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第二百二十一話:さいせんをようきゅうする!

やられてもやられても立ち向かう。いや、そんな立派なもんでもないけど。

 三杯ほどおかわりして落ち着いたのかしょうりゅう?くんは両足を投げ出して座っていた。


「ふぃー、うまかった! たいぎであった!」


 何が大義だよ、とは思ったもののまあ小学生の言うことだからな、と受け流す。


「こんなのがのめるなら、オマエをオレサマのこぶんにしてやってもいいぞ」


 こぶん? 古文は得意だったよ。伊勢物語とかなんであんなに歌詠むんだろうね、とか思ったり、更級日記の源氏物語への情熱に、あー、わかるーってなったり、枕草子の虫への興味に面食らったりしたもの。


 違う? あ、じゃああれか。トロン・ボーンが作った部下メカ? おっちょこちょいだけど、何か憎めないよね。ロゴブロックみたいな見た目も可愛い。あ、でもパペットを美少女にしたのには後悔はしてないよ。ほら、ロゴブロックだと人前に出せなくなるじゃない?


「こぶんだよ、こぶん。しゃてーでもいいけど」


 ああ、子分ね。舎弟ね。つまり、下っ端としてこき使ってやるとかそういう奴ね。それで喜ぶ人居るの?


「なんだよ? ごりゅうのせいりゅうのむすこにつかえられるんだぞ? とてもめーよなことだろ?」

「いや、ごめん。五龍とか興味無いからもう帰ってくれないかな?」

「ぐぬぬぬぬ、おぼえてろよ! ばーか、ばーか!」


 しょうりゅう?くんはそのまま海に走っていって、ざぶざぶと海中に消えていった。あー、本当に青龍の息子だったってことかな? 面倒な事にならなきゃいいけど。


 その日はアインにご飯を作り直して貰ってみんなで浜辺で食べた。家に帰ってから食べても良かったんだけど、それなりに星空の下で食べるご飯は美味しかったから良しとしよう。


 翌日。朝起きて海岸を散歩する。歩美さんも一緒だ。一人よりは二人がいいよね。特に話す事もなく頑張って身体を動かす。後ろからついてきてるけど、今日はエイクスとアリス、アンヌだ。歩美さんのところのアニマルズは順番に歩美さん番を代わってるらしい。うちはアリスが固定みたい。まあ戦闘力ピカイチだもんな。


「チーフ、一応アカネも潜んでおりますので」


 どうやらもう一人居たらしい。アンヌはよく分かったね。あ、予め打ち合わせとかしてたのかな?


「よくきたな!」


 しばらく砂浜を歩いていたら前の方に仁王立ちしてる子どもが居た。昨日見たばかりの子だ。後ろにはなんかサハギンだかフォルネ○ス兵だかみたいなのが何人もいる。


「きょうこそはまけねえぞ! おとなしくくいものよこせ!」

「あの、坊っちゃま、我々はあのもの達を攻撃すればよろしいので?」

「そうだ! まあくいものをだしたらゆるしてやるけどな!」


 ええと、追い剥ぎ? いや、ぼくは今食べ物持ってないけど、そんな事も分からない? あ、いや、厳密にはストレージがあるから食べ物なら入ってるんだけど。ど○兵衛とスー○ーカップのどっちが好みかなあ?


「あなたたちにやる食料はあいにく持っていないのだよ」


 エイクスがすっと前に出てキッパリと言い放つ。こういう交渉はキッパリ言うのが大切なんだな。受け入れない場合は受け入れないで。あれ? でもそうするとなんかまずくない?


「ぐぬぬぬぬぬぬ、どこまでオレサマをコケにすればきがすむんだ! オマエラ、やっちまえ!」

「ええー、坊っちゃま、それは乱暴では……」

「なんだと? このオレサマの、せいりゅうのひとりむすこのめいれいがきけないのか?!」

「わ、わかりました。やります、やりますとも」


 どうやらあまり乗り気では無い様子。でも逆らえないのか。青龍の権勢が分かるなあ。


「荒事なのだよ。では、アリスさん、お願いするのだよ」

「ええ、なんで!?」

「私は争い事は好まないのだよ」

「喧嘩ふっかけたのはあんたでしょうが!」

「私は交渉で突っぱねただけなのだよ」


 キッパリと断る事を交渉と呼んでいいものどろうか。でもまあ向かってくる以上はアリスに頑張ってもらわなければいけない。


「チーフ、チーフも一緒に戦いますか?」

「いや、やめてよ。死んじゃうじゃないか」

「即死でなければ治してみせますよ?」

「手をワキワキしながら言うな!」


 とかやってるうちに向かってくるはんぎょどん(仮称)たち。アリスは砂浜のそばにあった松を一本引き抜いて、向かってくる兵たちに叩きつける!


「な、なんだと!?」

「ふきゃあ!」

「ば、ばかな!」


 口々に驚愕を叫びながら吹っ飛んでいく兵たち。ドヤ顔のアリス。歩美さんを抱えて距離を取ってるエイクス。いや、確かに護衛としてはその行動は正しいな。


「さて、後はあんただけだよ!」

「ぐぬぬぬぬぬぬ、このやくたたずどもめ! みてろよ、こんどはもっとつよいやつをつれてきてやるからな!」


 兵士たちを蹴飛ばしながら海の中に去っていくしょうりゅう?くん。ええと、この調子だとまた来るのかなあ? なら次は昼ごはん?散歩しないでのんびりしたいよ。

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