第二百一話:ドーピング? いいえ、効率重視です!
VAA○飲んでスポーツジム行くと汗が凄かった思い出。
「ラジオ体操、懐かしいですね」
「そう、ですね」
これはスマートに言葉が出た、やはり共通のノスタルジックな感覚ってのがあるんだろう。歌が終わってラジオ体操第一だ。ある程度覚えているので曲が流れると自然に身体が動いてしまう。
ちなみにラジオ体操は第三まであったらしい。第三が幻と言われているのは「ラジオだとどんな動きをすればいいのか分からない」だったらしい。まあぼくも第二までしか覚えてない。というか第二もうろ覚えである。
歩美さんは第二もちゃんと出来るらしい。なんでもこのジムをやる事になった時に練習したんだとか。当然、ぼくは第二の記憶がまちまちだから歩美さんのお手本を見る事になるんだけど……その、飛んだり上下に身体を揺すったりするとほら、なんというかぶるんぶるんと震えるわけですよ。どことは言わないけど。
「あの女、あんなに揺らして主様を誘惑してる!?」
「落ち着け、ご主人様にそんな意図はない」
いや、ぼくもなんというかなるべく見ないようにはしてるし、「型」の方を重要視してるんだけどね。傍から見てたらどう見えるのかは個人の感想だもんな。
「そ、それじゃあ、まず、レッグプレスから」
「はい」
ラケシスさんがやってたやつだ。これくらいならぼくだって頑張れば……なんか態勢苦しいな。お腹が圧迫される。
「では、足で、押して、ください、いーち」
「ぐぬぬぬぬぬぬ」
頑張って足で押す。重りの量は頑張れば動くレベルのものにしている。実際はこれより少し軽くして回数こなす方がいいんだとか。十回やったら息が切れた。
「はあ、はあ、はあ、はあ」
「疲れ、ましたか? 少し、休み、ましょう」
歩美さんはスパルタでは無いらしく、ちゃんと休憩は取らせてくれる。あー、運動後のコーラが飲みたい。
「旦那はん、コーラ持ってきたで」
「おっ、アミタ気が利くなあ」
いつの間にかアミタが横に居て、コーラを渡して来た。カロリーを消費したらカロリー摂取は必須! つまりこのコーラは飲まねばならないのだ。ちなみにレッグプレス十回の消費カロリーは七キロカロリーで、コーラの五百ミリペットボトル一本分で三十七から八キロカロリーなんだって。運動ってなんだろう。
「あ、ご主人様、そいつ!」
「えっ? あっ、だ、ダメです、コーラなんて、ダメです!」
止められたが喉の乾きが限界突破してるんだ。コーラは命の水だ。いや、更に上位互換にドクペがあるけど。
「姉様、いつの間に……それになんでチーフにコーラを?」
「アンヌ、ウチが単なる既製品のコーラなんか旦那はんに飲ますと思うとるん?」
ん? これ、もしかしてコーラはコーラでもアズキとかキューカンバーとかそういうやつ? いや、普通にコーラの味しかしないし。ダイエットコークにしては味はしっかりしてる……
「あれはな、コーラのように見えて、カロリーの消費を効率的に行う特製ドリンクや」
「姉様、人体への危険性は?」
「んー、ないと思うで。まるたには影響なかったし」
まるた、というのは人体だったものを使ってアミタが作った「検体」なんだそうだ。材料は……ほら、ウチに攻めてきた無謀なチャレンジャーが居たから多分それだろう。定期的に仕入れてるのかどうかは知らん。
「だったら大丈夫ですね。私の治験や練習でもお世話になってますし」
どうやらアンヌも「検体」を使ってるらしい。いや、ちょっと怖いな。って、そうじゃなくて、このコーラだよ。
「あ、あの、その、大丈夫、ですか?」
「ええ」
「で、でしたら、その、次は、プールで」
「主様の水着姿を舐め回すように見るつもりか!」
いや待てアリス。そんなことする人はきっとこの世にはどこにも居ない。それ以前に歩美さんは見ようと思ったらイケメンフェスティバルな奴らが揃ってるんだ。ぼくの水着姿なんかに需要は無いよ。
「お前の主こそ、うちのご主人様の水着姿を舐め回すように見るんじゃねえか?」
「あ、主様はそんな事しない! 巨乳になんか興味無いんだ、興味無いんだから!」
なんかアリスとレッドメットが言い合ってる。セイバートゥースが頭を抱えながら二人を止めている。やれやれだ。確かにぼくは巨乳には興味はそれほどないけど、存在感があるから見ないとは言いきれない。これは男性にはおっぱい無いから強調されてると見ちゃうだけだよ。
「お待、たせ、しましたっ」
海パンに着替えてプールで待っていたら歩美さんが来た。あ、ぼくのは海パンって言ってもトランクスタイプ。泳ぐなどの運動には向かないけど歩くだけだからそこまででもない。
さて、歩美さんの水着だけど、黒のビキニだ。胸とお腹の肉がたるんでいる。ぽっちゃり体型だ。うん、なんというかエッチな目で見ると言うより、「同志よ」って感覚だ。ほら、歩美さんもダイエットした方がいいよ。




