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第百九十七話:大怪獣(アリス)のあとしまつ

帰りの旅程は省略出来ます(笑)

 終わりましたよ、フォルトゥーナさん、とばかりにそっちを向くと、何故か歯の根が合わずにガタガタ震えていた。


「お願いします、お願いします、殴ら、殴らない、で!?」

「いや、殴りませんて」

「あと、解剖もしないで!」

「それもしません」


 アリスとアンヌは何処吹く風とキャッキャしてる。そういえばムラーキー以外は教皇猊下以下全員平伏してるよね。


「あの、教皇猊下、終わりましたよ」

「猊下などととんでもありません、使徒様。私は哀れな下僕にございます!」


 ぼくが声を掛けても平伏したまんまなのよ。なんで平伏しっぱなし……あ、フォルトゥーナさんか。


「フォルトゥーナさん、もう帰ってもいいですよ」

「え? ちょっとそれって酷くないですか? 少しは私を敬おうとか思わないんですか?」


さっきまでガタガタ震えてたのに安心したらこれかあ。


「今どこまで読みました?」

「函谷関が裏道から抜かれた辺りです」


 やっぱりマンガ読んでたのか。いやだから帰って読んでもいいんですって。


「はあ、分かりました。後始末はしますから」


 フォルトゥーナさんは大きくため息を吐いた。


「ボニファティウスよ」

「はっ! フォルトゥーナ様のお言葉を直々にいただけるとは勿体ない」

「ムラーキーの悪事の証拠、それを全て解明し、罰を与えなさい。人身売買など私の教義に背きます」

「必ずや! 騎士たちよ、分かっているな?」

「はっ、女神様直々のお達しとあれば我らも一命に変えましても必ずや根絶してみせます!」

「頼りにしておりますよ」


 えーと、フォルトゥーナさんの教義って「面倒だから勝手にやってて、でも私と世界に迷惑かけないでよね」って感じなのでは? あ、フォルトゥーナさんからジト目で見られてる。間違ってないんだな。


「間違ってません、間違ってませんけど! その辺の思惑バレたら信者が減っちゃうでしょうが!」


 えー、でもこの世界の神様ってフォルトゥーナさんだけなんじゃ?


「一応鍛冶神やら狩猟神やら農耕神やら居るんだから」


 どうやらフォルトゥーナさんだけだと負担が大きくなるから部下的な神もいるんだとか。それにしちゃ出会った事ないんだけど?


「洞穴中歩美をこの世界に呼び寄せたのは、遊戯神じゃない」


 あー、そういえばそんなこともありましたね。あ、そういや終わったら運動しに行かなきゃいけないんだっけ? 面倒だなあ。


 あ、ちなみに遊戯神は罰としてメイド服でおさんどんやらされてるらしい。なお、遊戯神の性別はオトコノコである。どの様に変換するかは諸兄らにお任せしよう。


「てことは他の神様が力をつけたら?」

「私が最高神から負い落とされる、という事はありませんが、ヒクほど降格させられるでしょう」


 その方がいいんじゃないかな? だってそれなら寝っ転がってマンガ読むのも無くなるし。


「私が居なくなれば当然ながらフォルテも居なくなります」

「まあ、そうだよね」

「そうすると、フォルテの代わりに今よりも口うるさい妖精が来てですね、無理やり外に連れ出そうと」

「よし、みんな、残党を捕まえる手伝いするよ!」


 幸いにして、聖国内部の違法奴隷売買組織は検挙出来た。後は方々に売られた奴隷を探して回収するだけだ。ぼくらもそれとなく見ていよう。


 それから、聖堂で何やら祈りの儀式、みたいなのをやらされた。本体だから帰ろうと思ってたんだけど、無理やり引っ張りだされた。て、ぼくへの憐憫をやめてもらって、単なる寵愛にしてもらった。いやいやいやいや、寵愛でも十分すごいからね?


 教皇ボニファティウスはそのまま教団のトップのまま。というのも何故か、ぼくにトップの座を譲ろうとしてたからね。嫌だよ、ぼくには自分の家があるんだから。あと、フォルトゥーナさんに跪かないといけないってのも嫌だ。


 ムラーキーは投獄され、奴隷売買についての証言を吐かされた。拷問は刑吏さんにお願いしました。やらないと自分の番だと分かってるからか、必死に頑張ってるそうです。


 全てを終えてぼくらが帝国に戻る日がやって来ました。孤児院への援助は教団としても力を入れていくそう。まあ、それまでは教義にも無かったそうだから、今回フォルトゥーナさんが付け加えた形だ。


「あー、なんかドタバタ大変だっただけでしたね」


 アヤさんは特に役に立ってなかったと思います。なんでついてきたんですか? てな目で見てるとアヤさんも察した様だ。


「なんか役立たずとかお荷物とか思われてる!? 酷い! ほら、皇帝陛下から教皇さんへのお手紙ですよ! 騎士たちを引き渡すっていう」


 あー、なるほど。改心した騎士と改心してない騎士の処遇についての相談か。ちゃんと仕事してるのかな? いや、これはヒルダさんからの様な気がするぞ。


「あー、また帰りは長い距離を移動しないといけないんですね」

「では」


 ぼくはそのまま扉を開いて家に戻った。


「え?」

「主様が居ないなら旅する意味無いよね。アスカちゃん、お願い」

「分かりました。ではお先に帰らせていただきます」

「あ、転移魔法! 私も、私も連れて行っ」

「では」

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