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第百八十四話:教皇は猊下。でもゲイじゃないよ。

ちなみに枢機卿は「台下」と言うらしい。

 聖国旅行の後に運動する事を義務付けられたぼくは家でぼーっとしている。みんなは宿を引き払い、聖国への旅路へと戻った。ぼくの姿が変わったことに対するみんなの反応は薄かった。いや、アヤさんだけ「いやー、戻りましたか」みたいな事を言ってたのでストレージの副作用とかそういうのだと思われてるのかもしれない。


 大河を渡ってしばらくすると坂道に差し掛かる。ここから上に登っていくのだ。なんと聖国はアララ山とかいう山の山頂付近にあるらしい。そこに主神様が降臨なされたとかいう伝説があるんだと。


 どうせ、あのポンコツ女神(フォルトゥーナ)さんのことだから「目印になる様なところがなくてね」みたいな感じなんだろう。知らんけど。


「誰がポンコツですか!」

「うわっ、なんで頭の中に反応してるんですか?」

「自分の身体の事がショックかと思ってアフターケアをしようと思ってましたのに」


 確かにショックではあった。でも、言ってみれば同意なしに手術されたって事くらいで、アンヌの腕は作ったぼくが信頼してるし、癌細胞ができても痛みなく除去出来るなら問題ない訳で。痛くないよね?


 馬車は山道を進んでいく。獣とか出て来るのかなとか思ってたけど、この辺りの魔獣とかは騎士たちによって定期的に駆除されてるらしい。あ、普通の獣は生活してるから時々は出て来るけど、道の傍には殆ど出ないんだと。獣も危険なのは分かるみたい。


 やがて坂の上の方に雲……じゃない、あれは建物のデザインだろうか、それとも何かの魔法だろうか、なんかモクモクしたものが出て来た。


「あれは結界でございます」

「結界……何かから守ってるんですか?」

「ええ、そうですね。まあ色々と」


 なんか言葉を濁された。まあ説明して貰えないならそれはそれでいいか。挨拶して帰るくらいだろうしなあ。


 門の前まで行くと騎士さんたちが前に出た。通行証を見せる訳でもなくそのままスルー。それでいいのか、と思ったが騎士たちの格好で判断してるんだろうなと思い返す。


 街の中央は大通りになっていて、門から先の方のでかい建物に繋がっている。王城、と呼ぶにはちょっと形が違和感がある。あれは教会、聖堂だろうか。


「さあ、ここから大聖堂までは一直線ですからな。もう少しお待ちください」


 どうやら大聖堂らしい。聖国には王とか貴族は居ないらしい。宗教国家というやつかな? でも司祭とか司教が貴族みたいなものなんじゃないかな。トップは教皇。幻朧魔皇拳とか使って来ないよね?


 馬車が聖堂の入口に止まった。馬車を降りると外に司祭なのか司教なのか分からんが色んな聖職者が勢揃いしている。あ、ぼくはシスターさんが好みなのでシスターさんをお願いします。太ももムチムチな銀髪褐色肌のお姉ちゃんがいいです。


「ようこそいらっしゃいました、使徒様!」


 ぼくの願いも虚しく、出迎えてくれたのはいかにも優しげな初老の爺さんだった。いや、まあ、実際にそんな陽キャみたいなシスターさん来てもキョドるだけなんだけど。


「護です」

「おお、これはこれは。護様ですね。私はこの聖国にて、枢機卿を勤めております、ムラーキーと申します」

「あ、はい。これはご丁寧に」

「教皇猊下がお待ちでいらっしゃいます。どうぞこちらへ」


 枢機卿がぼくの隣に立って手ずから案内しようとする。ぼくはその手は取らずにそのままついて歩いた。途中でアリスがぼくの横に並ぼうとしたらさりげなく間に割り込まれた。アリスが怒って暴れようとしたけど、ぼくがストップを掛けた。せっかく来たのに台無しにしたくないからね。


 大聖堂に進んでいくと、おっぱいを盛った女神(フォルトゥーナ)様の像の前で跪いている老人が居た。頭はハゲ……じゃなくてあれは剃ってるんだよね。トンヌラだかトンスルだかそんな名前だったはず。


「あなたが使徒様ですかな?」

「あなたは?」

「これは自己紹介が遅れました。私は教皇のボニファティウスと申します」


 えーと、教皇猊下ってぐらい偉ければもっと立派な椅子に座って待ってると思ったんだけど。


「とんでもありません、使徒様をお迎えするのに下座して迎えるのは当然ではありませんか」


 どうやらぼくに対して敬意を表してくれるようだ。うーん、これはなんだかくすぐったいな。


「ムラーキー、皆を連れて下がりなさい。私はこちらの使徒様と秘密の会話をしなければならないのです」

「しかし、猊下、もし、危害など加えられては」

「ムラーキー! 使徒様に失礼な事を言うでない!」

「はっ、申し訳ありません」


 そのままムラーキーが司教たちを引き連れて下がった。


「申し訳ありませんがそちらのおつき様も下がらせて貰えませぬか?」

「分かりました。すいませんけど、アヤさん、下がってください」

「私はいいよね?」

「アリスも下がれ」

「そんな!?」


 みんなが扉の外に出てぼくと教皇猊下と二人きりになった。やっと二人きりになれましたねっとかでラブロマンスルートとかになったりしないよね?

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