っての私への襲撃、最早言い逃れは出来ますまい!」

「くっ、でたらめを言うな!」


 まあこんなところで口だけで断罪するとかそんな事出来ないよね。


「ほほう、ではエロジィ、その様な事実は無いと?」

「もちろんです! とんだ濡れ衣でございます!」


 憤慨したようにエロジィは答える。皇帝陛下はそうであろうそうであろうとうんうん頷いていた。あれ? もしかして皇帝陛下はエロジィの方を信じる感じ?


「ではエロジィに掛かってる嫌疑はお主の成功を妬んだ嫌がらせ、ということか?」

「もちろんでございます! さすがのご慧眼、感服致しました」


 とことん皇帝陛下を持ち上げるエロジィ。ええと、このままだとエロジィが無罪放免になってしまう?


「お待ちください皇帝陛下」

「む? お主はラルフであったな。嫌がらせをするつもりか? 見苦しいぞ!」

「いえ、そうではありません。エロジィに荷物を奪われた中には簡単には手に入らないものもありまして」

「ほう、だが、だからと言って全く手に入らないものではあるまい?」


 確かに。ラルフさんの仕入れた品が何か分からないけど、学園都市で手に入れたものだろう。それだと手に入らないとは言いきれまい。


「い、いえ、それはこの世に二つとないものでございます」

「ほほう? この世に二つとない、とな?」

「はい、この世のどの言語でもない言葉で書かれた書物にございます!」

「ほう? そのようなものが?」


 ん? この世のどの言語でもない書物?


「陛下、その様な書物、私は見た事もありませんなあ」


 うん、まあそう来ると思うんだよね。普通にとぼけられて終わりだよ。


「陛下、エロジィ男爵の館を捜索していた者から変なものが見つかったと」


 その時にドタドタと駆け入って来る兵士。ヒルダさんの直属部隊らしい。


「ほほう、どの様な?」

「これです!」


 その本はぼくにとってとても見覚えのあるものだった。というかぼくのコレクションの一部に確かにそれは存在していた。だが、この世界に来てからはあまりそれを表に出すことも無く、一人で楽しんでいたのだ。なのに、なぜ、それがここにあるのだ?


 その本、「生脚フェチのタイツ遊戯」はぼくの秘蔵のコレクションだあ!


 ワナワナしながらぼくはラルフさんを見た。えーとウインクされた……もしかして!


「おまえ、アカネか!」

「はい、その通りでございます、御館様」


 念話で叫んだら念話で冷静に返ってきた。という事はあの本はもしかして……


「はい、あの本は御館様の本棚より拝借しました」

「どこに、なんで、誰にも教えてないのに?」

「アリス姉様に相談したらここだと教えていただきまして」


 ぐぎゃあ、アリスにバレてんのか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ