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第二百九十一話:押し入りだ! フリーズ、ブラックハウ〇ドだ!

警察では無いです。

 衛兵が槍を構えて近付いてくる。三人で一人にあたる新撰組戦法かな?


「主様、やっちゃっていい?」

「まあ穏便に済むとは思ってないから構わん」

「はーい」


 アリスがそのうちの槍の一本を掴んでていっとへし折った。パキンと子気味良い音が響いて槍の穂先が折れた。


「バカなっ!?」


 残りの二人が慌ててアリスに突きを食らわせようとする。アリスは両方をかわすとそのまま槍を持ってグイッと引っ張った。槍を持った衛兵たちはつんのめって前にバランスを崩す。


「はいはい。じゃあこれはぼっしゅーとね」


 アリスは衛兵から槍を取り上げると、そのまま地面に這い蹲らせた。


「よし、じゃあ入るか」

「はい、いきましょー」


 閉じたままの門扉をぐにゃりと曲げて、邸宅の中に入る。晶龍は「オレサマがやりたかったのに」なんてぶつくさ言ってた。


「なんだ貴様らは!」


 屋敷の中に入ると五人ほどの巡回班が居たみたい。正直言えば、門番って割と大事なんだよね。門番さえしっかりしていたら門内の警備なんて単なるお飾りでいいんだし。何が言いたいかと言うと、この巡回の奴ら、門番よりも実力下だわ。


「なっ、なんだこいつら!」

「ば、ばけもの!」


 アリスがさっきと同じように槍をへし折ると四人は逃げて、残った一人は腰が抜けたのかガクガクと震えている。


「アリス、そんなのに構うな。ベスさんを探すぞ」

「主様もその女の子探したいの?」

「そりゃあそれが目的だからな」

「美人なの?」

「いや、知らんて。顔すら覚えてないんだぞ? 辛うじて中性的な顔立ちくらいだろ」

「ふうん」


 一体今の会話になんの意味があったのか分からないけど、ベスさんを探さなくてはいけないのは確かだ。顔は分からないけど、ミンチナやアビニアの顔は分かる(というか見たら忘れられないくらい化粧濃い顔だからなあ)のでまあ問題ないだろう。


 廊下をどんどん進んでいくと、次から次へとチンピラらしき人間が襲ってくる。というかここの男爵はこんなに人を集めてどうしようというつもりなのだろうか。


「おい」

「ひぃぃぃぃぃ、誰か、誰かぁ!」

「うるさい。お前はここの責任者か?」

「は、はい、別宅の家宰を勤めさせていただいております」

「エロジィ男爵はどこだ?」

「い、今頃でしたら地下でお楽しみかと」


 地下でお楽しみ? なんだか嫌な予感しかしねえなあ。


「地下への入口は?」

「……」

「黙りか。まあ喋って命が助かるか、あんな主人でも忠義を全うするかだ」

「こ、殺すのですか?」

「なんか不思議なことあるのか?」

「さ、殺人は重罪ですぞ! それも貴族家に押し入ったとなれば」

「残念だが裁くのはお前らじゃないからな」


 ごきん、とアリスに気絶させた。地下への道はどっかにはあるはずなんだけどなあ。


「御館様」

「おお、アカネか」

「はっ、地下への通路、二階に隠し部屋がありましてございます」


 なるほど一階からは行けないようになっていたのか。手が込んでるな。いやまあ壁とか床を破壊すれば突破できるんだろうけど。


 二階の書斎の本棚の裏に隠し階段があった。長い階段で地下へと続いているみたいだ。十中八九、これが隠し部屋への通路だろう。


 ガチャリ、と突き当たりの扉を開けるとそこには十字架に吊るされている半乳の女の子と横には醜悪な化粧モンスターが二体居た。


「あ、あんたたち、こんな所まで追いかけてくるなんて……ここは貴族の屋敷よ。不法侵入だわ!」

「そうよそうよ、直ぐに官憲に突き出してやるんだから!」

「あ……うっ……お嬢様……」


 ぼくらを見た瞬間に喚く化粧モンスターと苦しげに呟く半乳の女の子。どっちが被害者なのかとてもよく分かる。うん、結構なサイズだ。


「主様?」

「アリス、あの子が恐らくベスさんだ。救出は頼む。あの二人は……蜃さんに頼もうか」

「おいおい、オレサマのでばんはないのかよ!」

「晶龍君は女を殴りたい人?」

「は? そんなおとこのくさったやつみたいなまねができるかよ!」

「アリスは殴れるの?」

「……アリスさんとかアスカさんとかはなぐれるきしねえし」


 まあ晶龍には奥の部屋に居るかもしれないエロジィの処断を任せようかな。


「じゃあ頼んだよ、蜃さん」

「はっ、感謝致します」


 蜃さんはすっと前に出るとそのまま音もなくダッシュ。あっという間にアビニアの前に立った。


「な、なんなのよ、あんた!」

「そのやかましい口を閉じなされ。不快ですからな」

「ひっ!?」


 蜃さんはそのまま顔面に拳を叩き込んだ。なんの武術の心得もないであろう、贅沢と化粧ばかりの小娘に防御力なんてあろうはずもない。いや、厚化粧なら少しは防御になったのかな? そのまま顔面を抑えて転がり回った。


「あわ、あわわ」


 すっかり腰が抜けたミンチナはそのままの体勢で後ずさりながら這って逃げようとする。蜃さんはその足に蹴りを入れて逃がさないようにする。

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