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第二百七十五話:蜃さんのお仕事

貢いでるみたい。

 晶龍の奉仕活動が終わり、何をやってるのかと様子を見に行くことに。いやまあカレー屋で働けよとは思ったんだけど、配達出来るほど道に精通してないからとりあえず街に慣れるまでは好きにさせることにした。


「よう、まもる!」


 家に行くとだらんとした格好の晶龍がベッドに寝転んでゴロゴロしていた。


「何やってんだ?」

「みりゃわかるだろ、ねてんだよ」

「まあそうか。病気か何かか?」

「いや、やることねえし」

「蜃さんは?」

「しんならしごとじゃねえか?」


 仕事? あの蜃さんが仕事してるの? というか蜃さん働かせといてお前は寝てんのかよ。


「いいじゃねえかよ。いまはそのときじゃねえんだって」

「まあそれもそうか」


 うん、まああっさり納得できてしまった。ほら、ぼくも引きこもりだしね。正直、この分身体が無かったら出歩く事すらしたくないもんな。


「で、蜃さんはどこで働いてんだ?」

「なんでもカフェとかいってたな」


 カフェ? そんな場所あったっけ? いやまあまともに街を出歩いてないからわからんのだけど。


 晶龍に場所を教えてもらってそのカフェに向かう。晶龍も来るかと聞いたんだが「めんどくさいからいかない」だと。まあ気持ちは分かる。


 のんびり歩いて行くと行列の出来ている店がある。あれは何だ? ええと、カフェ? もしかして蜃さんが居るのはここなのか?


 割り込みをする訳にもいかないので並ぶ。なんだかジロジロ見られてるような気がする。周りには女性が多く、男性の姿はほとんど無い。一人で来るんじゃなかったかなあ。いや、アカネがどこかで見てるとは思うんだけど。


 順番が来るまで二時間待った。正直、晶龍は連れて来なくて正解だったな。ぼくは別に待つのは嫌いじゃない。ほら、何となくぼーっとしてれば時間って過ぎていくものだしね。


 周りの視線は気になるけど、会社勤めの頃に上司に詰められていた事に比べたら屁でもない。


 さて、順番が来て店の中に入った。店内は落ち着いた雰囲気のクラシックな感じで、ウェイターが執事服を着ている。ええと、これって執事喫茶とかいうやつ? どこでこんなの思いついたんだ?


「ご主人様、ようこそ。さあ、こちらへ」


 どうやらお客さんの呼び方はご主人様らしい。旦那様とかお嬢様でもいいと思うんだが。正直ご主人様は普段呼ばれ慣れてるからあまり新鮮味を感じない。


「ご注文をお伺いします」

「あー、えーと、適当に飲み物を」

「お任せ紅茶でよろしいですか?」

「あー、うん。そうだね」


 紅茶の違いなんて分からんし、ましてやこの世界の紅茶ブランドなんて余計に分からないよ。ダージリンとかアッサムとかオレンジペコーとかわかりやすいのがあれば良かったんだけど。あ、紅茶の名前は戦車アニメで覚えたよ!


「お待たせしました。グンデンファースのセカンドフラッシュでございます。どうぞ、ごゆっくり」


 耳元で囁くようにボソッと言われると耳がくすぐったいんだけど。ってまだ口を近づけて来るの? いや、ちょっとそんな趣味は。浅黒い男性とかトラウマものなんですが。


「ようこそいらっしゃいました、護様。晶龍様はいらっしゃらない様で」


 は? と思って男の顔を見る男はにっこりと笑った。いや、どう見てもNTRものに出てくるチャラ男みたいな外見なんだけど。でもさっきの言葉が本当なら蜃さん?


「あ、あの、蜃さ」

「こちらではミラージュとお呼びください」


 どうやら名前まで変えてる様だ。いやまあ幻覚見せるの得意だから姿かたちを変えるのもそんなに難しくないんだろうけどさ。


「きゃー、ミラージュ。こっちもお願い」

「かしこまりました。ご主人様。……では後ほど」


 さわやかに呼ばれた方に手を振って答える蜃さん……いやミラージュ。キランと歯が光った気もした。幻覚なら光らせるのも自由自在って?


 ぼくはミラージュを観察しながら紅茶を楽しんだ。いや紅茶はちょうどいい温度だし、美味しいんだよ。お茶請けが欲しくなったけど何となく頼むのは気が引けた。まあミラージュに女の子が注文しまくってたからなあ。


 他のスタッフも居るんだけど、ぼくは話しかけたくない。いや、なんでこっちから話しかけないといけないんだよ。ほっといて欲しい。ゆっくり紅茶飲ませて欲しい。


 で、長居しようと思ったけど、外に並んでる女性の視線が気になってゆっくり出来なかった。仕方ないから別の喫茶店に行くかと思いながら街を歩く。


 そもそも喫茶店自体がなかった。お茶を飲む週間自体がないんだろう。ミラージュの勤務がいつまでか分からないからアカネに終わったら報せてくれるようにお願いした。


 んで、やることないから、適当な宿屋に入って、部屋の中に行き、鍵をかけて、分身体を放置して本体に戻った。とりあえずご飯食べようかとカップ麺を取り出したらアインがジト目で睨んでいた。

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