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第二百二十七話:じゃあくなりゅうをたおした!

アニマルズとパペットたちの主人への愛の差が(笑)

 砂浜に転がる青龍。青ざめてる蜃。呆然としてる晶龍。パニックになってるはんぎょどん(仮)たち。そしてドヤ顔しながら青龍の上に足を載っけてるアニマルズマイナスピーターくん。


 え? パペットたちとピーターくんと歩美さん? テーブル出してご飯の用意出来たからつまんでますが何か? いや、だってアインがそのままテーブル出してテーブルクロス敷いて料理並べ始めたんだもの。冷めるのは嫌だし先に食べちゃおうって事で。食事が本当に必要なのはぼくと歩美さんだけだからね。


『た、たのむ、もう、もう、やめてくださらぬか?』

「うるせえ! ご主人様に危害を与えようとした罪は重いんだよ!」


 そもそも歩美さんには特に危害加えてないし、そもそもびっくりして震えてるだけだったと思うんだけど。まあアニマルズ的にはアリスの「歩美さんの分の攻撃」がしょぼかったから「お手本」を見せてるんだろうけど。


『ご、誤解です、我は、女神の使徒に攻撃を加えただけで』

「うるさい! あんな雷落としといて、ご主人様がびっくりしただろうが! ギルティだ!」

『そ、そんなご無体な』


 逆鱗外されると力が出ないのか、青龍はなすがままになっている。ここで自我を取り戻したのか蜃がハッとなった。


「み、皆様、どうかどうか、お怒りをお鎮めください。悪いのは全てこのじじいなのです!」


 盛大な土下座。いや確かに幻覚見せて嫌な気持ちにさせたのはこの爺様だけど、晶龍の命令でやった事じゃない? だったら仕方ないと思うんだよ。あの時は青龍の名前出されたし。一時は和解してたと思うんだよ。彼我の戦力差も分からないバカではなかったし。


 計算違いだったのは青龍が女神の使徒を敵対視しているって事と、その青龍を持ってしても戦力差にかなりの開きがあったって事。ぶっちゃけ、アリス一人で殲滅出来るんだよね、多分。で、二人がかりならそのアリスを何とか抑え込めるアニマルズたちも当然弱い訳がなく。


「蜃さんでしたか。お顔をあげてください。あなたは上の命令に逆らえなかっただけの事。そこまで悪い事はしておりません」

「で、でしたら、青龍様も」

「それとこれとは別だ。ご主人様の敵は私たちの敵。殲滅する」


 アルタイルが無情にも現実を突き付ける。蜃の頭の中は絶望が渦巻いてるに違いない。そんな絶望から救い出したのは歩美さんだった。


「みんな、その辺にしておやつ食べましょう。アインさんのスコーン、美味しいよ」

「しかし、ご主人様、こいつは……」

「ええ? 私は別に気にしてないよ。雷でびっくりしちゃっただけだもん」

「でも、ご主人様もあんな悪夢見せられたんだろ?」


 ああ、そうか。アニマルズたちにも、そしてもちろん歩美さんにも蜃の幻覚は効いてたんだっけ。


「私は大丈夫。だってみんなが居るって分かってたから。過去の辛いことも見せられたけど、今がみんな居て幸せだから、それを再確認出来たから良いんだよ。ありがとうございました、蜃さん」

「む、申し訳ない、というのも違う気もしますな。なんと言えばよいやら」


 歩美さんは強い人だ。ぼくは正直壊れかけのレイディオだった気がするんだけど。闇ギルドの時といい、精神攻撃によわよわなのは何とかした方がいいのかもしれない。と言ってもぼく自身は別にチートでもなんでもないからなあ。チートなのは家だよ。


 歩美さんの言葉にアニマルズたちは青龍の上から足を退けて歩美さんの居る方に戻ってきた。そして歩美さんは一人ずつぎゅっと抱き締める。


「私の為に怒ってくれてありがとね」

「うむ」アルタイル

「ええ」エイクスュルニル

「ああ」セイバートゥース

「おお」レッドメット

「はい」ピーター


 いや、ピーターくんは特に怒ってなかったと思うんだけど。いや、直接攻撃手段はないけど怒ってたのかな? 歩美さんが抱っこしたいだけだったのかもしれないけど。


 ふとこういうのもいいなあと思ってるとアリスが両腕を広げて待っていた。


「なんだ?」

「主様、ハグしましょう!」

「いや、アリスは生命の危険が危ないから」

「大丈夫です! そこまで力は込めないですから」


 ま、まあ、アリスは頑張ってくれたし、ハグ位はしてやってもいいかな。ほらよ。


「!」


 アリスの身体の力が抜けた感じがした。プシューみたいな音が聞こえる。って熱っ!? アリスが茹でダコみたいになってるぞ?


「オーバーヒートですね。問題ありません」

「問題無いのか? それは? まあいいや。じゃあお前らもハグしてやろうか?」

「終わった後入浴しても宜しいですか?」

「ハグよりマヨネーズ」

「えー? そんなんよりなんか作らせてぇな」

「ハグはいいのでお腹をちょこっとだけ切らせていただきたいのですが」

「無用」


 お前ら、そんなにご主人様のハグは要らんか。悪夢に堕ちるぞ、もう!

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