表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
284/400

第二百八十四話:拷問のお時間です

拷問官なんて居ないのでいちばん残酷なことができる子に任せてます。

 さて、姫様じゃないけど拷問の時間です。あ、別に目の前で美味しそうなものを食べたりするような拷問じゃないよ?


「チーフ、本当に分解バラしてもいいんですか?」

「とりあえず、一人は見せしめにやってしまっていいだろう。あ、ボスと副ボスは残しといて」

「分かりました! 麻酔がないから痛いと思うけど大人しくしててね」


 麻酔がない訳ではなく使わないだけだろうが、とも思ったが、実際外科手術のないこの世界では麻酔なんてないから間違ってない。


「じゃあまずはお腹から。腹圧で腸が飛び出しちゃったらごめんなさいね」

「ひっ!?」


 地面に固定された男の腹にアンヌがメスを踊らせる。ぐぎゃあ、なんて悲鳴をあげながら暴れようとするが地面に固定されてるから抵抗も出来ない。


「ほうら、みて? これがあなたの小腸よ。綺麗でしょう?」

「あ、あ、あ」


 アンヌがうっとりした顔になっている。いや、このままだと死んじゃうよ? 輸血とかしてないんだから。


「ああ、生温くて良い気持ち」

「もう、もう、やめてくれ……」

「あらあら、褒めてるのに。もっと誇って良いのよ?」


 もう男は涙をボロボロ流している。だけどアンヌはやめようとしない。その内、男が何も言わなくなった。出血多量で気を失ったのか、それとも度重なるストレスに耐えきれなくなって意識を手放したか。


「コーチ、次の貰ってもいいですか?」

「だって」

「わかった、喋る、喋るからにもしないでくれ!」


 これは恐らく部下を痛めつけないように、と言うよりは自分があんな目にあいたくないって事だろう。そりゃそうだ。現代医学の信奉者でもあるぼくから言わせてもらってもあれはあんまりだ。


「じゃあキリキリ喋ってもらおうか」


 男たちはこの街道を根城にしている盗賊団。たまに貴族に頼まれて商人を襲ったりする。その分、討伐隊とかが出されなくなったりするから持ちつ持たれつというところか。


 なお、普通に襲う時は荷物の半分だけで、あとは生かして帰す。全部を奪ってしまうと本格的な討伐隊が出てしまうかららしい。でもって、貴族からの依頼の場合は遠慮なく皆殺しにして荷物を奪うんだとか。これは依頼の内容がその生命だからだということだ。


 で、貴族経由で女から依頼があったというのだ。金の払いは悪くない、仕入れた商品があるからそれを好きにしても構わない、なんて感じで引き受けたんだと。


 ところが腕利きの冒険者を雇っていたらしく、襲っている間に逃げられてしまったらしい。盗賊と言っても元は田舎の農家の三男坊以下の奴らが集まった感じだ。軍事教練なんて受けたことすらない。冒険者に散々にやられ、体制を立て直すと一時撤退までしたそうだ。


 村に篭もるのはわかってたからな。村にはいられたら村人たちが人質になる。そうなればしめたものだ。それでどの村に行ったのかは分からないので虱潰しに村をさがしていった。


 で、せっかく見つけた村に最大戦力たるぼくらが居たと言うわけだ。まあ同情は……しなくてもいいか。いや、世の中理不尽なこともおこるもんだ。


「それでラルフ氏の暗殺を依頼したのは?」

「そこまで確認しちゃあいけねえが、ケバい化粧のおばさんだった」


 まあ、これだけで例の二人への重罪が確定する訳では無いが、一応念の為に彼らを確保しておこう。


 そうこうしてるうちにラルフ氏が目覚めたんだとか。ぼくらは家へと戻った。


「ご気分はどうですか?」

「ううむ、悪くは無いが良くもない、と言ったものか。君わ助けられたようだ。礼を言う」


 との事。まあ感謝されるのは悪い話では無い。ここは素直に感謝されておこう?


「それで君はウチの娘とどんな関係なんだい?」


 なんか多少の事なら許すから話してご覧、みたいなオーラがプンプンしている。胆力は相当にありそうだ。


「知り合いが働いてる店の常連ですかね」

「ふむ、その程度の浅い付き合いで助けに来たとでも? お金が目的かのか」

「あー、まあ、お金があるに越したことはないですが、そういうのも特に求めてはいません」


 恐らくラルフ氏の頭の中にはてなマークが踊っていることだろう。しかし、どう思われようと、蜃さんが気にかけていたから以上の理由は無い。それこそ片手間でも何とかなるレベルだし。


「ともかく、ここを脱出して街まで移動しなければいけませんよね。馬車の手配などは出来ていますか?」

「それは……全部奪われてしまったから」


 まあつまりはできてないという事だ。そりゃあそうだ。恐らく冒険者たちであれば何とか包囲を抜け出して街に戻っているか、途中で力尽きて死んでるかだ。まあどっちも可能性としてはありえない話では無い。


「まあラルフさんは体調回復するまでここでのんびりしていてください」


 一階の客間にラルフさんを閉じ込めて、見張りをつける。ううむ、ゴーレムつけるとあまり良くないから身の回りの世話するための簡易パペット作ろうかしら?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ