第百八十三話:人工臓器はありまぁす!
STAPにしようかとも考えました。
宿屋の部屋に入る。ぼくだけ一人部屋にしてもらった。まあこれは仕方ないよね。兵士さんたちはアリスやアインと一緒でもいいですよ、とは言ってくれたけど、女性を堂々と侍らせてるのは客観的にどうかと思うし。って今更かもだけど。
部屋に入って誰も居ないことを確認すると、扉を出して家に帰る。久々の我が家だ。一日も経ってない? こまけぇこたぁいいんだよ!
ぼくの本体と入れ替わりに分身体を送り込む。ぼくはパソコンの前に座って今日の晩御飯を……
「ご主人様の食事は私が作ります」
アインが移動してきた。どうしてここに……アスカか。本来ならもっと早く転移して先に準備をしときたかったそうだが、なかなか時間が取れなかったらしい。部屋決めでアヤさんがアインと一緒の部屋がいいと駄々を捏ねたらしい。
なんでアインなんだろうかと思ったら、趣味で作ってたお菓子などを時々アヤさんにあげてたらしい。餌付けかよ!
そんで何とかアリスとアンヌと同室という事で落ち着いて貰った。アインとアスカは二人部屋だそうな。ぼくにご飯提供するためのシフトらしい。そんな事しなくてもカップ麺食べるから大丈夫……
「いけません、ご主人様。私のご飯以外は禁止です」
何故か禁止を言い渡された。解せぬ。パペットはぼくの命令に絶対服従とかじゃないの? 無いよね。うん、なんか分かってた。
フォルテ曰く、「裏切り、という意味では絶対服従だけど、日々の生活とか戦闘時の判断とかで主人の身に危険が及んだり、為にならないなどの条件があれば普通に反抗する」んだそうだ。まあ有り体に言えば、「ぼくを殺せ!」みたいな自傷系の命令とかは受け付けられないみたい。
だが待って欲しい。ぼくは「カップ麺が食べたい」って話だったはず。なんてそれが自傷系になるというのか?
「チーフ、発言をお許し下さい」
「ん? アンヌか? なんだよ、なんか珍しいね」
「私が生み出された時点で、チーフには死の危険性がありまして」
……は? ぼ、ぼくに死の危険性だって?
「勝手ながらチーフの身体をスキャンさせていただいたんですが、肝機能や腎機能が弱っておりました」
あー、うん、そりゃあそうかも。食生活とか荒れてたもんね。というか発作起こして死んだんじゃなかったっけ?
「その辺はなんとも。ですのでチーフを眠らせて手術をですね」
「待って!?」
「なんでしょうか?」
「手術? したの? ぼくの身体を?」
「安心してください。全部は脱がしてませんから」
そんな心配してないよ! いつの間に手術なんか……いや、待てよ? 肝機能とか腎機能って手術で何とかなるものなの?
「ちゃんと自家培養したのを移植しましたから大丈夫です」
ちょっと待て。自家培養? いつの間に?
「チーフが寝てる間に採取した細胞を使って臓器を作ったんですよ」
あー、ぼくが寝てる間に色々してたんだね。うん? 治ったんじゃないの? それならなんで?
「この臓器、癌化しやすいんですよ」
「な、なんだって!?」
えー、つまり、癌になりやすい臓器って事か。でもまあ臓器交換しなきゃぼくは生きてなかったかもしれないんだから文句は言えないか。
「あ、癌化自体は魔法で除去出来るのでそんなに問題はありません」
癌を魔法で除去出来るの? それは随分なチートだねえ。やり方は全身スキャンして患部を魔法で消滅させるとのこと。人体に影響ないの、それ?
「ですが、病気になりやすいのも事実なのでチーフには健康に留意していただければと」
こう言われてしまうとなあ。特に生きる事にこだわりは無いけど、死んじゃうとフォルトゥーナさんが女神の座を引き摺り下ろされちゃうんだっけ? しかし、それなら丈夫な身体をつけてくれてもいいんじゃないかな。
「何言ってるんですか! あなたがそれを願わなかったんでしょう! 忖度なんて出来ませんよ、こっちは!」
頭の中でフォルトゥーナさんが叫んでいた。あー、まあ、キャラメイクというか能力取る時に健康の事とか頭から抜け落ちてたもんな。
「とりあえずわかった。アインのご飯を食べよう。でもたまにならカップ麺も」
「でしたら運動してください」
アンヌとアインがピシャリ、と言う。こ、これはもしかして歩美さんのフィットネスクラブに強制入会させられるのか?
「主様、大丈夫! 私と一緒に運動しよう! 海で泳ぐ? 山で走る? それともベッドでイチャイチャする?」
アリスと一緒に運動してたら多分身体がもたないと思う。こちとらインドア系の引きこもりやぞ? 急に動かすと死んでしまいます! それに最後のは運動ですらねえ。
「分かったよ。この聖国行きが終わったら歩美さんの所に行ってみるよ」
「そうですね。それまではカップ麺禁止です」
仕方ないか。横でポテチ食ってるフォルテが恨めしい。




